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エッチングについて教えてください。

シリコン・ウエハーをKOHエッチングし、薄膜を製作した過程です。 1.窒化ケイ素のLPCVD析出. 2.被膜(レジスト層)をスピンコーターで製膜し、露光、現像する. 3.プラズマで窒化ケイ素をエッチングする. 4.被膜(レジスト層)を取り除く. ということらしいのですが、どういうことなのでしょうか? いろいろ調べたのですが全く分かりません。 エッチングというものは、加工する材料の表面を腐食させる方法?という大雑把なことしか分かりません。 よろしくお願いします。

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  • kagakusuki
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回答No.1

 御質問文中に掲載されている工程は、プラズマエッチングであり、KOHエッチングでは御座いません。  半導体や液晶パネルの製造工程で使用されるエッチングの方法には、様々な種類がありますが、大別すると液体を使用してエッチングを行うウェットエッチングと、気体等を使用してエッチングを行うドライエッチングに分ける事が出来ます。  プラズマエッチングはドライエッチングの一種であるのに対し、KOHエッチングはウェットエッチングの一種なのですから、全く別の手法になります。 「窒化ケイ素のLPCVD析出.」  CVDとは、Chemical Vapor Deposition(化学気相成長)の略で、膜を構成する物質の原料となる物質を、気体又はプラズマの状態で(主に空中で)化学反応させて、生じた膜を構成する物質を、基板上に堆積させる事によって膜を形成させる手法です。  LPとは、Low Pressure(低圧)の略ですから、LPCVDとは、真空に近い減圧状態で、原料となるガスを化学反応させるCVDという事です。  圧力がある程度高い状態で反応させると、生じた膜の材料物質は、空中で結晶となってしまい、基板上に降り積もった際に、隙間が生じて、均一な膜になりません。  そこで、真空に近い状態で反応させる事で、生じた膜の材料物質は、塊になるほど高密度では生じないため、原子や分子の状態で基板上に堆積し、基板の表面で初めて結晶化しますから、ある程度均質な膜を作る事が出来る訳です。  窒化ケイ素膜をLPCVD法で製膜する際には、ジクロロシラン(SiH2Cl2)とアンモニア(NH3)を原料ガスとして使用して、700~800℃程度に加熱する事で反応させる、熱CVDや、原料ガスにシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)を用いて触媒表面で反応させるCat-CVD、シラン(SiH4)とアンモニア(NH3)をプラズマ化させて反応させるプラズマCVD、等、様々な方法があります。 【参考URL】  化学気相成長 – Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E5%AD%A6%E6%B0%97%E7%9B%B8%E6%88%90%E9%95%B7  低温触媒CVD法による低応力窒化シリコン膜の形成   http://www.irii.jp/theme/h17/pdf/guidance04.pdf  CVD   http://www2.nsknet.or.jp/~azuma/c/c0108.htm 「被膜(レジスト層)をスピンコーターで製膜、露光」  レジストとは、フォトレジストの略で、光が当たると性質が変わる樹脂の事です。  良く会議等で使用されるスライド投影装置は、元となる図形が表示されているフィルムや液晶を透過した光を、スクリーンに拡大して投影していますが、半導体や液晶パネルの製造工程では、マスクと呼ばれるスライドのフィルムに相当するものに刻まれた回路のパターンを、基板上に形成したレジスト層の上に、縮小して投影する事により、微細な回路のパターンを感光させたレジスト膜を作り出します。  このレジスト膜に回路のパターンを投影する工程が露光です。  そして、光が当たった部分と当っていない部分の性質の違いを利用して、配線パターンに従ってレジスト膜を除去してから、エッチング等を行う事で、基板上に微細な回路を形成しています。 【参考URL】  フォトリソグラフィ – Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%BD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC  半導体製造工程の部屋 > *半導体製品製造試験の講座(集積回路チップ製造作業)> フォトリソグラフィ   http://www1.ocn.ne.jp/~raichi/test/raichi/tpl/tpl.html  成膜とは基板上に薄い層を形成させる工程の事で、レジスト以外の層を形成する場合でも成膜と言います。  レジスト膜は、膜厚にムラが無い事が要求されます。  そのため、スピンコーターという回転台の上に載せた基板を高速回転させ、その上にレジスト膜の材料を溶かした溶液を流す事で、遠心力でレジスト溶液を薄く広げ、均一な厚みを持つレジスト膜を形成させます。(溶剤は基板を加熱する事で、蒸発させて除去します) 【参考URL】  スピンコート – Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%B3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%88  尚、近年では、均一な膜を得るためと、廃液の量を減らすため、真空容器内の真空度が溶剤や水分の蒸気によって上げ難くなる事を避けるため、等々の理由から、スピンコート法ではなく、フィルム状に加工されたポジレジストであるドライポジレジストフィルムを貼り付けるという方法が使われる事が少なくありません。 「露光」  フォトレジストの種類は、ネガ型フォトレジストとポジネガ型フォトレジストに大別されます。  ネガレジストは、光が当たると硬化する性質を持った樹脂で、露光して硬化させた後は、硬化していない部分を有機溶剤で溶かして除去します。  しかし、硬化した部分も溶け難いというだけであり、全く混ざり合わないという訳ではなく、有機溶剤が硬化した部分に浸み込んで、硬化した樹脂を膨潤させてしまうため、あまり細かなパターンを作るのには向いていません。  このため、現在ではネガレジストは廃れています。  ポジレジストは、光が当たった場所の分子構造が変化し、アルカリ性の水溶液に溶け易くなるという性質を持った樹脂が、主に使用されます。  ポジレジストの主流は、ジアゾナフトキノン等を主成分としたノボラック樹脂等で、ジアゾナフトキノンは、芳香環の置換基としてケトン基とジアゾ基が隣り合っている分子構造をしていて、光が当たると、ジアゾ基の部分が分解する事により、分子内で原子の結合が組み換わり、ケトン基の部分がカルボキシル基に変化します。  カルボキシル基は水素イオンを放出してカルボン酸となり易いため、アルカリ性水溶液中では、マイナスイオンなって溶けます。  この性質を利用して、ポジレジスト膜を露光した後、現像液と呼ばれるアルカリ性水溶液で基板を洗浄し、光が当たった部分の樹脂のみを溶かして除去します。 【参考URL】  ABCパラメータって何?   http://ltj2.jun-sekiguchi.com/A-1-1.pdf  ポジレジストの現像液には、TMAH(テトラメチルアンモニウムN(CH3)4+)水溶液か、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液、メタ硅酸ナトリウム(Na2SiO3)水溶液等が使用される場合が多い様です。  この露光後のレジスト膜の不要な部分を除去する工程の事を、ポジ型でもネガ型でも現像と言います。 ※質問内容が、複数の事柄に関するものであるため、回答欄の入力文字数の制限内では、全てを回答する事が出来ません。  そのため、残りの事柄に関する回答は、次の回答で行わさせて頂きます。

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  • kagakusuki
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回答No.2

 回答番号ANo.1です。 「プラズマで窒化ケイ素をエッチングする.」  半導体や液晶パネルの製造工程におけるエッチングとは、基板の表面を腐食させて、レジストで保護されていない部分の幕を取り除いたり、基板表面に溝を作ったりする工程の事です。  先述の現像工程によって、基板の表面にはレジストで被われた所と、被われていない所が出来ます。  そこで現像の後でエッチング処理を行うと、レジスト層の前に製膜した層を、露光の際の回路パターンに従って除去する事が出来、レジスト層に保護されて除去されずに残った部分が回路を形作る事になる訳です。  昔は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、ヒドラジン(N2H4)等のアルカリ性水溶液を使用して、シリコン層をオルトケイ酸(H4SiO4)に変化させて溶かしたり、金属層やシリコン層を硝酸(HNO3)等の酸で溶かす、ウェットエッチングが行われていました。 【参考URL】  エッチング   http://www.wakayama-u.ac.jp/~hjs/lab/naiyou/etching.html  高速シリコン異方性エッチング液   http://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/59/2/104/_pdf/-char/ja/  しかし、液体は容器や配管内のパーティクル(埃等の粒子)を巻き上げたり、不純物を溶かして反応容器内の汚染の原因となったり、薬品を溶かす溶剤自体が、他の工程における不純物となったりするため、現在ではエッチングはもちろん、他の多くの工程においても、液体を使用せず、真空容器内で希薄な気体やプラズマを反応物質として使用する、ドライ工程(エッチングの場合はドライエッチング)に置き換わっています。 【参考URL】  半導体製造工程の部屋 > *半導体製品製造試験の講座(集積回路チップ製造作業) > DRY   http://www1.ocn.ne.jp/~raichi/test/raichi/tdry/tdry.html  プラズマを使用するエッチングという事は、ドライエッチングの一種である事は確かですが、プラズマを使用するエッチング方法には幾つかの種類があるため、どの手法の事を指しているのかは判りませんが、現在の処、主流となっているのはRIE(リアクティブイオンエッチング)と呼ばれる手法の様です。  RIE装置では、真空容器内に2枚の平行電極を持ち、その間に基板がセットされます。  2枚の電極の内、基板の表側の電極の方は、電源に直接接続されているのに対して、裏側の電極の方は、コンデンサーを介して電源に接続されています。  又、基板の表側の電極は大地にアースされています。  真空容器内に、テトラフロロカーボン(CF4)等のフレオンガス、或いは六フッ化硫黄(SF6)の様に、何れも分解すると腐食性の強いイオン(或いはラジカル)を生じる気体を導入し、容器内を真空に近い低圧にします。  そして、電極間に高周波電圧を印加すると、電極間を流れる高周波電流によって、真空容器内の気体がプラズマ化します。  高周波電流が流れると、プラズマ中の電子は、イオンよりも軽いため速く移動し、電極に到達した後、電源へ移動しようとしますが、基板の裏側にある方の電極と電源との間にはコンデンサーがあるため、電子は電源へ移動する事が出来ず、裏側の電極はマイナスに帯電します。  それに対して表側の電極はアースされているため、帯電しません。  そのため、プラズマ中のプラスイオンは、マイナスに帯電した裏側にある電極に引かれて、基板の表側から裏側に向かう方向に加速されます。  こうして、基板の表面には、プラズマ中のプラスイオンが降り注ぐ事になります。  RIE装置内のプラズマは、フレオンガスや六フッ化硫黄の様にフッ素を含んでいるガスが電離したものですから、基板に降り注ぐプラスイオンの中には、フッ素原子を含むイオンや、フッ素原子が無理やり電子を奪われる事で生じたフッ素のプラスイオンが含まれています。  そのため、基板表面物質はフッ素に腐食されて取り除かれます。  例えば、窒化ケイ素の場合は、ケイ素はフッ素と結びついてテトラフロロシラン(SiF4)ガスとなり、分解によって生じた窒素ガスと共に、真空容器内に拡散して、基板表面から除去されます。 【参考URL】  ドライエッチング – Wikipedia   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B0  半導体製造工程の部屋 > *半導体製品製造試験の講座(集積回路チップ製造作業)> ドライエッチング   http://www1.ocn.ne.jp/~raichi/test/dry/dry.html 「被膜(レジスト層)を取り除く.」  エッチング工程やイオン注入工程が終了し、不要になったレジスト膜を除去する事です。  昔は、有機溶剤を剥離剤として使用してレジストを溶解して除去するウェット工程が行われていましたが、現在ではオゾンやプラズマを使用して、レジストを酸化して(燃やして)除去する、ドライ工程による剥離が主流となっています。 【参考URL】  特許庁 > 資料室(その他参考情報)> 標準技術集 > 半導体製造装置関連真空・クリーン化技術 > 1-9  レジスト剥離装置(アッシング装置)における技術説明   http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/semicon_vacuum_tech/1_9.htm  余談ですが、質問者様が、もしも将来的に半導体や液晶の製造関係の知識を必要とする分野へ進む予定で居られるのであれば、この程度の知識に関しては、この様なQ&Aサイトに頼らずとも、御自身で調べる事が出来る程度の資料は御自宅に揃えて置かれるべきだと思います。  専門書は高価なものが多いですが、将来に向けた必要な投資なのですから、費用を惜しんでいては、御望みの進路で進む事は出来ません。  それに、この回答で必要となる程度の知識であれば、大きな都市の大きな書店で手に入る、2000~4000円程度の専門書が1~2冊程度あれば解る事です。 (例えば「はじめての半導体プロセス」[前田和夫 著/工業調査会 刊] 【参考URL】   http://books.google.com/books?id=pR7xAAAACAAJ&hl=ja&source=gbs_similarbooks)  ついでに、役に立ちそうなサイトを、以下に掲載しておきます。 【参考URL】  特許庁 > 資料室(その他参考情報) > 標準技術集 > 半導体製造装置関連真空・クリーン化技術   http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/semicon_vacuum_tech/mokuji.htm  半導体製造工程の部屋   http://www1.ocn.ne.jp/~raichi/index.html  雑科学ノート > 微細加工の話   http://hr-inoue.net/zscience/topics/nanotech/nanotech.html

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