宇宙開発といっても,貴殿のおっしゃるようにとても幅広いものです.
「宇宙ステーション」や「H2ロケット」にたずさわる人もいれば,表には知られること無く,没になったミッションに10年くらいを費やした人もいます.あるいは,いまはまだ実現できないけれど将来いつか使われる技術(すごいアンテナ,とかすごいエンジンとか)の開発に関わっている人もいます.
まず,仕事の大まかな分類としては
「研究職」
「マネジメント」
「メーカーの実働部隊」
の3つに分けられると思ってよいでしょう.
研究職はその名の通り,将来使われる技術の可能性を追求する仕事です.こういう仕事をしている人たちは,だいたい有名な大学の博士課程を出て,大学の航空宇宙工学科の先生をしていたり,JAXAの研究専任系の募集に応募したりします.学会という会議に頻繁に出て,世界中の研究者と交流します.研究者が開発した新しいアンテナやエンジンは,将来何かのミッションで使われることもあるし,未来永劫使われないこともあります.「はやぶさ」で使われたイオンエンジンは,実は1960年代から研究されていたのですよ.最近出来たのではありません.研究職は,一般には相当の学力(大学の先生になれるくらい)が無いと出来ない仕事です.数学や物理をしっかり勉強してくださいね.
マネジメントは,ミッションの計画を立てて,メーカーに振り分ける仕事です.数字や物理に強いかどうか,というよりも人を管理する能力が問われます.宇宙ステーションをやってる,ロケットをやってる,自分が考えた宇宙開発をしているという実感を何となく味わえるのはこの人たちだと思います.しかしながら,基本的には,新しいことを何でもかんでも試すというようなことは出来ません.研究者が長い年月をかけて確立した新技術と,メーカーさんが持っているこれまでの経験をうまく組み合わせて,ミッションの計画を立て,メーカーに発注します.これをやるならJAXAの一般職(募集では研究開発系という名前ですが...)に入るか,あるいは高所大所(宇宙基本計画を作るとか)では文部科学省に入るという手もあります.
メーカーの実働部隊は,JAXAから仕事をもらって実際にロケットや人工衛星を設計します.細かい配管や配線は全てこの人たちが考えて作っています.JAXAがどんなミッションを考えても,この人たちがいないとロケットも人工衛星も出来ません.JAXAの人は細かい配管や配線のことは知らないし,実際のロケットに触ったり,動かしたり,ということもあんまりしません.全部実際にやるのはメーカーの人です.ロケットを作るなら三菱重工(名誘・名航)・IHI,人工衛星は三菱電機(鎌倉),NECが親玉です.しかし,実際にはたくさんの子会社があり,子会社(菱友システムズ,IHIエアロスペースエンジニアリング,三菱電機エンジニアリング,NEC航空宇宙システムなどなどその他たくさん)が重要な役割を果たしている部分も多いのです.
いまは高校生ですか?これから無限の可能性がありますね.SFやアニメの影響で奇想天外な技術を研究してみたいなら,研究者の道しかありませんね.ものを作ったり,電気工作をしたりすることが好きでしたら,メーカーに行くのが一番楽しいでしょうね.火星探査ミッションや惑星探査ミッションを発案してやりたいなあ,って漠然と思うならJAXA採用に応募するのでしょうね.
昔は東大や京大の立派な大学院を出ないと宇宙開発の仕事には就けない,と言われていましたが,いまはそんなことはありません.あまりぱっとしない大学出身でも,それ相応の立場で,宇宙開発に関わることができます.JAXAや親玉メーカーに入るのは実際至難の技ですが,自分の実力相応でこれらの子会社を目指すというのもいいと思いますよ.多くの人は縁の下の力持ちを知らないのです.
お礼
今は一浪です。 ものづくりもしたいし、ミッションの発案もしたいです。 親玉に入りたいので頑張ります :) 回答ありがとうございました。