不動産会社勤務です。
自殺や殺人と言った俗に言う『事故物件』(瑕疵物件ともいう)の要件としては、『嫌悪すべき歴史的事実』というものがあります。
意味は、読んで字のごとくです。
自然死(寿命が尽きる=診断は心不全と思われ)の場合、これは自然な事なので『嫌悪すべき歴史的事実』とは言わず、自殺や殺人とは別の扱いになっています。
ただし、発見が遅れて腐乱してしまった場合は、『嫌悪すべき歴史的事実』とみなされるという裁判例はあります。
>死亡した事を伝えなくてはいけないのでしょうか?
実は事故物件の扱いでは『伝えなければいけない』という法律的な定めはありません。
ただし、伝えなかった事であとから契約解除や減額や損害賠償を請求されるというマイナスがあるだけです。
不動産業者であれば、行政処分までありますしね。
【本件の場合、次の入居者へ伝えるかどうか】
死亡の事実は、遺族にとってはプライバシーやセンシティブな問題です。
それを不用意に第三者へ伝える事はプライバシーの侵害や個人情報保護(センシティブ情報の漏えい)とみなされる可能性もあります。
実は、このあたりが事故物件の扱いの難しいところです。
その部屋で死亡した事を他の居住者や近所の人が知らなければ、次の入居者へは通知しない方が良いでしょう。
良い意味で「知らぬが仏」です。
死亡の事実が周知であれば、その事実は説明した方が良いでしょう。
ただし、死亡したのは病院とした方が良いでしょう。(前の居住者は体調を崩して病院へ運ばれて、そのまま病院で亡くなりました、とか)
新入居者へ近所の人が「室内で死んだ」と話をしても、噂話に尾ひれがついたとすれば足ります。
お祓いはしておいた方が、宗教的にも道義的にも法律的にも良いでしょう。
借りる人もそれで気が楽でしょうし、告知しない場合でもせめてもの気遣いです。
事故物件の扱いは弁護士ごとに見解が分かれるくらい扱いが難しいです。
自治体や弁護士会で実施している無料法律相談会へ一度足を運ばれてみると良いかと。
ご参考までに。