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設備投資の経済性計算の問題
- 当社のX事業部は厳しい経営環境に置かれており、前年度の年間業績は赤字であった。
- 当事業部は各年度末に年間減価償却費に相当する取替投資を行っており、前年度と同じ業績が今後も永続すると予想される。
- 当事業部が保有する資産の簿価は8000万円であるが、事業部を廃止した場合、資産は3000万円で売却できる。毎年度の現金支出固定費のうち1000万円は回避不能である。社内税金の税率は40%であり、資本コストは8%の水準で永続する。
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一見ややこしい問題ですが、計算に必要な数値は限られているのがニクイですね。 まず、質問にお答えします。 「なぜ資本コスト0.08で割るのか?」ですが、それは問題文の「前年度と同じ業績が今後も永続すると予想される」という一文がポイントです(「毎年」の税引き後経済効果の「毎年」に注目)。 言い換えると、「同じキャッシュ・フロー(CF)が永続する」ことになります。 株式投資について勉強されていればここでピンとくる筈です。 「配当割引モデル」をご存知でしょうか。 このモデルは一言で言うと「一定の配当が永続するとき、『株価(配当の総額)=配当÷利率』になる」というものですが、これを「一定のCFが永続するとき、『経済効果の合計=CF÷資本コスト』になる」と読み替えてみてください。同じ考え方をしてることに気づくかと思います。 なぜ、このような式になるのか?については、多少数学の知識が必要です。が、簡単に説明してみます(読み飛ばしていただいて結構です)。 毎年のCF(税引き後経済効果)をCと、資本コストをr、毎年の税引き後経済効果の合計をEとします。 E = C + C/(1+r) + C/(1+r)^2 + … + C/(1+r)^n・・・(1) (1)を1+rで割ります E/(1+r) = C/(1+r)+ C/(1+r)^2 + C/(1+r)^3 + … + C/(1+r)^n・・・(2) (1)から(2)を引くと一気に簡単になります。 E-E/(1+r) = C ・・・(3) あとは、この(3)を展開していきます。 E(1-1/(1+r)) = C E = C/r 証明終わり。 蛇足が長くなり申し訳ありません。 X事業部の税引き後のCFを計算すると 営業収入が10000。営業費用は「現金支出固定費のうち1000万円は回避不能である」ため埋没コストとして控除して9400。差額の600に社内税率40%分を差っ引けば、 360のキャッシュ・インフローであることがわかります。 あとは、これが毎年続くので、割引現在価値(毎年のCFの合計額)は、前述した考え方を用いて、資本コスト8%で割ってやればよいことになります(もちろん、割引計算しながら延々と足していけば近似値は出せます)。 長くなって申し訳ありません。 要約すると、一定の利率で同じ額のCFが永続するする場合、「CF合計額=毎年のCF÷利率」が使えるということです。問題頑張ってください。