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公理と定義の違い
公理と定義の違い 公理と定義の違いはなんでしょう。 例えば、1^0=1 は公理でしょうか。定義でしょうか。それ以外でしょうか。 あるいは、2乗して-1になるのを i とするのは公理でしょうか。定義でしょうか。それ以外でしょうか。 このサイトや他のサイトも検索してみましたが、 理解できるものがありませんでした。
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No.2, No.3回答の「公理」「定義」の説明は,数学におけるスタンダードな解釈とは思えない(ものすごく特殊な解釈だと私は確信する)ので,鵜呑みにしないで慎重に受け止めてください.私は20年近く数学の研究に携わっていますが,「定義とは公理の集合である」と主張する数学の専門家に出会ったことはありません. そもそも,数学を離れて,一般に「定義」とは何でしょうか? 定義とは読んで字の如く「義」を「定」める,つまり,何かの「意味を定める」ことです. 蛇足ながら,英語の definition は define の名詞形ですが,define は「境目をくっきりさせる」(テレビやオーディオの high definition はこの意味),転じて「(言葉の)意味をはっきり決める」という意味です. 数学で何かを「定義する」というときには,通常,何か新しい用語なり記号を使おうとするときに,その用語をどのような意味で使うか(どのように解釈すべきか)を,すでに意味がはっきりしている用語や記号を使って書き表すことによって「定める」行為を指します. 「定義」という名詞は「意味を定める」という行為自体を指す場合もありますが,多くの場合,ある用語や記号の「定められた意味内容」のことを,その用語や記号の「定義」と言います. たとえば,数学の文脈で「対角線が直角に交わる平行四辺形を菱形という」と述べたとすると,「菱形」という用語の定義は「対角線が直角に交わる平行四辺形」である,といえます.もっとも,この定義には「対角線」「直角」「交わる」「平行四辺形」という用語が使われているので,定義の中に現れるこれらの用語もやはり定義されている必要がありますが. 「2乗して-1になるのを i とする」は,複素数の理論がすでに確立していることを前提とすれば,i という記号を「2乗して-1になる複素数」として定義していることになります(ただし,厳密には,2乗して-1になる複素数は2個存在するので,i という記号は「それら2個の複素数のうち『定まった一方』」とする必要があります). 「f(x) を x^2+x+1 とする」のように,その場限りの議論のために x^2+x+1 という式を f(x) という記号で表すのも,f(x) という記号の(その場限りでの)解釈のしかたを定めるという意味で,ひとつの「定義」です. 1^0=1 はちょっと難しいです.そもそも m^n をどう定義するかによります. ここでは,中学生にもわかる流儀で「m^n とは,m を n 回掛けて得られる値である」を m^n の定義としましょう.このとき,n が1以上の整数なら,この文で m^n が何であるかがはっきりするので,n が1以上の整数の場合について m^n は定義されました.しかし,この文だけでは m^0 を何と解釈すべきかがわかりません.つまり,この文だけでは m^0 は「定義されていない」状態です. そこで,n が1以上の整数のときの m^n の定義に付け加えて,「m^0 は 1 と『定めます』」と宣言することによって,m^0 とは何であるかを「定義」しましょう,という話になるわけです.この意味で,m^0 = 1 という式は「m^0 の定義」といえます. おおもとの質問文を読んで気になるので念を押しますが,「定義」というのは,必ず,意味を定めたい用語なり記号があって,その用語や記号の意味を説明して意味を定める行為です.だから,数学で「定義」というときには,必ず「用語○○の定義」「記号□□の定義」「『△△は▼▼である』という文の定義」のように,「『意味を定めようとする用語・記号』の定義」という形をとらなければなりません. 単に数学的主張を書いただけでは(本来は)それは定義ではなく,「これこれの用語・記号を『これこれの意味』と定めます」という宣言の形をとって,はじめて定義と呼ぶにふさわしい行為といえます. 1^0=1 は,その式だけでは「定義」の体をなしていなくて,「この等式をもって『1^0』とは何かを定めます!」と宣言しているとみなすことで,はじめて定義といえるのです. 数学における「定義」の意味(なぜ数学では「定義する」という営みが重要なのか)については,下記の本に明快な解説が書かれていますので,一読をお勧めします.第1章の表題がズバリ「定義とは何か」です. 新井紀子(著)「math stories 数学は言葉」(東京図書)
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- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
質問氏が私の回答の内容を読み誤らないように、私も、あと一言だけ。 No.2 以来、解説しているのは、 「意味」や「解釈」を持ち込むことなく、 形式的にキチンとやるべきだ…ということです。 「体の定義」や「ベクトル空間の定義」のような 使い回しの利く大道具も、 「f(x) の定義」のような使い捨ての小道具も、 それが「定義」であることに違いはありません。 それらを区別する基準は、どちらが有用か といった主観的な価値判断であって、 数学的形式とは本来無縁のものです。 個別具体的な問題を解くために「f(x)=x2+x+1 と定義する」場合でさえ、 既存の解析学(代数学かな?)の体系に f(x) の定義を添加して、 体系そのものを拡張しているのです。 これは、「公理」と聞くとまずユークリッド原論を 思い出すような、真っ当な数学との関わり方 をしている人には、なかなか理解しにくいこと かもしれませんが、 そっち側の人が何を主張しようとも、 基礎論を行う舞台としては、ごく常識的なもの なのです。
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- boiseweb
- ベストアンサー率52% (57/109)
なるほど,やっとalice_44さんの主張の意味が分かりました.同時に,alice_44さんと私の議論が完全にすれ違いだったことも認識できました. No.6の舌の根の乾かぬうちに投稿するのは気が引けますが,すれ違いの原因についての私の見解を記しておくことは,後々この質問を参照する方々のために重要と思いますので,あえて記します. alice_44さんが念頭に置く「定義」というのは,「体の定義」とか「ベクトル空間の定義」のような,そもそもの体系の構築という意味での「定義」なのですね. そのことを指して「(公理主義的数学の立場では)数学的体系の定義は公理の集合(公理系)を設定することでなされる」と言うのなら,それは違和感がありませんし,数学の専門家の考えとも一致します. ただ,そのことだけを根拠に「定義とは公理の集合である」と断言するのは,いくらなんでも勇み足というものでしょう. 数学における「定義」という語の使われ方は,体系の構築だけではありません.すでに構築された体系の内部での記号や用語の導入,あるいは「f(x) を x^2+x+1 とする」のような一時的な記号の置き換えもやはり「定義」です.そして,これらは体系の構築としての「定義」とは区別されるべきものです. 一般の数学では,むしろ,こちらの意味で「定義」という語を頻繁に用います.私がNo.4で言及したのはこちらの意味での「定義」です. さて,miki_riseさんが挙げた例 (a) 1^0=1 (b) 2乗して-1になるのを i とする (c) f(x) を x^2+x+1 とする (d) 「対角線が直角に交わる平行四辺形を菱形という」(←修正済み) は, (1) (公理主義的立場での)体系の構築のための公理,公理系,あるいは定義 (2) (すでに構築された体系の内部での)用語や記号の導入のための定義,あるいは,一時的な記号の置き換えのための定義 のどちらの文脈で議論されるべきでしょうか.私はすべて(2)だと判断します.そして,(2)の意味での「定義」を説明するにあたって「定義とは公理の集合」という説を持ち出すのは,適切とは思えません(数学基礎論のスタンダードさえも外れています). 「定義とは公理の集合」という説明で押すのなら,例(a)(b)(c)(d)には触れないで,たとえば「ベクトル空間の定義」のような,ふさわしい例を新たに提示して,独自に論を展開すべきだったと思います(それがmiki_riseさんの質問への適切な回答かどうかはともかく).
お礼
この質問は締め切りました。
- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
私も、この投稿で最後にしますが… そもそもの質問が、公理と定義の違いを問うもの である以上、基礎論の問題として答えるのは、 当然であるように思います。 定義が公理の組からなる…というのは、 私の個人的な見解ではなく、 公理主義的な数学の定義として ごく標準的なものです。 そのことは、恐らく、基礎論の論文には わざわざ書いてはないでしょうが、 入門的な教科書には必ず書いてありますから、 確認してみるとよいように思います。
お礼
この質問は締め切りました。
- boiseweb
- ベストアンサー率52% (57/109)
失礼しました.No.6で質問者さんのニックネーム(miki_riseさん)を間違えて投稿してしまいました.お詫びします.
お礼
この質問は締め切りました。
- boiseweb
- ベストアンサー率52% (57/109)
回答者どうしで議論するのはこの場にそぐわないと思うので,この投稿限りで止めます. > あと、「定義」を定義する際に > 「解釈」を持ち出すのは、いただけません。 > 定義は、解釈とは独立に、形式として > 与えられるべきものでしょう。 alice_44さんがそのような立場で定義とは何かを特徴づけること自体は別にかまいませんが,それは,質問者(miki_roseさん)を巻き込んで行うべきではないと考えます.「定義は,解釈とは独立に,形式として与えられるべき」という思想に基づいて定義とは何かを語ることは,miki_roseさんのおおもとの疑問に答えるための道筋として適切とは思いません. No.4 は,「『定義とは何か』という質問者の疑問への答として適切であろう,数学の世界で広く合意されうる妥当な回答」として,数学に携わる多くの人々に(数学基礎論研究者にも,数学基礎論以外の数学研究者にも,数学研究者でない数学教員などの方々にも)同意していただけると考えています.「定義」という語の国語辞典的定義に言及することも,「解釈」を持ち出すことも含めてです. > 基礎論では、標準的な内容だと思いますが? そもそも,回答内容が「○○という研究分野で標準的な内容」であるかどうかと,その回答が質問者の疑問に答えるために適切であるかどうかは,別の問題でしょう. なお,私が20年近くの間に出会った数学研究者には数学基礎論の専門家が多数いますが,それでも「定義とは公理の集合である」と述べた人には出会ったことがありませんし,そのような主張を述べた論文も教科書も見聞きしたことがありません.
お礼
この質問は締め切りました。
- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
No.2 3 が「ものすごく特殊」なのは、 「定義」の定義を考えたりすることが、 数学の中でさえ、ものすごく特殊だからです。 基礎論では、標準的な内容だと思いますが? あと、「定義」を定義する際に 「解釈」を持ち出すのは、いただけません。 定義は、解釈とは独立に、形式として 与えられるべきものでしょう。
お礼
この回答は私には理解できませんでした。:-(
- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
そのとおり。定義は公理の集合です。 f(x) を x2+x+1 とする…は、略記であって、 (1) f は、関数である。 (2) 任意の x について、f(x) = x2+x+1 が成り立つ。 という、2個の公理からなる f の定義 を表しています。 菱形のソレは、公理でも定義でも定理でもなく、 単に偽な命題です。反例が在ります。
お礼
この回答は私には理解できませんでした。:-(
- alice_44
- ベストアンサー率44% (2109/4759)
公理とは、成立を証明抜きで仮定した命題のことであり、 定義とは、ある数学的対象に関する全ての公理を集めたもの のことです。 1^0 = 1 は、演算 ^ の定義を構成する公理のひとつですが、 他にも公理は必要で、これ単独では ^ の定義にはなりません。 2乗して -1 になるのを i とする…も、状況は似ていますが、 i の定義と複素数の定義を分離して、複素数のほうは大前提と してしまえば、「2乗して -1 になる複素数の一方を i とする」 は、ひとつの公理だけで i の定義となっているとも言えます。
お礼
> 公理とは、成立を証明抜きで仮定した命題のことであり これはわかります。 > 定義とは、ある数学的対象に関する全ての公理を集めたもののことです。 これがよくわかりません。 定義は公理の集合ということでしょうか。 そして、定義は仮定なのでしょうか、仮定ではないのでしょうか。 さらに例を追加すれば、 f(x)を x^2+x+1 とする。は定義でしょうか。それ以外でしょうか。 対角線が直角に交わる四角形をひし形と呼ぶ。は何になるのでしょうか。 (メモ) 公理:axiom 定義:definition
- koko_u_u
- ベストアンサー率18% (216/1139)
いずれも定義です。 公理というのはもっと「集合とは何か」とか「三段論法が成立する」のような議論の大前提となる仮説のことです。
お礼
No2 の方は 1^0 = 1 が公理であると書かれています。 大前提となる仮説と大前提とならない仮説の違いは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。 また、仮説と仮定はどのようにちがうのでしょうか。
お礼
定義については前より理解できるようになりました。 公理はまだ調べています。 本も探してみようと思います。