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民主党の主張する一括交付金というのは従来の地方交付税交付金とどう違うの

民主党の主張する一括交付金というのは従来の地方交付税交付金とどう違うのでしょうか? よろしくお願いします。

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  • issaku
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回答No.1

一括交付金は、自治体が行う個別の投資的なハード・ソフト事業に対して国が強く関与する、いわゆる「ひも付き補助金」の代替として検討されている制度であり、地方分権化の重要な鍵としてかなり以前から地方自治体が政府に要求していた補助事業自由化の抜本的な具体化策です。 おおむね、公共事業における官僚的な欠点といわれるマネジメント全般の硬直性や事務手順の煩雑性を回避することにより総体的な投資効果増を図り、あわせて自治体施策の独自化・重点化によって地方分権の強化を図る制度だとされます。 また、各省庁が別々に補助事業計画を策定するなど多重投資化しているインフラ整備等の事業管理を地方に一括委任することで公共事業の無駄を省く意図もあるということです。 制度化への課題として、自治体の事業計画を個別に国が認可するという手順が大幅に減りますので、国土計画全般との整合性や生活基盤整備の全国画一的な公平性をどのように担保するのかなどが懸念されているほか、セーフティネットに関わる事業を含む補助事業を軒並みに枠予算としてしまうと社会保障制度の地盤沈下が加速化するという意見もあります。 これらは自治体が義務的に行う基本的な行政需要の不足分を税財源の偏在補正の一環として補填する「地方交付税」とは別の制度です。 卑近な比喩で云うと、交付税交付金は「月々の生活費の仕送り」、補助金・一括交付金は「臨時的な費用のための仕送り」というのが近いでしょうか。(自分の子どもだったら「アルバイトしろ」で済みますが、自治体の場合だと「税率(税収)を上げろ」ということになってしまいますので少々具合が悪いのです) 地方交付税制度では、基本的には地方自治体が法的義務により実施する各種の事業の経常経費と国が一定の基準内で定める投資的事業経費を行政需要の対象範囲としており、自治体がある程度以上の投資的な独自事業を実施するためには別途、国の用意する補助メニューから地域の個別需要に近似するものを選んで認可を受け実施します。 補助事業の総経費の大半は国から直接補填され、残りを財政投融資枠から借金する地方債で埋め、更に条件の不利な自治体に対してはその返済分が交付税交付金に加算され、というかなり複雑な流れですが、一括交付金が制度化されると「地方交付税+地方一括交付金」の財源の中で事業計画が策定される形式となります。交付も従来の事業単位から団体単位になりますので、個々の事業間での計画調整や過不足金の融通が容易になって無駄や不正経理の温床が見直されます。 財政投融資と地方財政計画の今後の展開が良く見えないので、実際のところの具体的な財政効果や事業効果が改善に向かうのかどうか不明ですが、少なくとも事業決定に至るまでの透明性に関しては、プロセスのコアな部分が地方自治体・議会のステージに引き下ろされることにより確実に改善されるでしょうから、地方自治が健全に運営される限りは国民の利益に資する制度となり得ると思われます。 もっとも、「地域主権戦略大綱」として先月閣議決定された制度案は中央省庁の関与をかなり強く打ち出しており、地方側から見ると「大幅に後退」したものとなるようです。 そもそも補助金制度を利用した事業予算枠確保は許認可と並んで中央官庁の権力の大きな部分ですので、相応の抵抗があるのは最初から判っていたことです。 「脱官僚政治」が虚勢へと変わりつつある現政権の腰砕けな傾向がここにも顕れていると看るのは私だけではないでしょう。

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