- ベストアンサー
小野善康氏の経済学者としての評価と影響
- 大阪大学教授の小野善康氏は経済学者として高い評価を受けています。彼の学説は菅首相にも影響を与えており、財務省の緊縮財政思考に反する立場を取っています。
- 小野氏は国債について、「将来の子供達の負担にならない」と主張しています。この点で菅氏との意見の違いがあります。
- 小野氏は経済学の分野でも注目される存在であり、彼の学説は異端派として分類されることがあります。
- みんなの回答 (3)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
> 経済学の分野でも、主流派とか異端派とかに分かれたりしているんですか? > もしそうなら、彼はどちらに属するのでしょう? かぎりなく主流に近い異端です。 基本的な面は主流派と同じですが、幾つかの「独特な仮定」を置くことによって、いわゆる「小野理論」を形成しています。 ただ、ブレーンとしての手腕は未知数です。というのも、小野教授はマクロ経済理論を専門としており、実証的な分野は専門ではありません。例えば小野教授の「独特な仮定」については、現実に妥当するかどうかについてかなり議論は分かれるところです。 例えば、いかに優秀であっても理論物理学者が優秀なエンジニアである保証はないのと似ています。 > 菅氏は財務大臣になってから、財務省の緊縮財政思考になっているようですが、 菅氏は、拡大志向です。というか、経済を全く分かっていないというのが正確なところと思われます。例えば「増税すれば景気が良くなる」などという発言は、完全に拡大志向です。 > 小野氏はちょっと調べたところでは、「国債は必ずしも将来の子供達の負担にはならない」と言っております。 確かに一面では、国債は必ずしも将来の子どもたちの負担にはなりません。 日本のように内国債の場合では、国債は国内の人の資産でもあります。したがってその償還も国全体で見れば所得移転に他ならないため、AさんからBさんにお金が移動するだけになります。この面から言えば子どもたちの負担にはなりません。 問題は、この流れが資産を持っていない層から持っている層へという流れになりやすいことです。 > 菅氏はこの点では小野氏の影響を受けていないように見えるのですが? 菅氏が影響を受けているのは、適切な事業選定を行いそこへの集中的な資本投下を行えば結果として増税しても景気は良くなる、という部分と思われますが、適切な事業選定が行われるという前提が満たされる保証は今のところありません。 因みに、公共事業についても、一過性のものではなくて将来的な投資であるべき、というのは、ケインズの時代から言われていることです。小野教授ももちろんその点については指摘しているはずです。 > 菅氏にどのように影響を与えているのか 所信表明演説に、小野教授の本からの引用と思われる部分が存在します。
その他の回答 (2)
- beingpeace
- ベストアンサー率19% (203/1025)
オシエテクンの質問者の考えの為、理解できるかどうかは分かりませんが、小野理論を支持している小島寛之先生のブログの記事を転載させていただきます。ケインズの考え方と小野理論の異同をレジュメにしたものです。 ケインズ芸人と呼ばないで [1] 今回の世界同時経済危機の原因 経済パフォーマンスの低下の原因は、おおまかに言って「供給側」「需要側」の2通りがあるが、今回の危機の原因は、明らかに「需要側」である。 [2] 不況の原因に関する学説 需要側による不況の研究はあまり進んでおらず、一般性・現実性の高い理論は以下の2つしかない。 ケインズの不況理論(『雇用、利子および貨幣の一般理論』)→以下[ケ]と略記 小野善康・阪大教授のデフレ不況理論→以下[デ]と略記 [3] 需要不足不況理論としての対比 物価 ポイント 不況の原因 数理モデル [ケ] 固定的 投資不足 貨幣(流動性)への固着による利子高 不完全 [デ] デフレ 消費不足 貨幣(流動性)への固着によるデフレ 完全 今回(および平成不況)はデフレを伴っているので、[デ]がより説得的だと思われる [4] バブルから不況への遷移メカニズム [ケ] 好況→資産市場への素人の参入+投機家の投機的行動→バブル→投資の有利さの消滅の発覚→バブルの崩壊→貨幣(流動性)への執着→失業増→将来への不安→貨幣(流動性)へのより強い執着→金利高→投資不足→消費不足→慢性不況(あるいは恐慌) [デ] 好況→証券の過剰流動性→過剰消費→バブル→高い証券価格への疑念・不安→バブル崩壊→証券の流動性の消滅→流動性欲求の貨幣への集中→過小消費→失業増→デフレ→資産価値の相対的増加→増加価値がすべて貨幣(流動性)保有に吸引→慢性不況(あるいは恐慌) [5] 財政政策の効果 普遍的に言って、財政政策はもちろん「雇用対策」としては有効である。また、需要不足から不況が来ているのだから「需要の追加」としての意義はある。減税、所得移転、財政政策はどれも「国民間の購買力の移転」を意味しているから、「モノ」が生み出される財政政策が最も社会的効率性を持っている。財源(増税、国債増発、財源用途変更)は問題ではない。環境破壊的事業などの社会的非効率性を伴わない限りにおいて「副作用」は考えにくい。 [ケ] 減税、所得移転、財政政策のうち、財政政策が最も有効。GDPの増加があるので「景気対策」となる。どんな「モノ」を作るかに依存しない。「乗数効果」と呼ばれる(→論理的な誤謬が指摘されており、実証的にも否定的な結果が多い)。財政政策では民間消費は変化しない(景気対策ということと矛盾している)。3つの政策はすべて、「富者から貧者への移転」であるなら効果的。効果は施行時のみに限定される。 [デ] 減税、所得移転、財政政策のうち、財政政策のみが有効。雇用増加によるインフレ(デフレ緩和)圧力で消費が刺激されることによる。政府消費が追加されるだけでなく民間消費も増加する。消費水準の上積みは限定的なので緩和程度の効果。景気対策と考えず、失業者や遊休設備を使って将来に残す社会インフラの低コストでの建造という捉え方をすべき。3つの政策はすべて、「富者から貧者への移転」であるならばデフレ緩和圧力による消費刺激として効果的。 [6] 金融緩和政策の効果 [ケ] 低金利誘導は投資の刺激に有効。貨幣供給量の増加は利子率を下げ、投資の刺激によって有効需要を押し上げる。しかし、「流動性の罠」にはまりこむと金融政策は効かなくなる。 [デ] 低金利誘導は、銀行の不良債券の解消という意味で有効。貨幣供給量の増加は、一時的である限り無効。恒常的な貨幣量拡張は、デフレを緩和して消費を刺激するが、完全雇用水準を回復するためには大きなインフレ(スタグフレーション)を伴う。このような乱暴な貨幣拡張は、貨幣の信頼を損ない流動性の毀損・逃避をもたらす副作用がある。貨幣拡張を止めたとたんもとのデフレに戻ってしまう。 [7] 銀行の救済の効果 [デ] 預金通貨は、流動性の一種であるから、銀行不安は流動性の減少を追い打ちし不況を深刻化させる。流動性の維持という意味で、あくまで銀行選択的な範囲内でなら有効。 [8] 賃金の切り下げ(経営の合理化)の効果 [ケ] 賃金の切り下げ促進は、消費を減退させデフレスパイラルを招き、不況を深刻化させる。 [デ] 賃金切り下げ促進は、デフレの速度を速め、貨幣保有をより有利にすることで消費をより萎縮させ、不況を深刻化させる。 [主な参考文献] 小島寛之『容疑者ケインズ』プレジデント社 小野善康『景気と経済政策』岩波新書
お礼
回答ありがとうございます。 残念ながら、今の私には彼の著作を直接読んで判断する力がありません。 勿論、アインシュタインが相対性理論を発表した時、彼の考えが当時の物理学者たちのレベルを超えるものだったので、受け入れられませんでした。こういうこともあるかと思いますが、小野理論の現在の経済学界における評価を知りたいと思ったわけです。 読んで分かるかどうか、一応読ませて頂きます。
- beingpeace
- ベストアンサー率19% (203/1025)
あまりに経済学と言うのは派閥争いが激しいのでネット書き込みを読むより自分で本を読んでその是非を批判検討した方が良いと思います。 ちなみに、私は小野教授の分析は日本で最も鋭いと考えています。
お礼
回答ありがとうございます。 私は経済の素人ですので、もし、小野氏の著作だけを読めば小野氏と同じ考えになってしまうと思います。 小野氏がたとえ間違っていても、それを見抜くだけの知識が私にはないからです。 先にも書きましたが、ある分野で自分で判断できるだけの力量を附けるのには最低でも10年はかかると思います。そこまでやりたいとは思っていません。ここでの質問は、まあ、彼に対する概要を知りたいだけなんです。
補足
回答ありがとうございます。客観的な見方を教えて頂き大変参考になりました。 小野氏は独特な仮定を持つ「小野理論」を持っているのですか。なかなか恐いですね。 理論物理学などと違って、経済学は現実の国民生活に直結しているので、真偽のほどが証明されていない理論で国家経済を指導するというのは非常な不安を感じます。 どの分野でも同じだと思いますが、自分の頭で考えて判断できるようになるには、毎日その勉強に没頭して最低でも5~10年はかかるのではないでしょうか? ある宗教団体に入って、1年もすると、いっぱしの宗教論を口にする人がいますが、菅氏のにわか勉強にそれと同じ臭いを感じるので質問しているわけです。 財務省の官僚自体が東大の法学部出身ばかりで、経済のことを全く解ってない連中とも聞きました。 このことについてはどう思われますか? >適切な事業選定を行いそこへの集中的な資本投下を行えば結果として増税しても景気は良くなる これが小野氏の考えなんですか?植草氏は「珍説」と書いてましたし、森田実氏は「インチキ理論」と書いてました。私もこれまでずっと、増税→景気後退と信じていましたから、これが経済の 常識に反する小野氏の独特の仮定ということなんでしょうか?