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鳥の刷り込み : 雛が親を認識するメカニズムについての不思議な現象
- 鳥の雛が最初に見るのは親ではなく別の雛のはずだが、なぜ母鳥を親だと認識できるのか不思議
- 「相手の大きさや声や匂いで見分けているのだ」という説明では不十分
- 複数の「初めて見た動くもの」をどこまで親だと認識するか、動物実験は行われているか
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鳥の刷り込みは見た瞬間に完成するのではありません。 刷り込みの研究はニワトリで詳しく行われていますが、ヒヨコの運動投資量と刷り込みの強さに正の相関があることが知られています。 つまり、いっぱい走って追いかけるとよく覚える。 また、ひよこの鳴き声に反応する物体をよく覚えることも知られています。 これは社会的なコミュニケーションが重要であることを示しています。 さらに、刷り込みはいったん成立すると変更が聞かないと思われていますが、そういうわけでもありません。 いったん人工的なおもちゃに刷り込まれても、おもちゃとニワトリの剥製の二者択一を何日か繰り返すと、次第に剥製に好みがシフトすることが知られています。 つまり、ヒヨコは生得的に(どの程度かは不明ですが)親の形を知っているのです。 まとめますと、雛ははじめから親に刷り込まれやすくできており、なおかつ親とコミュニケーションを行うことにより、より強力に覚えるようになるのです。 最適な対象(親)がいないときは他のものに刷り込まれます。 養鶏場のヒヨコの孵化場ではヒヨコがお互いに刷り込まれていますよ。 哺乳類の赤ちゃんの刷り込みについてはあまり詳しくありませんが、有名なところでは、神戸の王子動物園のカバ茶目子の話がありますね。 茶目子が赤ちゃんを産んだとき、はじめにそばにいた雄に触れてしまったため茶目子を母親とみなさず、結局死んでしまったそうです。
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- suiran2
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刷り込みが起こるためには、当然種によりその条件は異なります。しかし、刷り込みが起こります多くの水鳥では、孵化後数時間から一日程度の間に「自分を覆う適度な大きさの動く影」が最低条件です。むろんその影が刷り込まれるには、雛が見る回数も影響します。他の雛が刷り込まれないのは、雛は自分を覆う程大きな影を作らないためです。アヒルのようなものは影の大きさだけです。ですから適度な大きさのおもちゃの自動車は刷り込まれますが、ミニカーや本物の自動車は何回見ましても刷り込まれません。人の影もアヒルの雛を覆いますし、雛には動きが感知されますから刷り込みが可能なわけです。 カモの類は更に音が加わります。遺伝的に母鳥の鳴き声に似たものが加わりますと刷り込まれます。動く影が複数有りましても自分を暖めたり、給餌したりと保護してくれるものが刷り込まれます。例えば、ツルの類は上記に加えまして更に給餌してくれたものが親として刷り込まれます。 アヒルのように直ぐ刷り込みが成立するものを、何人かがいつも同時に見ていたらどうなるのでしょうね。知りません。実験をしたらおもしろいと思いますが、一度刷り込んだら後が大変です。私の兄は子供の頃段ボール箱に入った雛をもらい、「二日間見てはいけないよ。」と言われると見たくなるものでその後の兄は悲惨でした。トイレにも風呂にもどこにでもつきまとわれて… また、刷り込みは親としてだけではありません。性的刷り込みと言いまして刷り込まれたものを性的対象とするものもあります。有名な例は、ツルです。タンチョウヅルが絶滅しかかった際に人工飼育しましたが、ヒトに刷り込みが成されて、あの有名なツルの舞いをヒトにしましてツルにはしなくなり繁殖活動に失敗しました。現在は給餌の際にもツルの頭部のデコイを使用して給餌し、性的刷り込みを回避しています。
お礼
なるほど・・・!! とてもよく分かりました!! 「自分を覆う適度な大きさの動く影」や「音」や「給餌」などは、ある程度の「親のプロトタイプ」を生まれつき持っているという事なのでしょうね。不思議ですが、なるほどと思えました。 デコイを使用するとヒト刷り込みを回避できるのは賢いですね! 丁寧に教えて下さってありがとうございます。
お礼
社会的なコミュニケーションは、親を、それ以外の(ヒヨコに無関係な、ゆえに無関心な)物体から分離するのにとても効果的ですね!! 考えてみると本当にそうですね。とても納得しました。 刷り込みはとても不思議な現象ですが、教えて頂いてますます興味が持てました。ありがとうございます。