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生物の遺伝についての質問です。
生物の遺伝についての質問です。 染色体の遺伝的地図と物理的地図という二種類の地図では、染色体の順番は同じなのに距離が違うそうです。 どうしてでしょうか?
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質問者の言われる物理的地図は、おそらくは細胞学的染色体地図といわれたもので、唾液腺染色体等に見られるバンドの位置を遺伝子の座と考えて作られたもののことと思います。これは、パフ等を利用し実際に染色体を顕微鏡で見て、バンド間の長さを計るもので、ミスの無い限りいつでも同じ結果が出ます。 ところが、遺伝学的染色体地図は、同一染色体上の二つの遺伝子に着目して、交配実験を行い、その遺伝子の組み換え率をもってその遺伝子間の距離と考えるものです。配偶子が作られる際に二組の遺伝子の間で、交さが起こりそれが、遺伝子の組み換え率となって現れると考えるのです。二つの遺伝子の間の距離が長ければ長いほど、組み換え率は大きくなると推定するわけです。 しかし、二つの遺伝子の間で交さが1度だけしか起こらなければ、これでよいのですが、二度起こってしまうと、(二度も交さが起こっているのに)遺伝子の組み換えは起こりません。これを調べるには、見ることが出来ないので、検定交配と呼ばれる方が必要になります。二つの遺伝子があり、この二つの間にある全ての遺伝子がわかっていれば、これを使ってほぼ正確な位置関係が示せるでしょうが、現在ではまだムリに近いでしょう。また、物理的地図では同じ数値であっても、その間のDNAの塩基配列が違えば、交さや組み換えが同じ割合で起こるとは言い切れません。 まあ、こういったことが総合して、遺伝学的と物理的の地図の間で、遺伝子間の距離に差が出てくるとお考えください。やや舌足らずの説明ですが、わかっていただければと思います。