液体の中に、温度計を突っ込んで測定してはいけないという、極端な例を説明します。
特定のある力における沸点測定(蒸気圧測定)の場合、沸騰している液体の中に、温度計を刺し込んで温度を測るのは2つの理由で、正確でないと言われています。
1:加熱源が近くにいる事による superheating
2:hydrostatic pressure.
温度計の先端は、液の深さの分、気相部よりも圧力が高くなっていて、
その分、高い温度で沸騰します。
実際に蒸気圧を測定している、気相部の圧力に対応する沸点温度よりも
高い表示になってしまう。
かといって、小さな装置では、気相部の温度測定は、放熱ロスなど誤差が大きいので
蒸気のある場所の液体の温度を測るのがBESTです。
その為には、Cottrell pump で、still(釜)の液を空間部へ強制循環し、その泡と液の混合物を温度計に吹きつけで、液深ゼロの温度を計測するのが最も正確と言われています。
常圧蒸留なら影響は少ないですが、高真空の減圧蒸留では、液深の影響は大きいです。
下記url(googleで、Vapour Pressure Cottrell pump)を検索すると、OECD の ガイドラインM00035752.pdf がヒットします。
この中に、Cottrell pump の絵が出ています。
ここまでは、蒸留工学の説明。
一般の有機化学などの場合は、枝付きフラスコやk字管のの枝の取り出し部分に、温度計の球をセットしなさいと言うことになっていますね。
入学試験的にはそういう、回答が求められるのかも知れないけど、あんな所でガス温計っても、保温ロスが大きくて意味が無いと思う。
別な見方をすれば、実用的には、保温ロスのおかげで、分縮しており2段目の液温を計測していますと言えるかも知れない。