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CO2の測定法は?
「温室効果ガスの削減が話題になっていますが、各国の排出量はどうやって測定しているのでしょうか。また、しばしば削減値の基準として出てくる『1990年当時の数値』は、どこで、どうやって、誰が決めたのでしょうか」=堺市東区の無職男性(62)
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■CO2が”基準” 7日からデンマークの首都コペンハーゲンで始まった国連気候変動枠組み条約第回締約国会議(COP15)。2012年に期限が切れる京都議定書に続く、地球温暖化対策の政治合意を目指し交渉中だ。 温暖化の原因となる温室効果ガスは京都議定書で定められており、二酸化炭素(CO2)▽メタン(CH4)▽一酸化二窒素(N2O)▽ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)▽パーフルオロカーボン類(PFCs)▽六ふっ化硫黄(SF6)-の計6種類。 では、全国の至る所から排出される温室効果ガスの量は、どうやって測定されるのだろうか。 「実際にどれだけ排出したかを測定するわけではなく、さまざまなデータから計算式を使って推測する」と答えてくれたのは、環境省地球温暖化対策課の服部麻友子係長。《温室効果ガス排出量=活動量×排出係数×温暖化係数》というのがその式という。 活動量とは、燃焼するとCO2を排出する石油、石炭、天然ガスといった化石燃料の消費量や、げっぷをした際にCH4をはき出すウシやヒツジなど家畜の頭数など、温室効果ガスを生み出す量のことだ。それぞれ、一定の単位当たりでどれだけの温室効果ガスを排出するかを算出する「排出係数」が定められている。 排出係数は、国連の下部組織である「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が定めた数値もあるが、審査を通れば各国がその国の実情に合わせて決めることもでき、日本も独自の係数を使用している。 例えばガソリン。1リットルあたり2・32キロのCO2を生み出すとされているので、日本国内の1年間のガソリン消費量をリットル換算して、排出係数2・32をかければ、ガソリンの1年間のCO2排出量が出てくる。 家畜はどうか。ヒツジは年間1頭当たり4・1キロのCH4を排出するとされているので、日本のヒツジの頭数に排出係数4・1をかければ、ヒツジが1年間にどれだけCH4を排出しているかが分かる。 ただ、計算はここで終わらない。「温室効果ガスの排出量は、CO2以外の5種類のガスが温暖化に与える影響をすべてCO2に換算したもの」(服部係長)。その換算に使われるのが温暖化係数だ。 IPCCはCO2が温暖化に与える影響を1とした場合、CH4は21、N2Oは310などと規定、それを温暖化係数としている。排出されたと推定される6種類のガスの排出量に温暖化係数をかけ、CO2に換算した数字を合わせた数字。それが各国の温室効果ガス総排出量になるのだ。 ■90年は記念の年 「1990年比で2020年までに25%削減することを目指す」。鳩山由紀夫首相は温室効果ガスについて、今年9月の国連会合でこう表明した。 温室効果ガス削減の基準として必ず出てくるこの”90年比”。関係者や温暖化研究の第一人者であるマイケル・グラブ氏の著書などによると、最初に使われたのは、92年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」で採択された気候変動枠組み条約だったという。 ここで90年を”世界が気候変動を深刻な問題と認め、地球サミットにつながる交渉を始めた記念すべき年”として、条約締結国に対し「90年代末までに90年の温室効果ガスの排出量に戻す」とする、法的拘束力を持たない目標を定めた。 その後、年に京都で開かれたCOP3で、排出量削減に法的拘束力を持つ議定書を締結する際、EU諸国が「90年以降の年を基準年とした場合、条約で定めた排出削減の努力をしていない国が有利になる」と主張したことなどから、京都議定書でも90年を削減目標の基準年として採用。環境意識の薄かった80年代は、排出量を推定するデータも乏しいことなどから、以降も基準年として90年が使われるようになったという。(豊吉広英) ◇ 「社会部オンデマンド」の窓口は、MSN相談箱(http://questionbox.jp.msn.com/)内に設けられた「産経新聞『社会部オンデマンド』」▽社会部Eメール news@sankei-net.co.jp▽社会部FAX 03・3275・8750。