もとはと言えば「大学への数学」という数学参考書から生まれた用語で、「方程式を満たす実数のパラメータが存在する条件に帰着させる」方法です。
どういうことかと言うと、例えば、
「y=(x-a)^2+a^2をa≧0の範囲で移動させたとき、放物線が通過してできる領域を図示せよ。」
と問われたとします。
このとき、例えば(x,y)=(2,3)がy=(x-a)^2+a^2を通りうるかを調べてみます。
x=2, y=3を代入して、
3=(2-a)^2+a^2
3=a^2-4a+4+a^2
2a^2-4a+1=0
a=(2±√2)/2
となります。このaはa≧0を満たしているので、(2,3)は放物線を通っている、すなわち放物線の領域に存在しているということです。
これを一般化して考えます。
(X,Y)がy=(x-a)^2+a^2 (a≧0)を通るかどうか
⇔上の具体例で考察したように、aがa≧0の範囲で解を持てば、(X,Y)は放物線を通る。
⇔(X,Y)は放物線の通過領域内である。
ということは(X,Y)の集合が通過領域ということになりますね。
結局、aがa≧0で解を持つ条件を調べればよいことになります。
[例題1]
「実数tがt≧0のすべての実数を動くとき、直線 y=2tx-t^2 が動く範囲を図示せよ。」
y=2tx-t^2⇔t^2-2tx+y=0
これがt≧0で解を持つような(x,y)を求める。
[略解]
y≦0または「0≦y≦x^2 かつ x≧0」
[例題2]
「f(x)=(x-3)/(x^2+x+4) の範囲を求めよ。」
k=(x-3)/(x^2+x+4)
と置いてxで整理して
kx^2+(k-1)x+4k+3=0
となり、これが解を持つようなkの範囲を考える。xを動かすのではなく、解が存在するようなkの範囲を考える。
[略解]
-1≦f(x)≦1/15