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ファウスト第一部Outside the Town:「a wake of fire」とは?(火花?)
こんにちは、いつもお世話になります。 現在、現代英語訳(David Constatine訳)のゲーテの著作「ファウスト」を読み進めています。 その中で、ちょっと変わった「a wake of fire」という言い回しがありましたので意味や解釈の方法を教えてください。 背景:道を歩いているとファウストがじっと何かを見つめているので、「何を見つめているのですか?」とワグナーが問うと、ファウストは黒い犬をみているのだという。ワグナーには、ごく一般的な犬にしか見えないが、ファウストには何か別の物に見えている様子、、、そしてこう言う、 ~~~~~~~~~上記の本から引用~~~~~~~ Do you not see how, in a wide spiral, He races around us, closing in? And after him, if I am not mistaken, He tows 『a wake of fire』. ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ (『』は僕が挿入しました。) He tows迄で「彼は引っぱっている」までは分かりますが、目的語のa wake of fireが「目覚めているような火」?じゃないことは意味不明なので分かりますが、本当の意味へと解釈する方法が分かりません。 ~~参考までに、大正2年に出版された森鴎外訳~~~~ 君あれが蝸牛の渦巻きのやうな、広い回をかいて 次第々々に我々の方へ寄って来るのが分かるか。 それに己の目のせいかも知れないが、あいつの歩く跡の道には、 火花が帯のやうに飛んでゐるぢないか。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ http://kindai.ndl.go.jp/BIBibDetail.php?tpl_wid=WBPL110&tpl_wish_page_no=1&tpl_select_row_no=1&tpl_hit_num=1&tpl_bef_keyword=&tpl_action=&tpl_search_kind=1&tpl_keyword=&tpl_s_title=&tpl_s_title_mode=BI&tpl_s_title_oper=AND&tpl_s_author=&tpl_s_author_mode=BI&tpl_s_author_oper=AND&tpl_s_published_place=&tpl_s_published_place_mode=ZI&tpl_s_published_place_oper=AND&tpl_s_publisher=&tpl_s_publisher_mode=ZI&tpl_s_publisher_oper=AND&tpl_s_nengou=AD&tpl_s_published_year_from=&tpl_s_published_year_to=&tpl_s_ndc=&tpl_s_ndc_mode=ZI&tpl_s_heading=&tpl_s_heading_mode=ZI&tpl_s_heading_oper=AND&tpl_s_toc=&tpl_s_toc_oper=AND&tpl_item_oper=AND&tpl_sort_key=TITLE&tpl_sort_order=ASC&tpl_list_num=20&tpl_s_jp_num=43019403 (本文を見る。 第一部の60ページ目) 森鴎外訳を見る限りでは、「火花」の意味なのかな?と思いますがどうしてそうなるのか分かりません。 教えてください、よろしくお願い致します。(納得がいく御回答があっても24時間後に締め切ります。)
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ゲーテの「ファウスト」ですか~ これを英語で読むのは難しいと思います。原文ドイツ語なので… ということで、原文から同じ場所を引用。 =================== Bemerkst du, wie in weitem Schneckenkreise Er um uns her und immer näher jagt? Und irr ich nicht, so zieht ein Feuerstrudel Auf seinen Pfaden hinterdrein. =================== これを英語に訳すと、 and if I am not mistaken, a spiral of fire follows after his (of Pudel) track afterwards. ということで、ここは英文が誤訳です。 「見間違いでなければ、火の玉がプードルの通った跡を付けてきているのだが」となります。 森鴎外は Feuerstrudel (火が渦巻いたもの)を「火花」と訳し、それが跡を付けているので「帯のやうに」としたのでしょう。鴎外の方が原文を正しく理解しています。
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- tknaka
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あ~ なるほど。 皆さん、ziehen で読み間違えをしているんですね。 #7さんの回答を見て分かりました。ziehen の意味に「引っ張る」という他動詞の意味と「後を付いていく」という自動詞の意味とがあります。ここでは自動詞なんですが、Feuerstrudel を目的語と解釈してしまえば「犬が火の玉を引きずっている」ことになりますね。では Feuerstrudel は目的語ではないのか、というと、これは男性名詞なので目的語だとすれば einen Feuerstrudel とならなくてはなりません。 ということで、Gutenberg の二つの英訳も誤訳です(苦笑)
お礼
大達人、何度も御回答ありがとうございます。 >ziehen の意味に「引っ張る」という他動詞の意味と「後を付いていく」という自動詞の意味とがあります。 そういえば、英語とドイツ語はある程度近い言語だからか、あんまり文法的に考えなくても独文解釈を英語ネイテブの独文研究者はできてしまうから、今回のような誤解が生じたのかも知れませんねえ。 ヨーロッパ人で、英語のノンネイテブが、英語は文法がちょっと自信ない人でも、それなりに結構喋ったりしていますからね~。 >これは男性名詞なので目的語だとすれば einen Feuerstrudel とならなくてはなりません。 ここまで考えて読んでいないのでしょう。 それにしても、流石は大達人ですね。 改めて、御回答に御礼を申し上げます。
- KappNets
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Faust の英訳が Gutenberg に2つありますが、件の zieht ein Feuerstrudel (火の渦[fire-whirl]を引きずる) の訳として trails a fiery glare (ぎらつく火を引きずる), streaming trail of fire (火の軌跡) とあります。a wake of fire (火の軌跡) と似た訳し方になっています。Strudel (渦) を直訳的に訳していませんが、その点では鴎外の訳「火花」もさほど直訳的ではありません。 なお wake は水面に出来る波紋とか船の航跡、軌跡の意味です。「目覚めているような火」などと考えてはいけません。
お礼
御回答ありがとうございます。 どうも、この箇所が分かりにくいと感じたのは、僕だけじゃなく、 Gutenberg に2つの訳者もそう感じたんでしょうね。 そもそも、たかだか犬(意外にも正体はメフィスト)に「あーだこうだ」言っている箇所なので、傍から見れば「ファウスト大丈夫?」と思われる箇所でもあり、翻訳者からすれば、「火の玉が追いかけている。」でも「火の玉を引きずる」でもどっちでも良いや、と感じたのかも? >なお wake は水面に出来る波紋とか船の航跡、軌跡の意味です。 No1様から御回答いただき、了解しております。 >「目覚めているような火」などと考えてはいけません。 これは、絶対に違うと自分でも自覚しています、、、、。 改めて、御回答ありがとうございました。
- tknaka
- ベストアンサー率45% (225/491)
単なる憶測ですが、 その前にある Schneckenkreise と Feuerstrudel が混乱の元になったのでしょう。Schneckenkreiseは、犬がファウストとワーグナーを中心として渦を巻くように少しずつ近づいている感じを示しています。その後ろにそれ自身が渦を巻いている火の玉が付けているのですが、その渦を犬の通った後にできる渦と間違えてしまえば、あるいは「犬が炎の軌跡を引きずる」ということになるやも知れません。それにしても、火の玉が主語なのを犬に変えてしまった時点で、原文の持つ摩訶不思議な雰囲気が削減されてしまいますが。 英語に比べてドイツ語の方が文法構造がキッチリとしているため、理解してしまえば、ドイツ語の方が読解は楽です。ただ、文法がキッチリしている分、語順が色々と変化するため、惑わされてしまう場合もあります。とは言え、今回の誤訳はそれほど難しくない部分なんですけどね(苦笑)
お礼
大達人、何度も御回答ありがとうございます。 おそらく、英語訳をした翻訳者は、一文一文読むのではなくて、何行か一遍に読んで訳したんでしょうね、、、。 >英語に比べてドイツ語の方が文法構造がキッチリとしているため、理解してしまえば、ドイツ語の方が読解は楽です。 ドイツ語のドの字も知らないのですが、確かに言語によって多少文法の複雑さとか、構造のキッチリさとかに違いがあるんでしょうね。 >とは言え、今回の誤訳はそれほど難しくない部分なんですけどね(苦笑) その後、黒いプードルがメフィストへと変貌するので、何となく犬を主語にしたくなったんでしょうね、、。 それにしても、大達人の語学力はスゴイですね! いつもの事ながら尊敬しています。 改めて、御回答ありがとうございます。
- tknaka
- ベストアンサー率45% (225/491)
すみません。ドイツ語引用のところで aウムラウトが文字化けしちゃいました。 英文の誤訳は、主語を犬に変えてしまったところでしょう。火の玉が意思を持って跡を付けている様子が完全に排除されてしまいました。
お礼
大達人、再度の御回答ありがとうございます。 それにしても、なんでこんなスゴイ誤訳を大学教授の訳者はしてしまったんでしょうね? 主語が「火の玉」だったのか~、と改めてため息が出そうな気分でした。 僕もドイツ語ができたら良いのにな、と今回は思いましたが、そう簡単に極められるもんじゃないですよね。 本当に大達人は、ドイツ語も英語もスゴイですよね! 改めて、御回答に御礼申し上げます。
- SPS700
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wake には船が通ったあとの水面に出来る泡や線と言う意味の航跡を指す場合があることは#1さんのおっしゃる通りです。 同じ発音で「光跡」と言う言葉があり「光の通った跡が残像としてつながって見える筋。」という定義が『言泉』にありますが、これなんかお使えになれるのではないでしょうか。
お礼
御回答ありがとうございます。 >「光跡」 いい言葉ですね~。 こういうキメ言葉がドンドン出てきたら、翻訳家になれるかも!? 僕は、まだまだ、英文解釈しながら読んでいるレベルです。 ありがとうございました。
- Imiko
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「炎の軌跡を引きずっている」と訳せば、納得できるのでは? ファウストの目には、犬が参考URLの写真のような光の帯を引きずっているように見えたのかもしれません。
お礼
再度の御回答ありがとうございます。 >「炎の軌跡を引きずっている」 でやっと、理解できました。 ありがとうございます。 「引っぱる」と「引きずる」、、、似ている言葉なのに、こんなに印象が違うもんなんですね。 不思議!!!!! 御蔭様で、ようやく解決しました。 御回答を頂いた後では「こんな簡単な事で悩んでいたのか、、。」と思うのですが、中々自力で見出せませんでした。 本当に、御回答ありがとうございます。
- Imiko
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辞書をよく読んでいただければ載っていると思いますが、 wake には「航跡、通った跡」という意味があります。
お礼
御回答ありがとうございます。 なるほど、wakeはそっちの意味でしたか! a wake of fireは「炎が通った跡」の意味になるのだとやっと分かりましたが、 すいません、今度はだったら何故、動詞がtowsと分からなくなってしまいました。 「彼は、炎が通った跡を引っぱる。」になるのでしょうか? towsじゃなくて、leavesだったら、「彼は炎が通った跡を残す。」で簡単なのですが、、。 これ以上追加質問はしません。 このtowの解釈の仕方を教えてください。 お願い致します。 また、改めて、御回答ありがとうございました。
お礼
大達人、御回答ありがとうございます。 今回の御回答(英訳版が誤訳)には、本当に驚いて、、もう夕日に向かってダッシュしたくなりました。 欧州文学の古典となると、英語訳も古典調が多い中、「現代英語訳」でしかも、翻訳者David Constatineは、University of Rutgersの独文科の客員教授だと言うのに、、、! 人間だから、間違いがあるのはしょうがないですが、、、、。 >and if I am not mistaken, a spiral of fire follows >after his (of Pudel) track afterwards. 本来はこういう文だったんですね! >「見間違いでなければ、火の玉がプードルの通った跡を付けてきているのだが」 訳も素晴らしいですね! 流石大達人です。 >森鴎外は Feuerstrudel (火が渦巻いたもの)を~。鴎外の方が原文を正しく理解しています。 電子辞書も無かった時代に森鴎外は一体どうやって、ここまで語学を極めたのでしょうね!? やっぱり、歴史に名を残す人間はスゴイ! ところで、ファウストは、流石に娯楽小説に比べたら読むスピードがゆっくりになりますが、中々興味深く、第一部の最後まで読めそうです(第二部は、、まだ購入してません)。 改めて、御回答に御礼申し上げます。