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日米のプライマリーバランス
日本はプライマリーバランスがアメリカより不均衡と言われますが、アメリカは双子の赤字で財政赤字・経常収支の赤字を抱えていると言われています。そうするとアメリカもプライマリーバランスが悪くなると思うのですが、どうして日本の方がプライマリーバランスが不均衡と言われるのか教えてください。
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単純に比較しても、GDP当たりの国債発行額は、アメリカよりも日本のほうが大きいからです。 また、ベトナム戦争以降に多額の財政赤字を出すことが通例となっていたアメリカの財政は、クリントン政権下で黒字化し、ブッシュ政権下でイラクに派兵するまでは健全財政でした。 また、アメリカの国内通貨であるドルが、世界通貨としての性格を持っているため、アメリカの財政赤字・経常収支の赤字の消化方法と日本の財政赤字の消化方法が、つまり日米の国債消化の方法が全く違うからです。 アメリカドルは世界の基軸通貨ですから、多くの国が外貨準備としてドルを保有しています。また、国内経済が不安定で過去・現在に大幅なインフレを経験している国では、国内通貨の価値下落幅よりもドルの価値下落幅の方が小さいので、その国の金持ちは資産保有の際のリスクヘッジのために、ドルを現金で持つことも行っています。 現金のドルでは金利は付きませんから、多額のドル保有はドル国債の入手が可能なら、ドル国債の形で保有されることになります。 アメリカ国外で保有されるドル国債の額は、中国の70兆円以上を筆頭に、日本の65兆円、アラブ産油諸国の大量保有などもあり、200兆円以上です。 この外国の保有しているアメリカ国債の価値が、アメリカの財政事情が悪化すれば、大幅に下落します。(アメリカドルを保有している国の通貨は比較的強い。) 日本円は、ここ1年で110円代から90円に、20%以上値上がりしています。他のドル国債保有国も同様だとすれば、200兆円×20%=40兆円分、外国が損をしてアメリカが得をした格好です。(国債を外国人が大量に保有しているアメリカは、インフレにすれば儲かる体質です。) ところが、日本の国債は95%以上が日本国内で保有されていて、 もし、インフレになれば、国が得をして国民が損をするという形になり、増税をしてもインフレをしても、日本国民が日本国の赤字を補填すると言う形は変わりません。 ですから、日本のプライマリーバランスの悪化は、日本国民の損となり、日本国がその不利益を全面的に蒙ります。 それに対して、アメリカのリーマンショックが世界中に波及し、世界各国が金融危機に対して、税金投入したことでもわかるように、資本の自由化がアメリカ主導で推し進められた結果、アメリカの損が世界中にばら撒かれ、アメリカが作った不利益を世界各国の負担で埋め合わせる形となります。 つまり、アメリカのプライマリ―バランスの悪化は、世界中の国の損となり、アメリカの損は薄まってしまうようになっています。
お礼
丁寧な回答をしていただき、ありがとうございました。単純に比較しても日本の方が国債発行額が多いのですね。アメリカの借金は世界にばらまかれるというのは知りませんでした。本当にありがとうございました。