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難解な定義や趣旨の憶え方
- 法律学生が判例から引用された難解な定義や趣旨を覚える方法について
- 定義や趣旨などの難解な用語を理解するための詳しい説明や解説が必要
- 良い参考書の紹介もお願いしたい
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正直、私も、定義の暗記は苦手です。が、ある種の定義は(試験前にでも)覚えないといけないですね。 私が習った、覚え方は、要件・要素で区切る、というものです。 例えば、ご質問にある「身分」の定義ですと、 (1)一定の犯罪行為に関する、(2)犯人の人的関係である特殊の地位又は状態 に分節できると思いますが、覚えるときは、 (1)一定の犯罪行為 & (2)人的関係、特殊の地位or特殊の状態 のように、キーワード・論理関係は外さないようにしましょう。 逆に、少なくとも、新司法試験では、判例を一字一句正確に答える方が、おかしい場合もあります。 それは、丸暗記しているだけで、要件を正確に理解していることを示すことができないと思われるからです(例えば、著作権法における翻案の定義)。 むしろ、要素々々でも、適切に指摘できていて、それに対するあてはめが出来ていることのほうが大切と思います。 また、判例の中には、汎用化するには無理なものもあります(例えば、処分性の定義。「法律上認められるもの」にまで分節して、厳密に当てはめていく必要があるのか、疑問です。要綱などで処分性を切りたいときには役立ちますが。)。無理して、丸暗記し、無理に当てはめることはないと思います。 ポイントは、事案解決に必要なことか?ということです。それに応じて、判例に問題があると指摘した上で、変更するのはアリです(そのへんは、法科大学院で習うでしょう)。 ちなみに、ご質問にあった定義について補足しておきます。 (1)身分の定義について すべて、とは、多分、漢字が、「全て」ではなく、「総て」です。つまり、「(身分と考えられる)いくつかの要素を纏めて定義にすると」という前置きだと、私は理解しています(ので、「すべて」を身分の定義に律儀に含める必要はないと考えています)。 「人的関係」は、「人的要素」「その人の性質・属性・状態」と考えればよいのではないでしょうか。 ちなみに、稀に、変な用語がありますが、おそらく、当時の学者がドイツ語を無理矢理日本語に翻訳する過程で、変な訳になった、というケースがあると思われます。 身分の具体例(公務員・目的とか)を想像して、定義に置き換えて考えていけば分かり易いかもしれません(目的なら、(1)領得罪 [あるいは奪取罪] における、(2)特殊の主観的な状態、と考えるのでしょう。答案にいちいちこんなことは書く必要はなく、頭でイメージできればそれでよいと思います。)。 (2)素人的認識について 「素人領域の平行的評価」ってのは、聞いたことがなかったので、ググってみましたが、大塚先生による、「素人的認識」の言い回しみたいですね。 これは、素人的認識のままで考えた方が分かり易いと思います。例えが下品で恐縮ですが、「猥褻」物にあたるか?という専門家的認識ではなく、単に「エロ本」という素人的認識、と考えれば分かり易いと思います。 (3)私文書のうち、「事実証明に関する文書」等について 「社会生活に交渉を有する」は、「社会生活に影響のある」「…関係する」ということでしょう。 ここでは、プライベートな文書について、保護する必要はない、という趣旨を理解していれば、足りると思います。 なお、定義がわかりづらければ、他の学者のと比較してみると、分かり易いかもしれません。
お礼
とても丁寧、かつ、わかりやすくご説明いただきありがとうございます。何度も読み返しているうちに、言葉の背景にあるものがよく見えてきたように思います。ですから少なくともここでご説明いただいた言い回しについては、しっかり理解できたと思います。 >新司法試験では、判例を一字一句正確に答える方が、おかしい場合もあります。それは、丸暗記しているだけで、要件を正確に理解していることを示すことができないと思われるからです。 この点については、悩みの種です。新司法試験というのは、判例の言い回しを正確に引用することが必ずしも加点につながらないようですね。ですから自分の言葉で、論理的な文章が書けるように努力したいと思っています。