1. 前線は、2つの性質の違う気団が接した時に発生します。
2. 北半球では、前線の北側は冷たい気団で、南側は暖かい気団です。
3. 2つの気団は押しあいこをして強いほうが弱い方を押しのけていきます。
4. 冷たい空気は、暖かい空気の下を潜るようにして暖かい空気を押しのけていきます。
5. そのため移動する速度も速く、ほぼ垂直に押し上げるので、積雲系の雲が比較的狭い範囲に発生します。
空気が上空に押し上げられると、断熱膨張をし温度は低下していきます。 やがて、飽和した水蒸気は雲となります。 雲が出来ると、空気中の水蒸気は減って、乾燥します。 その空気が何らかの理由でさらに上空に上がると、空気の温度は更に下がり、再び飽和し雲が発生します。
このようにして、下層雲、中層雲、高層雲と区別される雲々ができます。
下からの、水蒸気の補給と上昇気流が強い場合は、下層から高層まで一続きの雲が出来ることがあります。 夏の積乱雲です。
6. 冷たい空気が暖かい空気を押しのけるので、寒冷前線と呼んでいます。
7. 一方、暖かい空気も、冷たい空気を、上に乗っかるようにして押しやっていきます。
8. そのため、冷たい空気がなかなか動いてくれません。 つまり前線面の移動速度が遅いのです。
9. よって、前線面は緩やかな傾斜面となります。
10. 雲は、層雲系で、高層雲が移動方向の一番先に現れます。 徐々に中層雲、下層雲と発生してきます。 したがって、雲のできる範囲は広くなります。
11. 速度は遅くても、暖かい空気が冷たい空気を押していますので、温暖前線と呼びます。
12. 2つの気団が、押しっこをしていても、そのバランスはちょっとしたことで崩れます。 一度崩れはじめると、速度の速い寒冷前線が、速度の遅い温暖前線を追っかけてきます。
13. したがって、先に通過するのは温暖前線で、後から寒冷前線が追っかけてきます。
14. 寒冷前線が温暖前線に追いついてしまうと、地表面には同じ気団が占めて、前線は上空に追遣られてしまいます。 上空の前線を、閉塞前線と呼びます。 しかし、やがて消えてなくなります。
15. 2つの気団のバランスが崩れると、寒冷前線には、北から南へ、温暖前線は南から北へと風が吹いてきます。 時間の経過とともに、先に走っている温暖前線の北向きの風は後から来る寒冷前線の南向きの風と合流し、左回転の渦となって発達してきて、中心部の気圧は下がってきます。 低気圧の発生です。
なお、前線に付ける半円とか三角形状の記号は、進行方向側に書くことになっています。 つまり、一目で進行方向が分かるようにするためです。
以上、大まかに各性質の説明をしました。 これをもとに考えてみてください。 答えは容易に見つかります。