できる限り加害者を重く処罰してもらう方法は何かとのお尋ねでしょうが,前回の私の回答からお察しかとは思いますが,結論は,「効果的なものは何もない。強いて挙げるとすれば,捜査機関の事情聴取に協力することくらいである。」ということになります。
まず,加害者は,必ず社会復帰します。傷害罪にも侮辱罪にも無期懲役や死刑は絶対に科されないからです(刑法204条,231条)。加害者には精神的な問題があるようにもうかがわれますので,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律42条1項1号の入院決定(精神病院への強制入院です。)があるかもしれませんが,これも社会復帰が前提の制度です。被害者側には,加害者の社会復帰を確実に阻止する法的手段はありません。
何よりお考えいただきたいのは,傷害被害者のお母様が「厳罰」を要求なさり続けると,加害者は,「あの女が「厳罰」といわなければ,俺はもっと軽い罪だったはずだ,連行(とか逮捕)もされなかったはずだ,事件にさえならなかったはずだ。」と,自己の非よりも被害者側への恨みに意識を集中させがちであるということです。そんな非常識な発想は間違っている,とお感じかもしれませんが,常識的な発想ができる大人は,子供さんに暴力を振るったりはしませんよね?
(なお,侮辱罪は,有罪判決があったとしても,(実は若干不正確な表現ですが,わかりやすくいうと)1か月以内の刑務所行きか,1万円未満の罰金にしかなりません。ですから,ややこしい法律の解説は省きますが,侮辱罪で起訴されてもされなくても,実際には,量刑に与える影響は余りありません。前回申し上げたとおり,侮辱罪での処罰に被害者側が固執なさると,かえって加害者に有利な防衛の種を増やしてしまうことになります。)
ですから,今被害者側でお考えいただきたいのは,加害者の社会復帰を前提に,今後加害者が被害者側に接触したくなくなるような動機付けの方法です。
これは,法律の世界の話から離れますので,私にも十分な知見はありません。担当の刑事さんに,「加害者に,「今後2度と傷害被害者やその家族に近付きません」と約束するよう指導してください」とお願いなさるとか,加害者に家族がいれば,まともな家族であれば,いずれ加害者の処分が決するまでの間に,被害者側に謝罪や弁償の打診があることが多いですので,その機会を捉えて,「ご家族が今後2度と加害者を傷害被害者やその家族に接近させないと約束してくださるなら,謝罪や弁償の受入れを検討します」とお申し入れになるか,といった辺りでしょうか。もちろん,加害者やその家族が今後2度と接近しない・させないことを約束すれば,被害者側としては,警察に対し,「今後加害者が被害者側に接近するようなことがあれば,約束違反だし,復讐等危険なことを考えている可能性が高いと思うので,その都度通報させていただきたい」と申し入れておくという方法も考えられます。
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お礼
重ねての回答ありがとうございます。 確かに回答者様のおっしゃられるとおり今後は逆恨みが怖いですね。 示談の話になる際に「近づかない」の文書を差し入れさせるようにします。本当にありがとうございました。