• 締切済み

ゴムらしさって??

熱可塑性エラストマ(SBSなど)がゴムらしさに欠けるというのは どういった点からなのでしょうか? できれば日常使われるゴムなどとの比較を含めて教えて 頂きたいです。 私的なことですいませんが、卒研発表が近くすぐに回答がほしい 状態です。皆様どうかよろしくお願いします。

みんなの回答

回答No.1

良くまとめてあるサイト; http://www.tokyozairyo.co.jp/forum/ 自分は合成系でなく物理化学系の人間、しかも古い・・・だから参考程度に・・・ 「ゴムらしさ」  同じ言葉が上記サイトでも使われています。(8章?)  「ゴムらしさ」とは何なんだろうと思いますが、やはり比較の問題であり、その差異が生じる基本的な違いを考えるしかないでしょう。基本は「天然ゴム(生ゴムNR)」との対比なのではないでしょうか。ただ熱可塑性エラストマといっても多様で、何と比較してか?という疑問は残ってしまいます。 ●生ゴムの基本的な特徴;次の点かな?  1)伸張させたときの振る舞いで、「弾性体」領域がひろく、可塑状態を経ずに「結晶化」の状態に変化すること。その変化が可逆であること。  輪ゴムを伸ばすと、ある程度までは伸縮自在で伸びていくが、ある程度伸びきったところで急に伸びなくなる。間に可塑状態がない。熱可塑性エラストマでは熱可塑性樹脂との中間的な性質で、ある程度の「可塑状態」がある。  例えば、良い例は熱可塑性樹脂(「ポリエチレン(ゴミ袋)」)を例にとるとわかりやすい。(これは樹脂であってエラストマーではないから注意)細く切っておいて引っ張るとあるところからずるずると伸び薄い膜になり、戻らなくなる。加熱していない状態での「可塑性」とは外力によって生じる分子のずれなどで半永久的な変形が生じてしまう事を指すのだろう。生ゴムではこのようなことは起こりにくい。  2)温度による弾性の変化;高温ではエントロピー弾性をもち、弾性定数が高温のほうが大きくなる。さらい高温ではむしろ熱分解してしまう。・・・熱可塑性エラストマではこれが小さく、より高温では「可塑状態」になる。(金属では弾性定数は著しく小さくなる。) ●天然ゴムはイソプレンの重合体ですが、これが優れたゴム弾性をもつ理由は次の3つの要素がある。 1)重合によって生じる二重結合がオールcis異性体である。  そのため分子鎖がC-C=C-Cの二重結合のところで分子鎖が同じ方向に曲がり、かさ高い螺旋的な分子構造をとりやすい。そのため分子鎖は「結晶化」した部分が少なく※分子鎖が不ぞろいの非晶質部分が多く、そのため柔構造をとるのだと考えてよい。  ※オールtrasnsの場合にはZigzag構造をとって、分子鎖が重なってそろい=「結晶化」し、そのような構造が多いとそのマクロな性質は固くなる。「つめ」のたんぱく質やセルロースなどがそのような例。一方、「髪の毛」は螺旋構造部分があるために引っ張ると伸びる性質が有るとされる。 2)C-C-C-Cの回転異性  C-C^*-C^*-CではC^*-C^*単結合軸で分子内自由回転が可能で、この回転によってtrans-gauche(ゴーシュ)型の回転異性が存在する。その分子内回転では回転角によってエネルギー障壁があり、その高さが弾性を左右している。このエネルギー障壁がある程度の高さを持たなければゴム弾性が生じないし、高すぎても元に戻ることができなくなる。適度の高さでなければならない。 3)ポリイソプレンは側鎖にメチル基-CH3を持ち、その立体障害の効果が弾性に影響している。 ●伸びきった状態での「結晶化」  生ゴムは弾性を持つ状態から急に伸びにくい状態に変化する。これは分子鎖が伸びきると、分子鎖のC-C-C-Cの両端の炭素原子の配座がtrans位になり、分子鎖のオールトランス型の部分が多くなり、分子鎖がそろって「結晶化」を起こすためと考えられる。  この状態はかなり大きな引っ張り強度を持つが、それはC-C間の共有結合が強く切れにくいためである。もう1つ、結合角∠C-C-Cが広がることによっても分子鎖は伸びるが、この角度を保つ力が有る程度の強さを持つことを示している。 ●熱可塑性エラストマ  合成ゴムの場合には重合によって生じる二重結合のまわりの炭素骨格はオールtrans型しか合成することができない。天然ゴムの弾性を作る重要な要素1)が欠けている。(そのために、ゴム弾性としては天然ゴムを超えることは難しいと考えられる。熱可塑性エラストマがゴムらしくないのはこれが一番の原因だろう。)  そのため熱可塑性エラストマではゴム弾性を持たせるために(分子の結晶化を妨げ=分子鎖を曲げるために)、2)または3)の効果を持たせて、ゴム弾性を生じさせている。 2)の方法にはC-SiやSi-O-Si、C-O-Cの結合を分子鎖に取り入れている例がある。 3)の例が最も多く、いろいろな分子種を側鎖に用いて、立体障害の効果によって分子鎖を曲げる工夫を行っている。(例えばSBS等はかさ高いベンゼン環相互の反発を利用したものである。) ●熱可塑性エラストマの優れた面  弾性の面では生ゴムには劣るが、反面、熱可塑性エラストマには生ゴムにない優れた面がある。  1)熱可塑性の合成樹脂に近い性質を持つことから、合成後に加熱再成型が可能になる。リサイクル社会の到来にマッチした素材であり、再生利用等が可能であることがもっとも重要な性質といえる。  2)また、生ゴムではメチル基のみである側鎖をいろいろなものに変え、その性質によって多様な性質を持たせることが可能で、耐油性、耐圧性等生ゴムには欠けている性質を持たせることが可能で、多様な用途を実現できる点である。(非常に多様な性質を持たせることが可能で、かえってここではまとめることができない。他の特徴は上記URL参照のこと。) ・・・卒研ともなれば、自分の指導教官以外には『自分より知ってるものは誰もい』ないというぐらいでなくっちゃ!!特にテーマにかかわることとかは<自分なりに消化したもの>でなければならないのではと思うけれど・・・

yusuchemic
質問者

お礼

たいへん参考になりました! たった今卒研発表が無事終わり、ほっとしていますw もっともっとエラストマーについて勉強したいと思います。 この度はありがとうございました。

関連するQ&A