1.刑事上の詐欺や横領は難しいと思います。
詐欺は、相手をだまして、だまされた相手が金や利益を渡す必要がありますが、この場合誰もだまされてお金をわたしていません。
親名義で借りた金を親が使っただけです。学費のためにというのは目的ですが、ローン会社は与信をチェックして担保や保証人を確認の上貸していてだまされてお金を渡したわけではありません。
また、横領は、他人から預かった金銭を自分のものとして使うことですが、このお金は親が親の名義で借りたお金で息子さんのものではありませんから横領にもなりません。
刑法では罪刑法定主義と言って法律に書いてあることだけが罪となりますので、どんなに道義上問題があっても、法律にない行為は罪にとえません。
2.民事上の損害賠償(709)
民事上の損害賠償には、相手の不法行為で損害をこうむった場合認められますが、親が自分の名義で借金をしてそれを自分のために使ったのにどこに損害がありますか?学費のためにというのは目的ですが、対ローン会社ならともかく、息子さんを学校に行かせる義務は義務教育までで、高校や大学教育の費用を負担しないことは不法行為ではありません。
ただし、ローンの名目が学費ローンなどで、使い道について学費に限ると契約にあるならば、支払いが滞った場合、ローン会社は契約違反ということで損害賠償を訴えることもありうるとは思います。でも、支払いが滞らなければ、ローン会社には損失はないので、損害賠償はできません。
ただし、ローンの契約が息子が返済する義務があるなどとなっている場合は、親がそのような契約をする際、親名義で借りたのではなく、親は親権者として未成年の子を代理して契約を結んでいるので、子名義ですから、親権乱用、不法行為で損害賠償請求はできるでしょう。ローン会社には無権代理で契約無効も言える(めったに通りませんが)可能性が出てきます。しかし、文面では親名義ですので、無理ですね。
3.法は家庭に立ち入らずというのが基本です。親は学費を出す義務は法的にはありません。子供を扶養する義務はあるのですが・・でも愛する義務もないんですよ。法律ってそういうものです。道徳や愛の部分には立ち入らないのが原則です。