>たとえば、凶器に用いられたものが加害者の所有物ではなく、被害者側の所有物などであった場合でも、必ず廃棄なのでしょうか?
没収の要件の一つとして、没収の対象物は、原則として犯人以外の者に属しない物であることがあげられます。ですから、凶器が被害者の物であれば、没収することはできません。
ただし「犯人」には、被告人自身のみならず、共犯者も含まれると解されています。たとえば、被告人が人を殺すために使用することを知りながらナイフを被告人に貸与し、被告人がそのナイフで人を刺殺した場合、その貸与した者は、少なくても殺人既遂罪の幇助犯という共犯になります。よって、被告人に対してナイフの没収の言い渡しがなされ、それが確定すれば、たとえ、その共犯者自身は、まだ訴追を受けていないとしても、その共犯者の所有するナイフを没収することができます。
このような没収を第三者没収といいますが、第三者没収をする場合は、あらかじめ、第三者に告知して、弁明、防御の機会を与える必要があります。
刑法
(没収)
第十九条 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物
2 没収は、犯人以外の者に属しない物に限り、これをすることができる。ただし、犯人以外の者に属する物であっても、犯罪の後にその者が情を知って取得したものであるときは、これを没収することができる。
刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法
(告知)
第二条 検察官は、公訴を提起した場合において、被告人以外の者(以下「第三者」という。)の所有に属する物(被告人の所有に属するか第三者の所有に属するかが明らかでない物を含む。以下同じ。)の没収を必要と認めるときは、すみやかに、その第三者に対し、書面により、次の事項を告知しなければならない。
一 被告事件の係属する裁判所
二 被告事件名及び被告人の氏名
三 没収すべき物の品名、数量その他その物を特定するに足りる事項
四 没収の理由となるべき事実の要旨
五 被告事件の係属する裁判所に対し、被告事件の手続への参加を申し立てることができる旨
六 参加の申立てをすることができる期間
七 被告事件について公判期日が定められているときは、公判期日
以下省略
お礼
没収の根拠をこんなに詳しく、わかりやすく教えて頂き、感謝いたします! こういった規定があるのですね。ご回答ありがとうございました!