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解雇、人員削減など社会に悪い影響を及ぼす企業行動の制限について

今朝の新聞によると、日本を代表する大手製造業16社の内部留保は2008年9月末33兆6千億円で、2001年度末の17兆円から大きく増えています。一方、この16社は今回あわせて4万95人の人員削減を行いますが、2009年3月期の株主配当は増配5社、維持5社、未定6社でおおむね株主の利益を守ろうとしています。 現在、日本は新自由主義の体制をとっていると思われますが、企業は社会の一員であり、また輸出の促進のために農業の自由化を受け入れるなど政策的な援助を受けていると考えられます。新自由主義において企業の行動はどのように制限されておりますか。

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  • issaku
  • ベストアンサー率47% (244/509)
回答No.8

原則として雇用関係については労働法制により企業側が規制されて労働者の諸権利が保護されることになっていますので、それ以上の企業経営への規制というのは自由主義経済である我が国にはありません。 新自由主義においては、規制による保護ではなく、自由化・多様化による利益拡大のペイバックを見込んで規制を緩和する、という立場であることはご存じのとおりです。 しかし現状は、派遣労働の規制緩和を直接要因とした非正規労働者の割合増などが人件費コスト削減競争を加速させ、雇用不安定化と単位賃金低下や人権侵害多発など労働条件の悪化、直接雇用義務逃れや偽装請負化に見られる配慮義務の無視や法令違反事例の増加などの企業側のモラルハザードが顕著化していることです。 これらにより労働者平均賃金の減少と逆比例して増収増益が大企業と資本家を潤したこともご承知のとおりですね。 総じて、労働規制緩和は、格差の拡大と法秩序の形骸化という方向へ流れて、それによって購われた企業利益は社会に還元されず国内経済を滞留させるにとどまったという見方が否定できません。 かろうじて労働時間規制などは抑制されていますが、これも十年以上前から進められていた裁量労働制の拡大が労働の質の向上ではなくサービス残業の増加にしか向かわなかったことへの反発が主なものでした。 更にこれらの政策と企業活動の傾向はアメリカ型を目指すものでしたが、それらの経済循環の実体を伴わないアンバランスな景況が過剰投資と結びついてアメリカ発の金融恐慌をもたらし、日本ではその結果が労働配分の更なる切り下げへとスパイラル化して、遂には失業激増という経済システムの直接破壊につながる事態が懸念されます。 これらは、労働規制緩和による自由化を通じて労働市場が拡大し消費者利益と国民生活の向上をもたらすという新自由主義の経済学者や官僚の目論見を完全に裏切っているようにみえます。 共産主義者から「ルールなき自由経済の害悪」と言われてしまうのもむべなるかな、という印象です。 しかし、一方で労働者側の意識の低下がもたらした結果であるという見方もあります。 十分なリスク認識もなく正規雇用を自ら避けて派遣の道を選ぶ若年層が増えたことは、政策や企業の主張に乗せられた結果とはいえ自己責任を問われる側面が全くないとは言えません。 しかし、それらよりも重大な反省点として、無努力でも正規被用者は労働法制に守られるような錯覚、労働者としての権利主張があたかも反社会的であるかのような先入観、あるいは個人主義と怠惰を履き違えた権利活動参画への忌避などによって労働運動が極めて衰退しているという状況があるように思えます。 労働法制を多少なりとも齧った者であれば、労働団体による組織的活動抜きでは極めて不利益であるということは理解できますが、労働組合の組織率は年々低下し、いまでは2割を切っています。 非正規労働者の増加が減率の主因とされますが、それだけではないことは数字を見ても明らかでしょう。 政府は誤りを改めず、経済界は自律を失っています。 労働者が自ら動こうとしなければ、長期的な悪化に歯止めはかからないと思います。

pojipoji
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。 くわしくご解説いただきありがとうございました。また、削除された?NO13も読ませていただきました。

その他の回答 (12)

回答No.2

  契約を解消した企業ばかりが悪者扱いですが、派遣企業の責任は無いのでしょうか? 派遣社員が勤務により得た収益から毎月ピンはねしてるのに派遣先から契約満了を言い渡されたら即、派遣企業も首を切る。 毎月ピンはねしておきながら、登録してる人には一切の保証をしないのを何故だれも批判しないのですか? 最低限でも3ヶ月くらいの生活の保証をすべきじゃないかな? 契約を切ってる企業は契約を守ってるだけです、非難される筋はないと思うが....  

pojipoji
質問者

お礼

ご回答ありがとうございました。 誰かに対する非難ではなく、やりたいように自由にやる権利と公共の福祉をどう整合させることができるのかということを念頭に置いて質問させていただきました。

  • usami33
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回答No.1

なにか勘違いされてませんか? 株の配当は実績に対して行われます、現在の業績悪化はこの数ヶ月で変動しており、ほとんどの企業の前期の決算時は黒字でしたので、株の配当は増やさざるおえません。 逆に解雇、人員削減は今期、もしくは来期の営業見積もりから試算された結果なので、現在の不況がもろ影響しております。 「社会に悪い影響を及ぼす企業行動」 解雇、人員削減などの施策を行わず倒産した方が、社会に及ぼす影響は大きいと思いませんか?

pojipoji
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 新自由主義において企業の行動は自由でしょうが、行動を起こすとしても時期というものがあると考えています。4万人の雇用に必要なお金は一人月40万円として月160億円かかるとして、いま行動を起こさなければ、内部留保33兆6千億円の優良企業群が倒産の危機に陥るのでしょうか。 今回のことで、この事態およびこの事態から波及する影響に対して、中央政府や地方政府はどれだけの経費を負担することとなるでしょう。それらはすべて国民の税金です。倒産した会社の元社員の救済であれば純粋に株主である国民の救済ということになりますが、上記のような優良企業群にあってはにあっては、結果的に国民は望むと望まないに関わらず、中央政府や地方政府を通じてこれたの企業群に援助をしたことになります。ブッシュ大統領は、新自由主義の立場から企業に対する援助に最後まで慎重であったと聞いております。 国民主権国家において株主は国民であり、企業は社会的に有益な存在として株主である国民から存在を認められているにすぎません。民主主義と経済の新自由主義との折り合いがどうつけられているかというのが今回の質問の趣旨です。

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