No.1さんやNo.2さんと同じような回答ですが、生物は何かに"必要だから"存在しているのではなく、利用可能なエネルギー源があればそれを利用する生物が"必然として"出現するわけです。
現在の生態系で何かの「役割」を果たしている生物は、結果的に人間の目からはそう見えるだけで、生物自身はそれぞれ自分のために生きています。
ハエは動物の死骸や糞などを食糧源として自らの身体を維持します。
そのハエは結果的に鳥などのより大きな補食生物に食べられて、その生物の体を維持する役に立ちます。ウジもハエの幼虫ですから基本的に同じです。食糧も同じですし。
それらの糞や死体は、放置すれば微生物に分解されて土に還るわけですが、同じ糞や死体でも、微生物が食糧源として利用する物質あるいは化学反応系とハエ(あるいはウジ)のそれは異なります。
死体や糞中の有機物を無機物に分解する化学反応の過程でエネルギーを得てそれを利用するのが微生物ならば、ハエやウジは有機物を蛋白質に構成して自らの身体の維持に使うわけです。その意味では他の動物と同じです。蛋白質を蛋白質として摂取するわけですから(それだけではないですが)。
そういう、「死体や糞をエサにする」生物はハエだけではありませんが、ある特定の環境ではまったく同じやり方で生活する生物は基本的に1種しか生存できません。これをニッチ(生態的地位)と言います。
ハエが確保しているニッチは、別にハエである必要性は何もないのですが、ハエがそのニッチを確保するに至った進化の過程には必然性があるわけです。
つまり、ハエが絶滅すれば、いずれハエの替わりに別の生物がそのニッチを確保するようになるでしょう。
要するに、「ニッチが存在すれば、そこに生物が出現(進化して)する」というのが自然界の法則です。
言い換えれば、「利用可能なエネルギー源があれば、それを利用する生物が出現する」とすればより平易な表現かもしれません。その利用の仕方も含めての「ニッチ」なのですが。
蚊も同じことですよね。
動物の身体という「利用可能なエネルギー源」があって、それの利用の仕方はたくさんあります。それを直接殺して食べても良いですし、その肉食獣が食い残した死体を食べてもokです。その体表に付着した有機物を食べて生きている生物だっています。
蚊は、動物の血液を吸うという利用の仕方をするわけです。
その利用の仕方も、飛翔能力は捨てる代わりに一度吸い付いたら自分の身体の何倍もの大量の血液を吸うまで離れないダニもいたりしますが、蚊は飛翔能力を高めて吸う血液量は少ない代わりに対象を自由に追いかけて食糧を得る"ニッチ"を得ているわけです。
その蚊やハエは、主に鳥類のエサになりますが、それはもちろん蚊やハエが鳥のエサになるために存在しているのではなく、鳥の方が蚊やハエをエサにしている、のです。
ちなみに、蚊やハエやアブが「有機物の分解をしている」というのは、あまり正しくありません。まあ分解していると言えば人間だって分解はしているのですが、それと同じ意味で質問者さんが考えておられたのなら別に良いのですが。
蚊やハエ(ウジもボウフラも含めて)は、上でも述べましたが基本的には有機物を自らの身体を維持する蛋白源として利用しています。その意味ではヒトや他の動物と変わりません。
まあ、ボウフラが水の酸素濃度を調節している(そりゃ結果的には生物がいればその環境のガス濃度は変化するのは当たり前)、という論法だと、人間は地球のCO2濃度を調節するために存在しているとも言えますね。そうやって地球の温度を頑張って上昇させて、高温に強い生物の繁栄を助けているわけです。
このように、生物の世界を結果から逆に必要論で考えようとすると、おかしな理屈やヘンな結論に達してしまいます。
それに蚊やハエが「何のために存在するの?」と考える時、どうしても人間の視点から考えがちですよね。害虫か益虫か、みたいな話になりがちです。
でも、生物や自然界にとっては、「ヒトの役に立つか」なんて、知ったことではないのです。彼らには彼らの進化の歴史があってそこに存在しているだけなのです。
お礼
No1.さんへのお返事となってしまうようですが、みなさんとても貴重なご意見ありがとうございいました。 自分は知らず知らずのうちに、人間本位の考えとなってしまっていたようです。 そのところを反省しながら、生物の存在について改めて考えさせられました。 ありがとうございました。(ペコリ)