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トーマの心臓について
萩尾望都先生の普及の名作「トーマの心臓」について皆さんに質問します。 私は萩尾望都先生の作品はこれで初めて読みましたが、トーマの死の理由が理解できなくて今、大変ムシャクシャしています。そこで皆さんの個人的な見解を聞かせてもらえませんか?私が自分なりの答えを見出すためのヒントにさせてください。よろしくお願いします。
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こんばんは。 私もこの作品をはじめて読んだ時は、分からなくてむしゃくしゃしたものです。 今も、胸にあるのは自分なりの答えでしかありませんが、参考までに。 エーリクに対して、オスカーが 「ユーリははためにはとてもよくやってる」 「その実なかがからっぽなんて、見ぬいたのきみぐらいなもんさね」 と語るシーンがあります。 では、トーマはどうだったのでしょう? 同じことを、やはり見抜いていたのではないでしょうか。 その理由は知らないまでも……。 ユーリは「みずから神を裏切った(捨てた)」がために、 自分は、人を愛するに値しない、愛する資格を持たない人間だと 思い込んでいたように思えます。 そしてユーリにとっては、「天使の羽を持つ人間」イコール 「人を愛する資格を持つ人間」だったのでしょうね。 そして「愛してたなんて信じない」と断言してしまうのは、 それに応えることが、自分にはできないと思っていたから。 応えられないから、信じることができない=信じてはいけない、のです。 ユーリにとって、「愛」や「許し」は、受けたら返さなくてはならないものだったから。 トーマは、ユーリの身に起こったことは知らなくても、 ただ、人を愛さないというユーリに愛をとり戻してもらいたかったのでしょう。 (少なくともトーマの世界においては)生きていくうえで、愛も許しも、誰にも必要なものだから。 そしてその表現が、自分自身の死によって、翼そのものになること (=まぶたの上に生き続けること)だったのかな、と私は思っています。 見返りを必要としない、無償のものだから、自分自身が人間としてユーリの隣に残る必要もないわけで。 ユーリに翼がないことが問題なのなら、ぼくの翼をあげる、とエーリクも発言してますね。 それによって、ユーリは初めてトーマの真意に近づいたわけです。 エーリクの発言と、トーマの死の意味は、かなり近いところにあると思っています。 私自身はまったく信心深くはなので、 信仰の問題は、想像することしかできませんし、 原罪意識とか、そういうのにかかわりがあるのかなぁ? と思っていた時期もありましたが、 そのあたりについて調べ出すと、これはこれで、また混乱してしまいそうです。^^; なんだか曖昧な書き方になってしまいました。 参考になれば、幸いです。
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- disease
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簡単にいえばあてつけ自殺でしょう。 トーマはユーリに相手にされないので、自殺して彼の心に残ることを選んだんでしょう。 ユーリはサイフリートとの一件から、自分は誰にも愛される価値のない人間だと思っているんでしょう。 だから、ユーリをまったく相手にしなかったということだと思います。
お礼
彼の死にあてつけの意味もあるのでしょうか…。その解釈は無かったですね。ありがとうございました。
- lajksfdbi
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解釈は個人によって違うものでしょうが、とりあえず私の受け止め方を描かせていただきます。 物語の最後に、全てを昇華したユーリが電車の中で本を読みます。 そこに書かれた、一枚の紙切には以下のように書かれていたと思います。 「僕は、ほぼ半年の間、ずっと考え続けていた。 僕の生と死と、それから一人の友人について。 これは、単純なカケなぞじゃない。 それから僕が彼を愛した事が問題なのじゃない。 彼が僕を愛さねばならないのだ。どうしても。 人は二度死ぬと言う。まず自己の死。 そして友人に忘れ去られる事の死。 それなら永遠に、僕には二度目の死はないのだ。 そうして、僕はずっと生きている。彼の目の上に」 私はこの文章で、トーマは抜け殻となった最愛の人を救うため、自らの命を落としだと感じました。 自分の死によって相手を救う思いやりと、 死によって相手の中に自分が一生残る独占欲が 愛に実物以上の神聖化がなされているなと思いつつ、 神聖化された愛に憧れてしまいそうになります。 単純に、愛ゆえの行動なのではないでしょうか?長々と失礼しました。
お礼
ありがとうございます。 抜け殻となった最愛の人を救うため…ですか。 それってなかなかできることじゃないですよね。トーマってすごい。
お礼
なるほど、だからトーマは自分自身の死によって彼の翼になろうとしたのですね。 素敵な解釈ありがとうございました。