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減衰を持つ系のシンプレティック積分
ず~っと、必ず減衰のある構造系分野に住んでいました。ある時、保存系の数値積分に迫られ、それに今まで日常的使っていた、ニューマークβ法やウィルソンのθ法を適用してみると、余りにあっけなく解が発散するので、びっくりしました。もちろんエネルギーを保存するように、β,γ,θを選びました。ルンゲ・クッタは多次元への拡張が面倒そうだったので、最初から無視していましたが、いずれそうなった(発散した)と思います。仕方ないので、小さな減衰を入れて対処しましたが、非常に不満が残りました。 その後、シンプレティック積分法というのを見つけ、やってみると、保存系に対して、ものすごい威力を発揮してくれました。以下簡単のため、一次元運動を考え、一般化運動量と一般化変位を(p,q)で表します。 シンプレティック積分法の解が、何故あれほど安定なのかを考えました。保存系であれば、エネルギー曲線E=H(p,q)があります。シンプレティック法は、一種の蛙跳び法ですが、pとqの各増分ステップにおいて、必ずエネルギー曲線Eを横切る事が、定性的に保証されているので、解が安定なのだと思います。そうすると同じ時間ステップ幅に対しては、ニューマークβ法やウィルソンθ法,ルンゲ・クッタ法よりも精度が落ちる事にはなりますが、発散しないという意味においては、シンプレティックの方が、よほど精度が良い事になります。 さらにシンプレティックは、アルゴリズムを簡単に出来ます。実際、保存系の一次のシンプレティック法は陽解法で、一次のオイラー法とアルゴリズムの手間は同等であり、簡単でありながら発散しないという、夢の陽解法です。精度を求めたいなら、時間Δtステップを狭くすればいいだけの話です。そして、シンプレティック法の適用は、読んだ限りでは保存系に限られていました。 しかし以上の状況を考えると、非保存系にシンプレティック法を直接適用しても、けっこういけるのでは?、と思えるのです。何故ならシンプレティック法の要は、各増分ステップにおいて、ΔpとΔqが、必ずエネルギー曲線を横切る事です。 十分短いΔtを取れば、「その瞬間のE」を「ΔpとΔq」が横切るように出来る、と思えます。駄目だったらΔtを短くします。この場合、計算ステップは増えますが、 ・シンプレティックは、アルゴリズムをオイラー法なみに簡単にできる. ・現在のPCは、恐ろしく速くて、昔では考えられないくらいのメモリとディスクを搭載している. ことを考えると、自分には、十分魅力的な方法に映ります。この辺りの情報って、ないでしょうか?。ちなみに参考書(あまりないですが)は、 計算物理入門,臨時別冊・数理科学SGCライブラリ10,上田顕,サイエンス社,2001年. を使っています。 よろしくお願いします。
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- tomtom_
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まず,ちょっとだけ違うような気がする文章がありました. === さらにシンプレティックは、アルゴリズムを簡単に出来ます。実際、保存系の一次のシンプレティック法は陽解法で、一次のオイラー法とアルゴリズムの手間は同等であり、簡単でありながら発散しないという、夢の陽解法です。精度を求めたいなら、時間Δtステップを狭くすればいいだけの話です。そして、シンプレティック法の適用は、読んだ限りでは保存系に限られていました。 === 1次のシンプレクティック法も無数なスキームが考えられますが,オイラー法を適用した場合,陰的オイラー法と同等になります.陽解法になるのは,ハミルトニアンが分離可能な場合の話だと思います. それから,あとで質問者さんが述べられている通り,もちろん保存系じゃなくても適用可能です. === しかし以上の状況を考えると、非保存系にシンプレティック法を直接適用しても、けっこういけるのでは?、と思えるのです。何故ならシンプレティック法の要は、各増分ステップにおいて、ΔpとΔqが、必ずエネルギー曲線を横切る事です。 === 細かいことですが,シンプレクティック法はエネルギーを保存するわけではなく,シンプレクティック性を保存する手法です. ただ,Δt→0の極限では,おっしゃるようにエネルギー保存と等価になります. === 十分短いΔtを取れば、「その瞬間のE」を「ΔpとΔq」が横切るように出来る、と思えます。駄目だったらΔtを短くします。この場合、計算ステップは増えますが、 ・シンプレティックは、アルゴリズムをオイラー法なみに簡単にできる. ・現在のPCは、恐ろしく速くて、昔では考えられないくらいのメモリとディスクを搭載している. ことを考えると、自分には、十分魅力的な方法に映ります。この辺りの情報って、ないでしょうか?。 === シンプレクティック法が優れていて,非保存系に適用しても良い性能を発揮する理由は,(たまたま?)時間対称性を保存するシンメトリック法になっていることが多い,(たまたま?)ラグラジアンや各運動量等,シンプレクティック性以外にも保存量を持つことが多い,など,シンプレクティック性以外にも良い特徴を持つことが多いからです. これらのことは,最初に出たシンプレクティック法を含む幾何的数値解析法の書籍に書かれています. Ernst Hairer, Christian Lubich, Gerhard Wanner ,Geometric Numerical Integration: Structure-Preserving Algorithms for Ordinary Differential Equations (Springer Series in Computational Mathematics) あと,Webで,東大から国立天文台に移られた牧野さんの解説が見つかると思います. それから雑誌「数理科学」誌のバックナンバーで,1995年6月号の,国立天文台の吉田晴夫さんの記事にも,シンプレクティック法はプログラムが簡単だ,ということが書かれています. ご参考までに.