簡単に言うと、可干渉距離(コヒーレンス長とも言う)が分光器の分解能により変わるからです。
色々な波長を含んだ光は、色々な周期の波を含んでいます。
その場合、一つの光を分離して、また合成した場合に、光路差が0で合成した場合にはいつでも干渉しますが、光路差がある場合には、波と波が絶えず強めあったり弱めあったりするとは限らず、ばらばらになり、結果として時間平均を取れば干渉していない状態になります。
つまり光路差がある場合には干渉する範囲の距離以内であれば干渉するが、それを超えると干渉しなくなります。この距離を可干渉距離と呼んでいます。
もちろん境界線はあいまいですが、可干渉距離より十分小さければ干渉縞が明瞭に見えるし、可干渉距離よりずっと大きければ干渉縞はほとんど見えないということになります。
で、光が完全な単色光の場合には、この距離は無限大になります。
逆に光があらゆる波長を含んでいる場合には可干渉距離は0mになります。
この関係式を分光器の分解能K(単位:カイザーcm^-1)であらわすと、
L=0.01/K [m]
となります。計算すると、4cm^-1のときには2.5mm、8cm^-1の時には1.25mmです。
ちょうどウエハの厚みによるウエハの表と裏面の反射での干渉を考えると、ウエハの厚みをdとして、屈折率を3.5程度で考えると、往復で一回干渉するとしても、7d程度の光路差がありますので、ウエハが0.5mmとすると、3.5mm程度の光路差があることになります。
そうすると、4cm^-1の時には、可干渉距離2.5mmより光路差3.5mmはちょっと大きいので弱いけど干渉縞はぎりぎり生じる、ただ8cm^-1の時には可干渉距離1.25mmと比較して光路差3.5mmはかなり違いがあるので干渉縞は出ないという現象が大まかに説明がつきます。
はっきりと干渉が現れるようにしたければ2cm^-1以下程度の分解能にすればよいでしょう。
お礼
早速回答ありがとうございます。 >往復で一回干渉するとしても、7d程度の光路差がありますので、 この部分が少し理解できないのですが、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。 あと、もし、このあたりを勉強するのによい本があれば教えてください。