その方面に若干関与しております.
「なぜ月に行かないか?」
一言で言えば「予算不足」です.
1999年にアメリカが打ち上げた土星探査機は「最後の大型探査機」とまで
言われるほど,宇宙関係の予算は世界中で圧迫されています.
一方,通信や観測などの実用衛星については,それほどでもありません.
身近な月探査計画では,日本のSELENE-A,SELENE-Bがあります.(SELENE=セレーネ)
その中にあって,月はもはや探査の対象ではなく,開発の対象となりつつあります.
従って,わくわくするようなscientificな雰囲気よりも,経済性が求められるものとなっており,
予算云々と言うお金の問題となってしまいます.実際月を開発する計画はそこそこ既に出ています.
「なぜ人がいかないか?」
人間を一人乗せると言うことは,コンピュータを開発する費用が遥かに抑えられる
(人間は最も高級な部品,と称されます)一方で,極めて高度な安全設計が求められます.
昨今,コンピュータは60年代より遥かに進歩しましたので,少し頑張れば人間を乗せなくとも,
ロボットで十分,と言う設計理念の下で現在は機器が作られています.
つまり,人間が行く必要は,月にはない,とも言えます.
「月の周りを回る衛星」
地球から見てこれを「孫衛星」と言いますが,日本では宇宙研のスイングバイ実証衛星「ひてん」から
分離した「はごろも」が周っている筈です.アメリカでは国防省とかが何年か前に孫衛星を投入して,
偶然に「月の氷」を発見しました.
大きな話では,月周回軌道上に送電中継衛星をあげ,地球近傍の太陽光発電衛星で発電した
電力をマイクロ波等で送電して月面上での活動をサポートする,と言う計画もありますが,
これは2050年頃云々と言う計画になっています.
「なぜ日本は遅れているか?」
ミサイルについては日本も第二次大戦中に海軍が実用的な誘導ミサイルを開発しようと
していたり,固体ロケットでは日本は世界一の技術を持っています(宇宙研のロケット).
ロケット全般で言えば,「技術力」ではひけをとりません.
しかし「経験」ではアメリカ,ロシアより遥かに見劣りします.
打ち上げたロケットの数は何十倍,何百倍の開きがあります.
しかし成功率は同じくらいか,日本の方が少し良いです.
これは,経験ないところに最初から最高成績を求められた,日本の技術者の悲哀があります.
また,日本は漁業補償協定の中で,年間打ち上げ回数が制限されていますので,
ついつい実用衛星,技術実証衛星が優先されてしまうのでしょう.
この制限はNASDAの打ち上げ場がクリスマス島に移転すればなくなる予定です.
以上,つれづれと書かせて頂きました.
検索のコツとして,語句を幾つか挙げておきますね.
孫衛星,LE-NET,太陽光発電衛星(SPS,SSPS),はごろも,スパルタン,大林組,SELENE(セレーネ)・・・
お礼
たくさんの疑問についての解答ありがとうございます。 孫衛星というのですか。一つ賢くなりました。 「人間はもっとも高級な部品」 なるほどという感じです。高級なので取り扱いに気を使わなければならないのですね。 なんだか成功していないというのばかり印象に残ってしまっていて だめなんだなぁなんて思ってましたけど 成功率からすればロケット先進国(?)にも引けを取らないのですね。 NASDAといえば種子島だと思ってましたけど クリスマス島に移転するんですね。 漁業補償協定で何で打ち上げが制限されるのですか? 打ち上げをすると海の生態系を壊すのですか?