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李明博新大統領への経済界からの期待
昨日、就任式を終えた李明博新大統領への韓国経済界からの期待が大きいと報じられています。しかし、個人的には盧武鉉大統領の下で1997年のアジア通貨危機に端を発するIMF介入後の韓国経済は、自動車や電子機器などの海外での売り上げの向上など、韓国の国力の拡大を認めざるを得ない状況であり、飛躍的に拡大していると思いますが、他方、韓国国民はあまり経済成長の恩恵を得られていないように見受けられます。 経済の充実の点で盧武鉉前大統領への韓国国民の評価はどのようなもので、どのような理由によるものなのでしょうか。所得格差や就職率の低下なども含まれているのでしょうか。また、新大統領への経済発展における具体的な国民の要望はなんなのでしょうか。 なお、盧武鉉前大統領の対北朝鮮への太陽政策により外資が安心して韓国に投資できたと聞いているので、新大統領のやや強硬政策の下での外資投資の動向についても関心をもっています。
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- omeger
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どうでもいい細かい訂正ですが、 #2の×15-64歳雇用率は○15-64歳労働参加率 の間違い。 15-64歳雇用率(2007年は1~11月)は 2003 63.0% (男性75.0% 女性51.1%) 2004 63.6% (男性75.2% 女性52.2%) 2005 63.7% (男性75.0% 女性52.5%) 2006 63.8% (男性74.7% 女性53.1%) 2007 63.9% (男性74.7% 女性53.3%) で、経済が低迷しているのかどうかは主観的な判断に依拠しますが、 国際比較で見れば現時点で深刻な状況とは言えないとは思われます。 韓国人の生活水準(購買力平価ベースでみた1人当たりGDP、IMF)は、 1986年には日本の37%でしたが、 1996年には57%、2006年には74%に向上しています。 農業部門以外の平均月収(ILO)で見ても、 1986年 35万ウォン(為替レートで7万円 購買力平価で15万円に相当) 1996年 137万ウォン(為替レートで18万円 購買力平価で32万円に相当) 2006年 267万ウォン(為替レートで32万円 購買力平価で45万円に相当) と、ここ20年で先進国水準に肉薄してきています。 さらに年間7%で成長して、5年で1.5倍、10年で2倍になるべきだと 主張していますが、単に目標が高過ぎるだけに見えてしまうわけです。 李明博は7%の成長によって年間60万人の雇用を創出するといっています。 単純に雇用が60万人増えると失業率が3%から0%になりますが、 しかし、まともな統計で失業率が0%になることはありえず、 インフレが加速して継続不能になってしまいます。 雇用を増やすためには失業率を下げるのではなく 労働参加率を上げる必要がありますが、 こういった事は単に投資が増えて好景気になるだけでは達成できません。 大学や高校の就職内定率は、景気動向というよりも、 社会構造的な問題が大きいです。 若年層の就職が苦しいのは、国際的にはよくある問題です。 15-24歳の失業率は、韓国は10%、日本は8%となっていますが、 フランスは24%、イタリアは22%など多くの国で深刻な域にあり、 好景気であってもなお若年失業率は高止まりしています。 (ただし、失業率の意味は各国によって違いがあり、欧米以外では失業率が低めに出ると言われる) 日本の場合は少子化の影響で負荷が小さいのかもしれませんが、 台湾でも大学生の就職難の問題はありますし、 10%成長している中国でさえも大学生の就職事情は非常に厳しいです。 韓国では終身雇用は粉砕されており労働の移動が激しいため、 新卒の就職の意味が日本ほど大きいわけではなかったりもします。 しかし、経験の浅い若年層は、転職組と比べ就職上不利な状況に置かれます。 特に、最低賃金が高く雇用規制が厳格な場合や、 職業トレーニングの負担が割に合わない場合に若年失業率は高くなると言われます。
- omeger
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あまり詳しい事情は分かりませんが、 韓国の事情はオイルショック後の日本のような面もあるように思われます。 サムスン電子や現代自動車の多くの製品で世界に認められたのは 経済危機後の事であり、一部は金大中政権の財閥再編の功もあるでしょう。 しかし、オイルショック後に日本製品の品質が恐れられたその時期に、 当の日本経済の成長率は7~10%辺りから4~5%程度に減速していたように、 韓国でも危機前の7~10%の成長率は保てずに4~5%程度にまで減速しています。 セクター別で見ると、製造業の生産性は急速に伸びていますが、 サービス産業の生産性が低迷しているため成長率が押し下げられています。 韓国の経済改革の多くは金大中時代のものでしたが、 盧武鉉時代には2003年のクレジットカード破産問題のような 金大中時代の負の部分が明るみに出ましたし、 アジア経済危機時から上昇した所得格差の是正は難しい問題になりました。 地域格差や首都移転といった経済以外の問題が優先され、 レームダック化しているような政権への不満が募りました。 ただ、低所得層の待遇改善や、米韓FTAなど、 何もしていなかったわけではないのですが。 こういった成長率の減速は、既に1人当たり20,000ドル前後に 上昇した所得水準ということで大方説明が付くでしょうが、 前の時代の名残と、早くアメリカや日本に追いつきたいという感情から、 先入観としての期待が大きすぎる面もあります。 一世代前の日本のように7%成長を目指して必要以上に公共事業を行ったり、 細部の杜撰な不動産・金融規制緩和で経済が不安定にしたりというような、 つまらない失敗を繰り返すべきではないでしょうが。 韓国企業の自由競争のためには 財閥のヒエラルキー構造に問題がありますし、 物的なインフラ整備ではなく人的資源の活用に 焦点を当てる必要が増していますが、 巨大財閥系建設会社オーナーという経歴を持つ大統領が、 こういった問題に対処できるのかというのも着目したい所です。 労働市場問題は非常に難しい状態にあります。 韓国の雇用規制の猥雑さに問題が多いのは明らかな一方で、 不安定な雇用に問題が多いのも明らかという 2つの問題を同時に抱え込んでいます。 盧武鉉時代に雇用率や失業率がひどく悪化したわけでもありませんが、 大規模な最低賃金の引き上げは若年層の構造的な失業問題を 悪化させた可能性は考えられるかもしれません。 他方では非典型雇用や所得格差の問題が解決に 向かわなかった事が労働者の不満となっています。 2003 失業率3.6% 雇用率65.4%(20-29歳60.2%) 賃上げ率9.2% ジニ係数0.341 非正規雇用32.6% 2004 失業率3.7% 雇用率66.1%(20-29歳61.1%) 賃上げ率6.0% ジニ係数0.344 非正規雇用37.0% 2005 失業率3.7% 雇用率66.3%(20-29歳61.2%) 賃上げ率6.6% ジニ係数0.348 非正規雇用36.6% 2006 失業率3.5% 雇用率66.2%(20-29歳60.2%) 賃上げ率5.7% ジニ係数0.351 非正規雇用35.5% 2007 失業率3.2% 雇用率66.2%(20-29歳60.1%) 賃上げ率5.6% ジニ係数0.352 非正規雇用35.9% (ジニ係数・非正規雇用は韓国統計局より 他は韓国国際労働財団より、雇用率は15-64歳、2007年は1~11月) 北朝鮮に関しては、太陽政策を引き継ぐわけではありませんが、 軍政時代の全斗煥や朴正煕のように激しい対立を望んでいるわけでもなく、 具体的にどういった政策をとるかは現時点では読みづらいのではないかと。 李明博は北朝鮮の1人当たり所得水準3000ドルの実現が統一の一里塚であり、 経済面の協力が政治面の緩和に繋がるとしてはいます。 しかし、北朝鮮の南側への警戒心は非常に強烈なものであり、 開城工業団地のような南北間の事業は難航しているようです。 南北間の協力自体よりも、中国東北部の所得水準が高まることで、 中国朝鮮族ネットワークを介して北朝鮮に経済成長が波及する方が、 可能性は見込めるかもしれない気もしますが。 なお韓国は、金融系を除けば外資企業が非常に少ない経済構造となっています(日本もそうなのですが)。 今のところは日本企業も大して韓国に進出してはいません。 新大統領は外資系投資の規制緩和を公約に掲げていますが、 どういったものになるかは今後を見守らなければいけません。
- mat983
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韓国経済は数字では安定した成長ですが、 就職難など不安な面を抱えています。 また、中国、インドの台頭で存在感は希薄で埋没の危機にあります。 例えば自動車など韓国製より中国製の注目されています。 まだレベルは低いですが、ハイブリッドカーもあると報道されているなど、世界第2の市場ですから、将来は怖い存在です。 インドでも格安の大衆車が販売され話題を呼んでいます。 こうした中、韓国は相当危機感があります。 日本重視の政策に切り替えざるを得ません。
お礼
今日の朝鮮日報にも確かに、韓国製品の海外でのシェアが下がっているとの記事があり、深刻との話がありました。 回答ありがとうございます。
お礼
詳細なご説明大変ありがとうございます。 確認すればするほど、やはり経済低迷の要因は奥が深いと感じます。 回答ありがとうございました。