追加説明
PNダイオードやPINダイオードでは、少数キャリヤの再結合時間の問題でスイッチングスピードが遅くなります。ショットキーダイオードには再結合問題はありませんので早いのです。この点をもう少し説明しておきます。
PNダイオードの場合は、P側をアノード側、N側をカソード側と呼びます。
アノード側にプラスの電位(ポテンシャルバリヤを越える電位)が印加されますと、PNの接合面のポテンシャルバリア(Siの時は約0.7V)を越えて電流が流れます。これがスイッチイングのON電流になります。ONからOFFに反転させるには、アノードの電位を0に変化させるのですが、非常に早く電位を0にした場合、PNダイオードのカソード側(負荷側になります。)の電位の電圧降下より早くアノード側の電位が下がります。これはPN接合面に逆バイアスを印加したことになり、PN接合面にキャリヤの希薄な層(空ぼう層といいます。)ができます。逆バイアスが大きければ大きいほどこの領域が広がります。P領域からN領域に注入したキャリア(少数キャリヤ)、あるいはN領域からP領域に注入されたキャリヤは(少数キャリヤ)は瞬時的な空ぼう層の広がりの中で行き場を失います。結果的には再結合して消滅するのです。したがって、PNやPINダイオードをスイッチングに使う場合、原理的にスイッチング速度がこの再結合時間で決まるということになります。
一方、ショットキーダイオードというのは金属と半導体の接合を利用した
ダイオードです。金属/半導体間の化学ポテンシャル(0.5前後)を利用していますので、印加電位がポテンシャルバリヤを越えれば電流が注入され、流れ、ON状態になります。
印加電圧を急激に下げて、カソード側の電位がアノード側より高くてもPN接合面のように逆バイアスによる空ぼう層はできませんので、再結合時間はありません。
だから、ショットキーダイオードのスイッチング速度は、半導体内に流入したキャリヤ(外部注入キャリヤですから多数キャリヤです。)をいかに早く外にだすかにかかって来るわけです。半導体内のキャリアがアノード側に引き返してくるのですが、半導体内のキャリヤは材料で決まる固有の郡速度を持っていますのでこの速度と半導体の物理的な長さ、形状で抜き取り時間が
きまります。この抜き取り時間(ドリフト時間)でスイッチングス速度が決まります。
#4で書いたように強制的にマイナスの印加電圧をかけてドリフト時間を
短くするという手段も使われています。
ということで、よろしいでしょうか?
お礼
ありがとうございました。また、何かありましたらおねがいします。