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線形代数

線形代数の期末試験で、直交化などをやっているのですが、 計量線形空間に入ってからがイマイチ理解が乏しいです。 Gram-Schmidtの正規直交化法なども手順は分かるのですが目的がわかりません。 どなたか、 なぜ計量空間というものを考える意味があるのか? 正規直交化するとどんないいことがあるのか? かみくだいてご説明お願いしますm(__)m

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  • phusike
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回答No.2

計量空間を考える御利益は、無論応用ができるからです。 物理に即して2つほど応用を述べてみます。 有限区間[-L,L]で波動方程式 [∂^2/∂x^2]ξ = [∂^2/∂(ct)^2]ξ を考えましょう。 この時、内積を (f,g) = ∫[-L,L]dx f(x)g(x) と定義し、 関数(細かくいえば二乗可積分関数)がなすHilbert空間(計量空間に制限が加わったものです)を考えると、 [∂^2/∂x^2] は線形写像であり、cos(nπx/L), sin(nπx/L) は固有関数になります。 そうすると、本当にこれらが基底をなすのか、 また級数は本当に収束するとかなど厳密な問題を抜きにすれば、 ξ(x,t) = Σ[n=0,∞]a_n(t)cos(nπx/L) + Σ[n=1,∞]b_n(t)sin(nπx/L) というふうに展開すると、 先ほどの波動方程式は -(nπ/L)^2 a_n(t) = [∂^2/∂(ct)^2]a_n(t) (n≠0、b[n]も同様)の常微分方程式に帰着します。 さて、初期条件ξ(x,0)=ξ_0(x)の下にこれを解くとしましょう。 この時 a_n(0), b_n(0)を求めなければなりません。 普通であれば連立方程式を解いて求めるところですが、 無限次元ですので無限個の連立方程式を解くことになり、不可能です。 有限個であっても面倒ですのでやりたくありません。 ところが、cos(nπx/L), sin(nπx/L) はちょうど規格直交化されていますので、 a_n(0) = (a_n,ξ_0), b_n(0) = (b_n,ξ_0) と簡単に求められます。 このように、基底に展開したときの係数が簡単に求められるのが、 計量空間で基底を規格直交化するメリットです。 また、量子力学を考えます。 量子力学における系の状態は、 Hilbert空間内の規格化されたベクトル(状態ベクトル)として表されます。 そして、ある物理量を観測するという動作は、 対応するHermite作用素をこのベクトルに作用させることで表現されます。 観測しうる値はその作用素の固有値に限られ、 ある固有値を観測する確率は、 状態ベクトルをその固有空間に射影したベクトルのノルムの平方で表されます。 物理量はHermite作用素で表されますから、異なる固有値に属する固有ベクトルは直交しますし、 同じ固有値に属する固有ベクトルでもSchmidtのアルゴリズムで直交化できるので、 固有ベクトルで正規直交基底をつくることができます。 もしある固有値に属する固有ベクトルが複数ある場合 (物理や化学の文脈では「縮退」しているといいます) 基底を正規直交化しておくと、 状態ベクトルをその固有空間に射影したベクトルのノルムの平方は、 状態ベクトルを基底に分解した係数のうち、 その固有値に属する固有ベクトルの係数の平方和を計算すれば済みます。 (正規直交化していないとノルムの計算は面倒です) このように、様々な応用があるために、 計量空間や正規直交基底は特によく用いられるのです。

eringui
質問者

お礼

そういえば波動方程式Hφ=Eφなんてまさに固有値と固有ベクトルを求める問題ですね! 量子化学では正規化条件∫φdτ=1は√(確率)の和を1にする操作という意味合いで教わりましたが、本来の意味はまさに正規化だったんですね!! なんか化学と数学が一気に結び付けられました。具体例、ありがとうございます。 化学も試験範囲なので、お互いを関連付けて勉強してみようと思います。 あと2日ですがorz

その他の回答 (2)

  • phusike
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回答No.3

失礼、 >ところが、cos(nπx/L), sin(nπx/L) はちょうど規格直交化されていますので、 >a_n(0) = (a_n,ξ_0), b_n(0) = (b_n,ξ_0) と簡単に求められます。 は a_n(0) = (cos(nπx/L),ξ_0), b_n(0) = (sin(nπx/L),ξ_0) の誤りです。

  • chiezo2005
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回答No.1

我々の良く扱う直交したXYZの座標系での,各種ベクトル(位置,速度・・)がまさに,計量空間で正規直交系で記述されているからです。 代数を抽象的な方向から学ぼうとするからわからなくるのです。 数学というのは,物理などで使われている数学的な概念を一般的にすることにより発展してきました。 物理や機械などで良く使うベクトル空間が計量空間であり,XYZの直交座標系の座標軸をあらわすユニットベクトルが正規直交系そのものです。 つまり技術的な応用を考えると計量空間というのは線形代数のなかで応用範囲が非常に広いので特別に詳しく学ぶわけです。 正規直交系についても同様です。 それに気がつかないというのは数学の学び方を間違えているように思います。 小学校,中学,高校で算数や理科で学んだことをよく見直すと良いと思いますよ。

eringui
質問者

お礼

気がつかなかったというか昨日勉強を始めたので;講義にさえ出ていませんでしたw いちばん身近なxyz座標系と同じ特徴を持たせる操作だったのですね!分かりやすいご説明ありがとうございました<m(__)m>