手元にある「身体障害認定基準」「身体障害認定要領」と、その「疑義解釈集」をもとに、再度回答させていただくことにします。
■ 身体障害認定基準、身体障害認定要領
身体障害者手帳の等級認定については、「身体障害者障害程度等級表」で大まかな区分を定めつつ、実際には、別に定められている「身体障害認定基準」と「身体障害認定要領」に基づいています。
たとえば、「著しい障害」とはどのような状態のことをいうのか‥‥などについて、非常に細かく定められています。
(1)身体障害認定基準
最終改正:平成15年1月10日
障発第0110001号
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知
(2)身体障害認定要領
最終改正:平成15年1月10日
障企発第0110001号
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知
(3)疑義解釈集
最終改正:平成17年5月26日 障企発第0526001号
障企発第0227001号(平成15年2月27日付け)
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知
これらによれば、「両下肢の機能障害」については「基本的には、各障害部位を個々に判定した上で、総合的に障害程度を認定する」とありました。
したがって、#3で回答させていただいたように、まずはそれぞれの等級を4級とし、4級&4級⇒3級、と認定した模様です。
下半身不随など(例:脳梗塞や脊髄損傷などを原因とするもの)で「両下肢全体の機能障害」であるならば、全体としての「両下肢の機能の著しい障害」ととらえて、概ね最初から「2級」となります。
ところが、下半身不随などではなくそれぞれの下肢に「関節の可動域が狭い」「脚が上がらない」などの障害が個別にあるという場合(例:変形性股関節症、神経障害)、およびその程度が微妙に異なる場合には、たとえ両脚に障害があったとしても、「左脚は左脚、右脚は右脚」として、まずは個別にとらえ、全体としての合計指数で最終的な障害等級を決めるのです。
ですから、確かに「両下肢の機能の著しい障害」という事実には間違いはないものの、実際には「(一下肢ごとに機能の著しい障害があり、総合して)両下肢の機能の著しい障害」がある、という状態なのです。
ここがポイントで、こう考えると、実は「3級」で妥当です。
ちなみに、一下肢が「全廃」(全く用をなさない)で、もう片方の一下肢が「機能の著しい障害」又は「全廃」であれば、「(全体としての)両下肢の機能の著しい障害」として「2級」となります。
肢体不自由の場合、「一下肢ごとに個別に認定し、それを総合した」という場合でも、一下肢ごとに別々に記すことは、ケースによりけりではあるものの、現在(「平成」に入ってから?)は、概ね「していない」ようです。
「昭和」の頃は「していた」のですけれども。
以上の事情からまとめてみると、いきなり「両下肢の機能の著しい障害」とだけ記されてしまった場合、確かに質問者さんの疑問のようなことになってしまいますね。
手帳上の障害等級も違ってきてしまいますし、「2級は税法上の特別障害者控除を受けられるにもかかわらず、3級以下ではただの障害者控除になる」など、受けられる障害者施策も違ってきてしまいます。
つまり、「両下肢の機能の著しい障害」と言っても、「一下肢ごとに見て、総合して“両下肢の機能の著しい障害”とした」という場合と、「全体としての機能不能を最初から見て、当初から“両下肢の機能の著しい障害”とした」という場合とでは、意外なほどの開きが出てしまう‥‥。
これは正直言って、専門家の目から見ても、ちょっと納得しがたいものがあります。
いずれにせよ、このようになっているのだということをご理解いただきたいと思います。
#3の回答を訂正する形になってしまいますが、現況で誤りはないものと考えられますし、再認定の申請を行なう必要もないと思います。
(もちろん、念のために申請していただいてもかまいません。)
■ 参考書籍
「新訂 身体障害認定基準及び認定要領[補訂版]◎解釈と運用」
2005年10月20日発行 中央法規 ¥5500
書籍注文コード:ISBN4-8058-4626-7
※ 市販されていますが、一般向きの書籍ではありません(^^;)。
■ 障害等級ごとの指数
1級 18
2級 11
3級 7
4級 4
5級 2
6級 1
7級 0.5
(注:7級は、単独では手帳交付の対象にならず、2つ以上重複して初めて「6級」に位置づけられます。)
■ 合計指数
18~ 1級
11~17 2級
7~10 3級
4~6 4級
2~3 5級
1 6級
(注:合計指数は、基本的には「障害等級ごとの指数の合計」として求めるものの、たくさんの特例や制限があり、単純合計とはなりません。)
お礼
本当にご親切な回答ありがとうございます。 やっぱり難しいみたいですね。 あと可能性は私はミオパチーの影響で激しい運動をすると心臓が頻脈発作を起こしやすく現在心臓の薬を処方してもらっていますので心臓の方で認定できないが1内の先生に聞いてみたいと思います。 本当に回答ありがとうございました。