- ベストアンサー
能面・孫次郎について初歩的な質問です。
不勉強者の愚問で恐縮です。 能面の作者で、「伝孫次郎作」のような「伝○○作」という表現がありますが、この「伝」とは何でしょうか。また、どう読むのでしょうか。 姓ではないように思うのですが。 また、伝孫次郎作「孫次郎」の能面というのは、作者が自分で自分の能面を作ったということでしょうか。 本当に不勉強な質問で恥ずかしいのですが、よろしくお願いします。
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
「伝」は、「でん」と読み、「本当かどうかは分からないけれども、○○という作者の打った面と言い伝えられている」という意味です。 「孫次郎」というのは、能の「金剛流」という流儀の大夫(役者)の一人であった、金剛孫次郎という人物が、自ら能面を打って舞台に用いたと言われています。 とくに、「孫次郎」については逸話があり、金剛孫次郎が亡き妻の面影を偲んで、彼女に似せて打ったと言われ、「ヲモカゲ」の愛称で親しまれています。 最初に打たれた一面だけで、金剛流はもとより、他の流儀も含めて、全ての能の舞台をまかなうことはできませんので、優れた能面が打たれた場合、複数の能面打ちが、その面を模倣して、全く同じか酷似した、またはそれに似せた面を打ちます。 そうして打たれた面を「写シ」といい、原作として打たれた面は「本面(ほんめん)」といって、区別しています。 ですから、金剛孫次郎が「ヲモカゲ」として打った面はおそらく一面だけでしょうが(たぶん、三井家の所蔵となっていると思います)、金剛孫次郎自身が、その後も何面か、同じ趣向で打った面があるかもしれません、そういうもののうち、たぶん高い確率で金剛孫次郎が打ったと思われる「孫次郎」に「伝孫次郎作」という銘が与えられているのだと思います。 能面の名称として、能面作者の名前がそのまま冠せられることは別に珍しくなく、「増(ぞう)」または「増女(ぞうおんな・ぞうのおんな)」という女神などの役柄を表す面は「増阿弥」という能面作家の創作面、女の嫉妬や怒りを表した面として有名な「般若(はんにゃ)」も、「般若坊(はんにゃぼう)」という作者の創作面です。
お礼
初歩的な質問に、丁寧に回答をいただいてありがとうございます。 すっきりとしました。 また、能面に作者の名前がついていることも珍しくないのですね。女性の役柄なのに「孫次郎」とはどういうことかと不思議に思っていたのです。 ありがとうございました。