では,IUPACでどうなっているかを「有機化学・生化学命名法 上」(化学の領域増刊130号,南江堂)から抜粋しましょう。
有機化合物については【A-2.5】に金属錯体等の配位化合物に付いては【D-2.22】にあります。
【A-2.5】
置換基が結合していない基で同じものが複数あることを表わすには,重複を表わす接頭辞 di-, tri-, tetra-, penta-, hexa-, hepta-, octa-, nona-, deca-, undeca- 等のうちの適当なものを使う.
置換基が同じように結合している同じ基が複数あることを表わすには,重複を表わす接頭辞 bis-, tris-, tetrakis-, pentakis- 等のうちの適当なものを使う.
【D-2.22】
錯体の完全な名称では二系統の倍数接頭辞を使っている.接頭辞 di-, tri-, などは,未置換基または未置換母体化合物の同じものの個数を示し,接頭辞 bis-, tris- などは置換された基や母体化合物の同じものの個数を表わすのに使う.
例えば,OH 基が2つあれば「dihydroxy」で,CH3 が3つあれば「trimethyl」ですが,HO-CH2- が2つあれば「bis(hydroxymethyl)」になるわけです。
なお,セスキ(1.5)やセスタ(2.5)は「セスキテルペン」や「セスタリグナン」等のように,ある一定の構成単位がの数を表わす場合に使われると思います。