被監査会社の株式取引が制限されているのは、インサイダー取引の防止もありますが、監査論上でいうところの経済的独立性を確保するということが第一の目的です。公認会計士法の規制のほか、SECや監査法人内での内規によりさらに厳重となっていることが通例です。重箱の隅のような部分については、曖昧な点もあって自信がないのですが、監査法人内では、以下のようなことを言われています(以下ではこれらを区別せずに記載しています)
被監査会社の株式=当然だめです。自分が関わっていなくても所属する事務所が監査していれば同様です。例えば、あなたが東京事務所に所属していたとして、同じ法人の大阪事務所や福岡事務所のクライアントも駄目ということです。
また、株式だけでなく、投資信託も監査対象ですので、所属事務所が監査をしている投資信託の購入はできません。
被監査会社の関係会社=親会社と子会社で監査人が違うケースがしばしばあります。単体では関係なかったとしても連結ベースでは引っかかってくることがあります。
一職員の立場で言えば、買おうと思っている会社のグループ全体が所属事務所の監査対象でなければ、ほぼOKです。ただ厳密にいうと、非公開会社や任意監査の対象であっても、所属事務所からはダメといわれる可能性が高いため、個人の努力だけで調べるのは厄介です。
>被監査会社が証券会社の場合は、その会社に証券口座を開くことすらできない
そのとおりで、預け残高に一定の規制があります。これは銀行も一緒でいわば一種の債権債務関係にあたるためです。預金保険機構等によって保護される範囲は○ですが、それを超える残高や元々保護対象でないもの(外貨預金等)は×、となります。また、監査先からのローンや、クレジットカード残高が一定額を超える場合も制限対象となりえます。
>株を持っている会社が被監査会社から監査対象の会社になる
みすずの件で、監査人の変更がかなりあったのでここ1年程度は多かったことでしょうが、判明しだい速やかに処分(売却)することが求められます。損が出るとて止むを得ません。
お礼
昨今の合併・買収の状況では、いつ保有銘柄が監査対象の 連結グループ内に入るか分かりませんね。 大手の監査法人勤務の方はかなりの銘柄制限がかかりますよね。 また、投資信託や外貨預金についてもご指摘の点を再認識できました。 詳細な回答ありがとうございました。