重婚で婚姻無効?(2)婚姻取消しに遡及効が無い理由
(a)婚姻無効が遡及する仕組み
(b)婚姻取消しが遡及しない理由
(c)婚姻取消しでも子は嫡出子である理由
この3点を、常識に逆らって以下のように説明してみました。
批判をお願いします。
*********
(1) 婚姻の定義-婚姻は実体である
憲法第24条「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の・・・」
* 両性の合意のみに基いて成立した(男女関係の)実体が、婚姻である。
(2) 婚姻無効の設定-無効な婚姻と有効な婚姻の切り分け
民法742条第1項「当事者間に婚姻をする意思がないときは婚姻無効」
* 婚姻をする意思がない男女関係は婚姻ではない。
* 婚姻意思を有する男女関係の成立が、婚姻の成立である。
(3) 婚姻成立の規定-成立要件説の完成
民法742条第2項「当事者が婚姻の届出をしないときは婚姻無効」
* 婚姻意思が有っても届出をしないと婚姻は不成立。(実体がない)
* 婚姻意思を持って届出をしたら(実体の存在が確認され)婚姻は成立。
* 届出をしないときは、婚姻実体があるとは認めない。
民法739条の届出により、民法742条第2項で婚姻が成立し、同時に739条で効力を生じる。
届出がないと婚姻ではないので、全ての婚姻は法律婚となる。
民法は法律婚主義を完成している。
成立した婚姻が(届出により)効力を生じたら法律婚になる。
「婚姻の成立」とは「法律婚の成立」ではない。
届出において、742条に対して婚姻意思が必要となるが739条に対しては必要ない。
届出により婚姻が成立(婚姻実体が生成)し同時に効力が発生するので、民法は成立要件説を完成している。
(4) 婚姻効力の規定-婚姻取消し
民法第739条 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
民法第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定
その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理する
ことができない。
民法第743条 婚姻は、次条から第747条までの規定によらなければ、取り消すことができない。
民法第748条 婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
婚姻効力を介して、739条と748条は対になる。739条で生じるのは効力なので748条で消滅するのも効力である。
婚姻取消しにより、740条に規定する実質要件に違反した婚姻は効力が無いことが確認される。
同時に共有財産を処理し子の処遇を定めることで、婚姻の成立は終了し婚姻の実体は消滅する。
婚姻の成立(婚姻実体)が終了するのは、裁判確定の時である。
故に
★ 婚姻無効 - 婚姻の成立(婚姻実体の有無)を問う規定。
★ 婚姻取消し- 婚姻の効力を問う規定。
(a) 婚姻無効が遡及する仕組み
民法742条第1項は、憲法24条の意を享けた条文である。
「無効な婚姻」即ち「実体が無い婚姻」は、実体がないから効力を発生できない。
当初から実体がないので、効果も一切無い。
そのため、民法742条には効果を規定する必要がない。実際に効果を記述した条項はない。
婚姻成立の無効化は遡及するように見えるが、実は遡及する訳ではなく、始めから無いだけである。
(b) 婚姻取消しが遡及しない理由
法律行為の取消しは基本的に遡及して効力が消滅する。
婚姻取消しで効力が遡及して消滅した場合は、結婚当初から裁判までの期間に、法的に成立だけして効力の無い婚姻が残ってしまう。
民法は742条で法律婚主義を完成しているので、「成立して効力の無い婚姻(事実婚)」は存在できない。
従って、民法の婚姻取消しは遡及できない。
故に、婚姻取消しには遡及効が無い。
(5) 嫡出推定-親子関係成立は婚姻の効力ではない
民法第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後・・・
嫡出推定は婚姻の成立に対して作用する。
親子関係の成立は婚姻の効力ではない。
民法に規定する婚姻の効力は、夫婦同氏・生存配偶者復氏・同居協力相互扶助義務・成年擬制・夫婦間契約取消権の5項及び夫婦財産制である。
従って、婚姻を取消しても子が嫡出子である理由は、遡及効が無いからではない。
婚姻取消しにおいて子が嫡出子である理由は、子の出生時点で婚姻が成立していることによる。
民法では、婚姻届・離婚・取消し・婚姻無効、いずれの場合も「婚姻成立と効力発生」又は「婚姻終了と効力消滅」が同時となる。
そのため、[ 婚姻成立 = 法律婚成立 ]としても齟齬が出ないので、婚姻取消しには遡及効がないから子が嫡出子であるように見えるだけである。
*********
ということなんですが、考えたのは素人です。
法律に詳しい方の御意見をお願いします。
中国婚姻法の婚姻無効を読み込んだところ、民法では法的に婚姻が成立しなければならないはずだと考えました。
素人が議論しようというワケではありません。なんか削除されそ
参考
http://blog.goo.ne.jp/cloudsflower/e/e6750c669d8f99162231d84bd1cfc681
お礼
世襲を意識していなかったのは迂闊といえば迂闊でした。世襲とあっては婚姻は絶対ですね。 「斎王」、「斎宮」の知識はなかったので http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E7%8E%8B http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E5%AE%AE を読んでおきました。 有り難うございました。またの機会にもよろしくお願いします。 何方からも新たな寄稿がなければ24時以降の都合のよいときに締め切ります。