ギリシア神話の場合、夫がいる身でありながら、夫より若くてかっこいい男を誘惑しようとして失敗した女なら意外と多いです。つまり成功しなかった事例ですが…。アポロドロスの『ギリシア神話』(岩波文庫)を詳細に読むと多数発見できると思います。有名なのはテセウスの子ヒッポリュトスでしょう。テセウスの後妻が誘惑しましたがなびかなかったので、怒った後妻は夫に誘惑されたと嘘を言い、殺させました。似たような話がいくつかあります。
攻めて来た敵(クレタ王ミノス)に恋をして父王の弱点を教えて好かれようとするが、その敵に殺させてしまう王女とか(名前が出てこない!)。『日本書紀』で、景行天皇が九州を征伐した時にも似たような事件が起こっています(女の名前が出てこない!ごめん)。
もちろん愛人と共謀して夫を殺した例もあります。トロイア戦争でギリシア軍を率いたアガメムノンの妻クリュタイムネストラがそうです。
アーサー王伝説ではやはり、アーサー王の妃グィネヴィアでしょうか。ランスロットとの許されない恋が有名ですが、彼女には他にも恋人がいたようですから、彼女の方から誘惑したと見るべきか。
ナルト叙事詩に登場する女性ゼラセは、嵐の精霊ワスチュルジが自分に恋をしているのをいいことに、彼のものになると言って、死んだ夫を埋葬する穴を掘らせ、墓を建てさせたうえ、化粧をして来ると言って生まれ故郷の海に帰り、そのまま戻って来なかったという…。これはむしろ神話伝説において寡婦として称えられるべき女性の例でしょうが、問題はそのあと。ゼラセは地上で夫の子を育てた後に世を去りますが、うらみのあるワスチュルジは彼女の死体を陵辱し、その結果サタナという女性が生まれます。
このサタナがけっこうとんでもない女性で、魔術と性愛の技法を駆使して夫を虜にし続けます(一応、純愛)。が、それ以外の男の影も見えます。彼女が河で洗濯をしているとその様子を見ていた牧者が欲情して精液を岩に漏らしてしまい、そこからソスランという英雄が誕生します(なんだか意味深)。また義理の息子にあたる英雄バトラズと恋仲だったという話もあるようです。
お礼
ふむふむ、色々な情報、ありがとうございました。