民法241条本文は、埋蔵物は特別法の定めるところに従い公告した後6か月以内に所有者が知れないときは発見者がその所有権を取得する旨規定し、遺失物法13条、1条1項本文は、埋蔵物を発見した者は、速かに埋蔵者等にその物件を返還するか、または警察署長にこれを差し出さなければならない旨を規定しています(刑法254条ご参照)。
しかし、ご質問の設例では、埋蔵者は発掘者の直系尊属であって、代々申し送りがあったとのことですから、民法241条本文が予定する所有者不明の場合にはあたらず、遺失物法も適用がないのではないかと考えます。
ところで、ご質問のような申し送りは、死因贈与(同法554条)と考えられます(遺贈は、遺言によりしなければなりませんので(同法964条本文)、このような申し送りを遺贈と考えることはできません。)から、このような申し送りを他の相続人に告げなかったとしても、相続欠格事由(同法891条5号)の問題は生じないでしょう(遺言がないからです。)。
もっとも、申送人と被申送人とは、被申送人以外の共同相続人には内密にこのような申し送りをしているのでしょうから、客観的にみれば、同法1030条後段にいう「損害を加えることを知って贈与をした」ものといわざるを得ず、遺留分減殺の対象とされることになります(ただし、同法1042条後段)。
なお、これとは別に、相続税の逋脱の問題は当然起こり得ます。
また、発掘者が埋蔵者の唯一の相続人であるかどうかは、遺留分減殺を考える必要がないこと以外は上記と異なることはないと思われますし、誰が埋めたのか分からなくとも、上記と異なることはないと思われます。
ご参考になれば幸いです。
お礼
大変詳しい回答をありがとうございます よく分かりました