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北原白秋の短歌の訳について
【北原白秋】 茶の煙 かすかなれかし 幽かなる け古なれども 目にしみるもの 上記の訳を 教えていただけないでしょうか? よろしく お願い致します。
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まず、北原白秋は昭和17年(1942年)没ですから引用しても著作権問題はクリアですよね。 歌集『雀の卵』に「茶の煙」と題された4首があります。 > 茶の煙 > 茶の聖(ひじり)千の利休にあらねども煙のごとく消(け)なむとぞ思ふ > 茶の煙幽(かす)かなれども現身(うつしみ)の朝餐(あさげ)の料(しろ)に立てし茶の煙 > 茶の煙消(け)なば消(け)ぬべししまらくをたぎる湯玉の澄みて冴〔さ〕えたる > 茶の煙幽かなれかし幽かなる煙なれども目に染(し)みるもの ということで、最初は木から摘んだ茶の葉を炒(い)る〔あぶってこがす、油を使わずに炒(いた)める感じ〕時の煙かなと思っていたのですが、どうやら朝ご飯に飲むお茶を沸かすときの薪(たきぎ)の煙のようですね。 以下、上の4首の、私の自己流解釈。 私は茶の聖人の千利休(のような覚悟のできた人間)ではないけれども(俗世に執着など持たず、いさぎよくあっさりと)茶を湧かすときの煙のように消えようと思う。 茶を沸かす時の煙(そのもの)は、かすかではあるが、間違いなく存在する肉体を持つ私の朝食に飲むためのものとして立てた(確かな存在としての)茶を沸かす煙である。 茶の煙が消えるのならば消えてしまえばいい、しばらくの間、沸騰した湯(からでる泡?)は澄んで、澄み切っている(そういうお湯を沸かした煙だから、消えていったとしても存在した価値はあったのだ)。 茶の煙はかすかであってほしい。かすかな煙ではあるけれども目に染みるもの(であるから)。(すばらしい煙だといっても、けむたいものはけむたい。) 「幽かなれかし」は「かすかである」という意味の形容動詞の命令形に、強調の意味を持つ終助詞の「かし」が着いたもの。直訳すると「かすかであれ」と命令する感じ。 そうそう、御質問の方では「け古なれども」になってますが、私の見た本では「煙なれども」になっています。「け古」だとすれば、「け」は「けだるい」などというときの「け」のように「なんとなく」という意味の接頭語で、「なんとなく古めかしい趣(おもむき)はあるけれども」ということでしょうか。
お礼
usagisan 様 早々に メールをいただき本当にありがとうございました。 心より感謝致します。 白秋にとても興味を持ち ぜひ 歌集「雀の卵」を読んで みたいと思いました。