許諾者の専用実施権が消滅すれば許諾による通常実施権も消滅することは、特許法には明文の規定はありません。
しかし、同法97条2項が、専用実施権者は、許諾による通常実施権者(同法77条4項)があるときは、当該通常実施権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができるとするところ、これは、許諾者の専用実施権が放棄により消滅すれば許諾による通常実施権も消滅することを前提に、通常実施権者を保護するために、専用実施権の放棄に当該通常実施権者の承諾を要求することとしたものと考えられます。
それゆえ、No.1の拙稿においては、許諾者の専用実施権が放棄以外の事由により消滅した場合にも許諾による通常実施権が消滅することをご説明申し上げるべく、参照条文として、特許法97条2項、77条4項を引用させていただいた次第ですが、かえってacacia7さんに混乱をお招きしてしまったようですね。不適切なご説明となり、申し訳ありません。
なお、丙の通常実施権が甲に対しても効力を有することになるのは、甲が合併により丙の許諾者としての権利義務を一般承継するからであり、債務者を相続した者が債権者に対して債務者(被相続人)と同一の債務を負担することと同様です。
また、特許権者が専用実施権を合併により取得した場合には、特許原簿の乙区欄に合併を原因とする専用実施権者の表示変更の附記登録(特許登録令4条1号)がなされますが、通常実施権の登録事項には変更がありませんので、「通常実施権を登録しなおしたりする必要」はありません。
上記については、特許原簿の見本(下記参考URL→「お知らせ」中の「説明会・セミナー・シンポジウム」→「平成14年度説明会で用いたテキスト」→「・平成14年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト」→「<参考編>」中の「11.特許原簿(見本)」の順にリンクをおたどりください。)をご覧になって、甲区1番の附記登録(特許権そのものの登録名義人の変更の事例ではありますが。)や、乙区1番の専用実施権の設定登録事項(通常実施権の設定登録事項も、大差はありません。)とご対比いただきながらお読みください。
ご参考になれば幸いです。
お礼
再度のご解答、大変有難うございます。 参考のURLを見て勉強してみます。
補足
なんか・・いろいろと教えていただきありがたいのですが・・ 質問から解答を頂くまで結構間がありました・・ っていうのは、この質問って「そんなに悩むところじゃないだろ!!」ってことなんですかねぇ・・