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ウィルスって…?

すごく頭の悪い質問かもしれませんが… お答えくださる方がいましたら、お願いします。 ウィルスや病原菌は何のために存在するのですか? 仲間を増やすのは当たり前だと思いますが、 そのせいで結局宿主である人間は死んでしまったりするので、 結果的に自分も死ぬことになってしまいます。 なんだかとても意味のないことのように思うのですが、 どうなんでしょうか?

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noname#160718
noname#160718
回答No.6

 Jagar39です。  stripe-kさん、指摘を寛容に受け止めて下さってありがとうございました。  ちょっと基礎的な話をします。  ウイルスが他の生物と決定的に異なる点は、「細胞を構成要素としていない」という点です。他の生物はヒトから最近に至るまで、細胞をその構成要素としています。細胞とは簡単に言うと、遺伝子が格納されていて、かつその遺伝情報を発現するための機能を持っているもの、です。  例えると、細胞はいわば1つの「工場」です。  設計図が格納されていて、オペレーターによってその設計図が読まれて機械があるものを生産しているわけです。もちろん材料を搬入するためのドアも、余ったゴミや生産物を搬出するためのドアもあったりします。  それに対し、ウイルスは「設計図だけがダンボール箱の中に入っている状態」です。当然そのままでは、自己複製どころかただ存在することしかできず、それも時間と共にダンボールが壊れればそのまま消えてしまうようなものです。  ですからウイルスは、「工場」の中に侵入してオペレーターに自分の設計図を読ませ、工場内の機械によってダンボール箱を組み立ててもらって初めて「増殖」ができるわけです。  で、ウイルスがどうやって「工場」の中に入るか、が問題なのです。たかがダンボール箱ですから、工場の壁をぶち破って入れるわけもありません。  それは工場には搬入や搬出のための「ドア」があるということは上に書きましたが、ウイルスのダンボール箱には、それらのドアに対する「鍵」が付いているわけです。鍵が合えば、あとは工場側がドアを開いて中に持ち込んでくれるわけです。この「ドア」をレセプター(受容体)と言います。  つまり、どんな工場にもあるドア(レセプター)に合う鍵を持っているウイルスは、どんな動物にも感染することができるわけです。ドアと鍵が合って感染することができる動物を「宿主」と呼び、このようなどんな動物にも感染できるウイルスは「宿主域が広い」などと言います。狂犬病ウイルスが宿主域が広いウイルスの代表でしょう。  それに対し、ある特定の動物しか持っていないドアに合う鍵を持っているウイルスは、その特定の動物にしか感染することができません。これを「宿主域が狭い」と言います。天然痘ウイルスが代表でしょうね。  それでドアと鍵がマッチしていれば、その動物は「宿主」になるわけです。で、自然な状態で宿主となっている動物を「自然宿主」と呼んでいるわけですが・・・ >自然宿主というのは特定の一種ではないという事でしょうかね。  そういうことです。  鍵が合えば感染することは可能ですし、感染した動物で存続することができれば、新たにその動物が「自然宿主となった」と言えます。  ただ、そのウイルスは今までの自然宿主動物に適応してしまっているので、別の動物に感染した場合には鍵がマッチして感染することはできても、工場の機械やオペレーターの勝手が違えば、今までと同じような増殖ができるとは限りません。ほとんど増えることができなかったり、逆に増えすぎて片っ端から工場を破壊してしまっても「存続」することは難しいですから、それは「自然宿主にはなれない」ということになります。 >自然宿主ではないというのはウィルスがその種の中で生きていけないということでいいんですかね。  そういうことではないです。上に書いたように生きていくことはできても、その動物種の間で効率的に感染を繰り返すことができないと、自然宿主にはなりにくい、ということです。  例えば高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIVと略します)を例にとると、このウイルスは"狂い咲き"ウイルスなのでもはや「自然宿主」と呼べる動物はありません。  このウイルスはヒトに感染することがありますから、ヒト→ヒトの感染が容易に起きるように変異すれば、新たに「ヒトを自然宿主にする」ことができるわけです。これが「新型インフルエンザウイルスの出現」として恐れられ、阻止しようとされていることです。  ではなぜ今のHPAIVがヒト→ヒト感染を起こせないかというと、「感受性と排泄量」が関係しています。  このウイルスは元々鳥のウイルスですから、ヒトに対しては感染効率は良くありません。レセプターの形が少し違うのか、はたまたヒトにはそのレセプターの数が少ないのか私はよく知りませんが、とにかくヒトに対して感染が成立するためには非常に多くのウイルス量が必要です。  そうやってようやくヒトに感染してヒトを発病させても、ヒトはヒトに対して感染させるだけの大量のウイルスを排泄しないのです。なのでヒト→ヒトの感染は容易には起きず(1例だけ報告されていたと記憶しています)、ヒトはこのウイルスの自然宿主にはまだなり得ないわけです。  こういう現象は、異種動物に感染するウイルスではわりと普通に起きる現象です。  天然痘に対する疑問ですが、相当な致死率のウイルスであっても「感染したら即皆殺し」というような病原性でない限り、生き残る個体はあるわけで、その個体を通じてまた別の個体に感染することが可能です。  なのでその動物の集団規模が大きかったりすれば、存続することは不可能ではありません。  HPAIVにしても、鶏に対しては感染実験すると24時間以内の致死率が100%という激烈な病原性ですが、防疫活動をせずに放置するとたまたま病原性が弱く変異したウイルスに感染した個体が生き残り、その個体がまた別の個体に感染させ・・という経緯を経てウイルスが存続してしまう可能性はあります。そうなれば、鶏がHPAIVの「自然宿主」になってしまうわけです。  天然痘にしても、致死率が高いと言ってもそれほど激烈ではないので、ヒトの間で存続するには十分だったわけです。エボラの強いウイルスでも60%だったか70%だったかの致死率だったと。  スペイン風邪のように激烈な病原性を持つウイルスでも、十分大きな集団の中で感染を繰り返すうち、病原性が弱くなっていくことが知られています。つまり、あまりに病原性が強いとその個体をすぐ殺してしまい、次の個体に感染するチャンスが減りますから、そういうウイルスは自然に淘汰されて病原性が弱い方向に変異したウイルスが存続していくわけです。  ただ、完全に「無病原性」になってしまうと、あまり増殖できなくなってしまうので(病原性と増殖はある程度比例する)、これまた次の個体に感染するチャンスは減ってしまいます。  まあ長い時間を経れば、結局はカモにおけるインフルエンザウイルスのように、ほとんど無病原性というあたりに落ち着くモノも多いのかもしれませんが。あまり増えることができなくても確実にその動物で存続できるのなら、結局はその方が有利かもしれませんし。

pipiero
質問者

お礼

こんなに長い文章を作ってくださるのは、とても大変だったと思います。ご解答に、大変感謝します。 基礎知識のない私に、こんなに分かりやすく丁寧に教えてくださって、本当にありがとうございます。嬉しくて仕方ないです。 ウィルスの構造やどうして感染するかなどを、「工場」や「ダンボール」など身近なものに例えてくださったお陰で大変分かりやすかったです。 読んでいる間中、なるほど。なるほど!の連続でした。 そして私の出した新しい質問へもお答えくださり、さらに新しい知識を与えてくださってとても感謝しています。 間違っていた部分にもお答えくださったお陰で、間違えたままにならないですみました。 Jagar39さんはただ質問に答えてくださるだけでなく、関連したお話もしてくださるので、知ることを楽しいと思うことができました。 今回この質問をして、本当によかったと思いました。 ここでこうして質問しなければ、私の疑問はもうとっくに私の中から消えていたと思います。 それを、他のお二人やJagar39さんに3回もお答えくださったことで、私は多くのことを学ぶことができました。 文章を作るのが下手で申し訳ありませんが、とにかく私は今感謝の気持ちでいっぱいです。 見ず知らずの私の為に、貴重なお時間を割いてくださったことを心の底から感謝いたします。 これを期に、ウィルスや病原菌などについて自分でもどんどん調べていきたいです! 本当に、本当に、本当にありがとうございました!!!

その他の回答 (5)

  • stripe-k
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回答No.5

stripe-k です。 Jagar39 さんへ 私の記載のミスを訂正して戴き、ありがとうございました。私にとっても、認識を新たにする内容でとても勉強になりました。

noname#160718
noname#160718
回答No.4

 Jagar39です。  「自然宿主」の定義は、自然界である種の動物が保有していて、その種の中でその微生物が存続している状態を言うので、「病原性の有無」とは直接関係がありません。  例えば、インフルエンザウイルスを例に挙げますと、元々このウイルスの自然宿主はカモなどの水禽類なのですが、現在ヒトの間で流行しているインフルエンザウイルスは、他の動物種の介在なしにヒトの間でのみ流行し、存続しています。  従って、ヒトインフルエンザウイルスの自然宿主はヒト、ということになります。病原性があって時には死者も出ますけど、それは自然宿主であるか否かとは関係がない話です。  また、感染する種が異なると病原性が出ないことが多いというのも間違いで、正確には「病原性が変化することが多い」です。強くなることも多々ありますから。  エボラウイルスの例では、長い間自然宿主は不明とされてきました。  かなり最近になってある種のコウモリにエボラウイルスを感染させても発症しないことが判り、「コウモリがエボラウイルスの自然宿主ではないか」という説が提唱されました。  でも、この段階ではあくまで「疑われている」域を出ません。  この説がかなり確定的になったのは、エボラ流行地域の周辺で野生動物の調査を行ったとき、コウモリからエボラウイルスの抗体と遺伝子が検出されたことによります。この発見で、コウモリがエボラウイルスの自然宿主であるという説が確定的と言われるようになりましたが、それにしたって過去にはコウモリから何も出てこなかった流行例もあるので、コウモリだけが自然宿主だとは限りません。  天然痘はけっこうな致死率を持っていた病原性の高いウイルスでしたが、ヒト以外には感染しない「ヒトが自然宿主」と言えるウイルスです。  牛のウイルス性下痢粘膜病ウイルス(BVD)は、豚や羊にも感染しますがこれらの動物には病原性を持ちません。でも、豚や羊を「BVDウイルスの自然宿主である」とは言いません。  豚のオーエスキー病ウイルスは、豚には死流産を起こしたりする程度の病原性しか持ちませんが(子豚は致死率が高いですが)、他のいくつかの動物(犬や鹿など)に感染すると「仮性狂犬病」と呼ばれる激烈な神経症状を起こし、致死率も非常に高いです。  鳥インフルエンザウイルスは、自然宿主であるカモでは病原性を持たず、また増殖もあまりしませんが、鶏は感受性が非常に高く、鶏に感染すると非常に良く増殖し、感染が拡大します。でも、その段階では鶏に対してもほとんど病原性を持っていないのが普通です。カモの間で流行しているときとは比較にならないほどの速度で増殖、感染を繰り返す内に、ある種の鳥インフルエンザウイルスは感染した鶏をほとんど100%殺してしまう激烈な病原性を持ってしまうわけです。これが高病原性鳥インフルエンザです。  このように高病原化してしまうと、自然宿主であるカモに感染してですら発病させてしまう(致死率はうんと低くなりますが)ほどで、No.1で「狂い咲き」と書いた理由がお判りになると思います。  つまり、ウイルスはいつだって「増えよう」とする性質を持っているわけですが、それを「駆逐しよう」とする宿主との間でせめぎ合いが続き、安定した状態になっているのが「自然宿主」と言われる状態だと考えられるわけです。  確かに病原性がほとんどない状態というのが安定してウイルスが存続するには有利なわけですが、何もそれが唯一の道、というわけでもありません。  ウイルスの増殖と病原性は多くの場合はある程度パラレルですから、「宿主を殺してでも増える」という選択肢だってあり得るわけです。その方が「次の個体」に感染するチャンスは増えますから。  というわけで、自然宿主とウイルスの関係も、いろいろあるということです。  自然宿主とはことなる動物に感染してしまったウイルスは、しばしば激烈な病原性を持ってしまいます。エボラもインフルエンザ(スペイン風邪や香港風邪)が良い例です。  ただ、あまりに激烈な病原性は、そのウイルスが存続するためには明らかに不利です。その宿主動物がいなくなってしまいますから。  で、結局流行が拡大されていく内に病原性はマイルドになっていくのが普通で、あのスペイン風邪だって今ではすっかりマイルドになってしまっているわけです。  おまけですが、狂犬病のように致死率がほぼ100%の強い病原性を持っていても、感染から発病までの潜伏期間が長いと、次の個体に感染するチャンスがありますから"存続する"ことができます。加えて狂犬病ウイルスの場合は、全てのほ乳類に感染できる宿主域の広さも持っていますから、致死率100%でも決して絶滅しないわけです。  要するに、ウイルスが存続する手段は1種類ではないというわけです。  ウイルスの種類の数だけ、存続のための戦略があり、現在存続しているウイルスについてはそれらすべてが「正解」だったわけです。  別にウイルスにしろヒトにしろ、「意志」を持って進化するわけではないので、「増えようとする」のか「生き残ろうとする」のかは、単なる"言葉のアヤ"であって本質的なことではないと思うのですが、私たちが見ているのは進化して生き残ってきた「結果」ですから、つまり「全てが正解」であるわけです。今後も正解であり続けるかどうかはまた別の話ですが。

pipiero
質問者

お礼

まず、こんなに長い文章で詳しく教えてくださって とても感謝しています。 自然宿主という言葉についても初めて聞くことで、その定義については難しかったですが、大変勉強になりました。 間違っていたら申し訳ありませんが、 つまり自然宿主というのは特定の一種ではないという事でしょうかね。 あと、自然宿主ではないというのはウィルスがその種の中で生きていけないということでいいんですかね。 自然宿主の自然が指す意味は、ウィルスにとって自然な状態という事でしょうかね。 また、天然痘はヒトにしか感染しないのに、感染したヒトは高い確率で死ぬ。というのは不思議な話だとも思いました。 そしてウィルスが存続する為には、 これだ!という一つの方法だけではない、 ということが分かりました。 >ウイルスの種類の数だけ、存続のための戦略があり、現在存続しているウイルスについてはそれらすべてが「正解」だったわけです。 この部分を読んで、なるほど!!と大いに納得しました。 確かに良くない方法をとっていたウィルスは、 もうとっくに消えてなくなっていますもんね。 周りの環境などによって知らず知らず変化、進化していくんですね。 知れば知るほど興味深い話です。 基礎的な知識があまりない私には、難しい部分も多く、 誤解している所もあるかもしれませんが、 もっと基礎的な知識をつけて、きちんとした意味を 理解できるようにしたいと思います。 様々なことを教えてくださって本っ当にありがとございました!!!!

  • stripe-k
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回答No.3

エボラ出血熱ウィルスを例に取ります。”ヒト”では致死率の高いウィルスは、ヒト-ヒト感染では宿主が死んでしまいますので、ウィルスが生き残ることは出来ません。しかし、ウィルス病の場合は、種(エボラ出血熱ウィルスではコウモリ)が異なると、病原性がほとんど出ないことが多いのです。このことを、「エボラ出血熱ウィルスの自然宿主はコウモリである」と言います。

pipiero
質問者

お礼

エボラ出血熱ウィルスがコウモリには効かないとう事は初めて知ったので勉強になりました。 ウィルスや病原菌が必ずしも病原性を出させるのではない事を、 NO.1さんの回答でも教えていただいたのですが、 このコウモリの例でもさらにその理解を深めることができました。 ご解答ありがとうございました!

noname#194289
noname#194289
回答No.2

ほかの生物も同じですがウィルスや病原菌についても仲間を増やすというより自分たちが滅びないようにするほうが目的といえるのではないでしょうか。どんなにおそろしいウイルスや病原菌でもどこかで生き延びる工夫をしているのではないかと思います。またすべての人間が滅亡するまで増殖することは不可能であることは捕食者と被補色者の関係と同じで捕食者が過度に被捕食者を殺してしまうと捕食者の方が先に個体数が減ってきてしまうようです。

pipiero
質問者

お礼

確かに無理して仲間を増やそうとして失敗するよりも、 自分たちが生き残ることを考える方がウィルスや病原菌にとっても 効率がいいことかもしれませんね。 それに共生すべき宿主を全部殺してしまったら、 どうしようもないですもんね。 微妙なバランスで成り立っているんですね。 ご解答ありがとうございました!

noname#160718
noname#160718
回答No.1

 獣医師でウイルスの専門的知識を持つ者です。  ウイルスに限らず細菌でも真菌でも"病原体"と名の付くものはみなそうなのですが、感染した宿主を殺してしまうものは極々一部です。ほとんどの病原体は、宿主をちょっと痛めつける程度です。  また、ウイルスや細菌の中で「病原体」つまり病気の原因となる微生物は、これまたごく一部です。大半の微生物は特に何か悪さをするわけでもなく、平和に宿主と共存しています。  またウイルスで強烈な病原性を持つものの多くは、本来の自然宿主ではない動物に感染した場合にそうなります。自然宿主ではやはり平和に共存しているわけです。  エボラやエイズなど致死性の高いウイルス病はほとんどがそうですね。高病原性鳥インフルエンザも、本来の宿主はカモ類なのですが、鶏に感染した結果、強烈な病原性を持ってしまったものです。  というわけで、「宿主を殺してしまう病原体」というのは、いわば「狂い咲き」のようなレアケースというわけです。これが本来のその微生物の姿というわけではないのです。

pipiero
質問者

お礼

ご解答ありがとうございます。 今までウィルス=病原体という認識をしていたので、 感染したらよくないことが起きるのは当たり前だと思っていましたが、 悪い部分ばかりクローズアップされがちな訳ですね。 大腸菌なんかは、普通にしていれば人間と共存している細菌という ことですかね。 詳しく教えていただいて、本当にありがとうございました!!