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20世紀仏文学の参考文献?
こんにちは。 それなりに仏文学をかじっていたつもりだったのですが20世紀が結構弱点で批評家さんのこととかもほとんどわからなくて授業であうあうしてしまいました。そんなわたしはとりあえず、高校生の時からだいすきなカミュの異邦人でレポートをやろうと思いましたが20世紀に直撃して困っています。レポートの字数は5000字程度で、そんなに多くはないですが、やはりこの機会にも文献を多く当たりたいです。 そこで質問です。ロラン=バルト~ロブ=グリエ~モーリス=ブランショ~サルトルあたりで、比較的廉価か、大学の図書館に一般的に置いてありそうな、(カミュじゃなくとも)文学全般について書かれている本で、初心者にもとっつきやすいものってありますか?レポートを書き上げる日数にあまり余裕はないのですがでも頑張ります。少数精鋭だと嬉しいです(…) 詳しい方、教えて下さると助かります!
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> ロラン=バルト~ロブ=グリエ~モーリス=ブランショ~サルトルあたりで このあげられたラインナップを見ると、まだどういう角度で何を書いていこうとするのかもわからない状態かと思います。 おそらくこのなかで一番手に入れやすいのは、サルトルとカミュの論争である『革命か反抗か』(新潮文庫)でしょう。 できれば、サルトルの「シチュアシオンI」(人文書院から出ているサルトル全集の11巻に所収されています)を先に読んでおいた方がいい。 これだと文学者の社会参加、みたいな感じで、とくに思想の勉強をしなくても書けそうな気がする(ただ、課題なら75%の人がこれを選ぶかも)。 つぎにロラン・バルトです。 バルトで書くつもりなら、『エクリチュールの零度』(ちくま学芸文庫)を読まなくちゃならない。これも手に入れやすい本です。 この本は1/3ぐらいが親切な訳注にあててあり、しかもブランショが同書の解説をしているのまで翻訳されていて、ほんとうに「おいしい」本です(わたしは訳者の森本和夫さんの文章も好き)。ブランショの解説はバルトの要点を簡潔にまとめているだけでなく、彼自身の『来るべき書物』への橋渡しともなっていくものでもある。 ただ、いかに親切な訳注があったとしても、ラング? エクリチュール? ディスクール? という状態だと、これは全然読めないでしょう。そういうときにはとりあえず『寝ながら学べる構造主義』(内田樹 文春新書)か、『ポスト構造主義』(キャサリン・ベルジー 岩波書店)を読んで、バルトという人はどういう人であり、この人はいったい何をしようとしたのかを頭に入れておけば、ずいぶん見通しもよくなってくるかと思います。 「カミュの『異邦人』は、バルトのいう「無垢なエクリチュール」である」なんて書くとカッコイイ(笑)。ただそこに到るまで、うんと勉強が必要ですが。 ブランショは『カミュ論』(筑摩叢書)がありますが(これは相当手に入れにくい)、ブランショはバルトをまず読んでそれから、という感じですね。 さて、ロブ=グリエは『新しい小説のために』(新潮社)を読むことになるでしょうが、これはなかなか手に入れるのが大変です。大きい図書館に行けばあるだろう、というぐらいの本です。これは、19世紀のリアリズム小説が行き詰まりを見せたところに登場したカミュを、ヌーボー・ロマンの先駆者として位置づけていくもの。 これは文学史の流れに置いた「小説の技法」という観点から書くことになるでしょう。 もうひとつ、同じヌーボー・ロマンの書き手として、ナタリー・サロートの『不信の時代』(紀伊國屋書店)をあげておきましょう(これまた手に入らない)。 これの冒頭に所収されている「ドストエフスキーからカフカへ」では、バルザックに代表されるような19世紀的リアリズムに対して、新しいものを生み出していこうという模索のさなか、カミュの『異邦人』がどれほどの期待を持って迎えられたか。にもかかわらず、その期待に応えるものではなかった、という文脈で、ドストエフスキーからカフカへと到る新しい文学の流れと対比させながらカミュを批判的にとらえています。 うーん、日数に余裕がないとなると、何にしても大変かと思いますが。 以上、参考まで。
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- ghostbuster
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> 『嘔吐』ロカンタンとムルソーの比較や死のエクリチュールという切り口からムルソーの人物像・生死や世界のとらえ方を書こうと思っています。 問題意識がはっきりしていらっしゃるようなので、ほかの方への補足要求なので、差し出がましいのですが、もう少し補足を。 まず、サルトルは『文学とは何か』(このタイトルで単独でも出ていますが、人文書院の全集だと9巻のシュチュアシオン2所収)で、近代小説をいわば完成させたフローベールを、対象を石化させた、と批判しています。そのうえで、新しい時代の文学はどういったものでなければならないか。ここでサルトルは文学を通じて何をしようとしているのかがわかると思います。 あと、前の回答では書くのを忘れてたけれど、ブランショの『踏み外し』(これまた手に入りにくいのだけれど、図書館によってはあるかもしれない)には、「異邦人」の「内面」の描かれ方について、それが従来のいわゆる「心理描写」とどうちがうか、ふれてあったように思います(手元に本がないので、あやふやな記憶なんですが)。 > 同時代の作家で(わたし対世界、という作品を書かれた方で)他に参考になりそうな方はいますか。 あまり間口を拡げると大変なんですが、全然ちがう角度から、『異邦人』を読み解いている人に、ルネ・ジラールがいます(「『異邦人』のもう一つの罪」『地下室の批評家』白水社所収)。 ナタリー・サロートは、最後に司祭を罵る場面で、ムルソーが断固たる思想のもちぬしであることがわかること、つまり、決して「不条理人」ではない、ということを指摘しているのですが、さらにジラールはこの部分を「恨み」の表出、ひとりきりで放っておかれ、孤独に耐えがたくなった子供、自尊心のおかげで頭をたれて家族のもとへ戻れない子供が、大人の注意を引くために、悪いことをする、そうして恨みを思う存分ぶちまけられるように罰を受けたがることになぞらえている。「あっ」と驚くような指摘なんですが、これまたおもしろいんです。だけど、これはちょっと話は外れますね。だから、記憶の隅にでもとどめておいてください。 ともかくこのジラールは、ヴァレリーの『テスト氏』との共通点を指摘しています。
お礼
ありがとうございます。お話を伺ううちになんとなく自分の中でも方向性が見えてきました(それから、モチベーションもいいかんじになってきました!)。 ムルソーが司祭を罵る場面は、わたしも強く印象に残っているところですので、ナタリー・サロートの視点に特に興味を持ちました。図書館や神保町で体当たりしかけようと思います、頑張って取り組みますね!本当に、ありがとうございました。
- dulatour
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仏文の何をレポートするのですか? 20世紀仏文のどういうレポートなのでんしゃろぅ? じゅぶぞーんぷり しらんぷり
補足
おおざっぱですみません。まだあまり方向性ははっきりとしていないのですが、カミュを『異邦人』中心に、カミュの別の作品や同時代の文章から読み解くつもりです。『嘔吐』ロカンタンとムルソーの比較や死のエクリチュールという切り口からムルソーの人物像・生死や世界のとらえ方を書こうと思っています…。カミュとサルトルというのがすごく強い印象を持っているのですが、同時代の作家で(わたし対世界、という作品を書かれた方で)他に参考になりそうな方はいますか、ということがまず知りたいです。また、サルトルについて書かれた本もサルトルが書いた本もものすごくたくさんありますし、エクリチュールについても同じですが、『嘔吐』を読む手がかりになる著作や、特にエクリチュールについてはバルト、ブランショの邦訳の出ているもので「これは読んでおいた方がいい」というものがあったら知りたいのです。
お礼
詳しいお答えありがとうございます!今日図書館で調べてきてこいつはうまいと思ったブランショの『カミュ論』、不在資料となってました…。ねらおうと思っても手に入りにくい本が多いですね。だからこそ燃えると言えば燃えるのですが…。 ちくま文庫らへんでは結構フランスの現代哲学が入っているようですが、レポートの即戦力となるものは難しいです。やはり勉強勉強、です。 入門書も教えて頂いてありがとうございます、とても参考になります。橋爪大三郎先生の『はじめての構造主義』を高校生のときに読んで、次に『寝ながら学べる構造主義』を読もうと思って忘れていた(…)クチなのでこの機会にがーっと読みたいと思います!