内縁とは、婚姻意思を持って夫婦共同生活を送っているにもかかわらず、法の定める婚姻届を欠くために、法律上は婚姻とは認められない男女の関係をいいます。
内縁は事実上の夫婦関係ですから、合意により社会的に見て夫婦共同生活を送るという事実状態の形成によって成立します(つまり、周りから見て夫婦なんだなというような夫婦共同生活を送っている場合に成立します)。そこで、内縁関係の成立のためには、方式、儀式、期間等は関係ありませんし必要ありません。またご質問のように、法律上離婚していない者と共同生活を送っている場合でも、内縁関係は発生します。これは、婚姻届を出していなくても、事実上夫婦共同生活を送っている関係を内縁というのですから。
内縁とは、婚姻届を出さない、婚姻関係をいいます。そこで、民法上の保護規定を受けないように思われますが、実はかなりの部分、実際に婚姻届けを提出している夫婦の場合と同様、様々な保護規定の適用があります。それを以下に掲げます。
(1)内縁当事者A、Bのうち、AがBを不当に破棄した場合、つまり、内縁関係を破 綻させた場合、その破綻について責任のある当事者Aは、不法行為として又は婚 姻予約を履行不可能に陥らせたとして、不法行為又は債務不履行に基づく損害賠 償責任を負います。ところで、この場合、内縁当事者でなくても、内縁関係に不 法な干渉をしてこれを破綻させた者も、民法上の正式な婚姻関係にある者の場合 と同様、不法行為者として、損害賠償責任を負います。たとえば、AとBが内縁 関係にあるところ、Aの母親CがBに対する嫌がらせ等不当な行為をし、Aも特 にこれを止めに入らなかったために、当該内縁関係が破綻した場合には、Bは A・C両方に対して連帯して損害賠償すべき旨を請求することができます。。
(2)内縁関係は、夫婦共同生活の実質を有するものであるため、民法の婚姻に関する かなりの規定が準用され、たとえば、婚姻費用の分担、日常家事債務の連帯責任 の規定も準用されます。たとえば、AがBと夫婦共同生活を営むため自己名義で Cから建物を賃借している場合、その建物の賃借は夫婦共同生活を営むためのも のです。そこで、AC間の建物の賃貸借契約は日常の家事に関する法律行為であ って、賃料はこれによって生じた債務でありますから、Aのほか、内縁の配偶者 であるBも日常家事に関する債務として賃料を支払う責任を負うと同時に、Aは Bに対して、分担して、賃料を支払うように請求することができます。
(3)婚姻関係が破綻した場合(離婚した場合)と同様に、財産分与の規定も適用され ます。
ちなみに、婚姻の規定でも、「婚姻による氏の変更」は適用されず、また内縁による出生子は父の認知により父子関係を生じることになり、出生した場合は、母親の戸籍に記載されます。そして、一番の違いは、内縁関係の状態で生まれた出生子は、その父親の相続権は認知がない限りないということです。
このように内縁関係では、民法の多くの規定が準用され、保護されているかと思いますが、反面、保護され切れていない部分もありますので、その辺をご承知いただければと思います。
お礼
詳しい説明をありがとうございます。大変参考になりました。今後のことはまだはっきりしていませんが、大変心強い回答をいただいて感謝!です。