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遺伝子治療でできること。
最近雑誌でウィルス・ベクターを使った、遺伝子治療についての記事を見ました。 ウィルスに必要な遺伝子を組み込ませ、宿主細胞に感染させて治療するということですが、驚きました。 これができるなら、アメリカのアニメのスパイダーマンの様に、クモから糸を作る遺伝情報をベクターに組み込み、それを人に感染させれば、人間もクモの糸を出せるようになってしまうのでしょうか? SFが現実になりそうで、ある意味怖いですが。
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- rio2
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遺伝子治療の研究をしていたことがあります。 臨床で目指しているいわゆる遺伝子治療というのは、何もDNAを組み替えることではありません。 生きた人間のDNAを組み替えることは、倫理的にもタブーですし、実際には極々一部の細胞のDNAしか組み替えられないでしょう。細胞レベルから臓器レベルの組み換えは、しばらく訓練すれば大学生でもできる人がたくさんいます。 臨床に応用するいわゆる遺伝子治療とは、タンパク質の発現をコントロールすることです。例えば、DNAから合成される特定のmRNAを阻害したり、特定のDNAがmRNAを作らないようにしたり、DNAの活動を活発にしたり。これによって、主として遺伝病や癌原遺伝子をコントロールしようというものです。将来は老化防止や免疫活性に利用されることが考えられます。遺伝子治療の業界を離れたので、手元に資料を残していませんが、この方法は、もう10年以上も前に実際に臨床で応用されました。今後はパーキンソン病や癌治療の範囲の拡大を目指すということです。 遺伝子治療はウイルスを使うタイプと人工の高分子を使うものがありますが、これらを組み合わせた人工ウイルスのようなものもあります。臨床で使われたものはウイルスタイプですが、感染性が高いので危険度も高いのです。方法も、血管に注射するタイプ、経口投与、臓器を取り出して投与して戻すタイプなどがあります。 詳しくはわかりませんが、糸を作る遺伝子はひとつで構成されているとは思えないので、難しいかもしれませんね。口の中から出すとかコントロールさせることもできないですし。 でも、どこかにマッドサイエンティストがいて、いやいやもしかしたら組織や国家ぐるみでこっそりやろうとしている連中がいるのではないかとよく妄想しています。半分サイボーグみたいな感じで、例えば口の中で糸ができるバイオ的に改造して、それをピストルみたいに出す機械的に改造して…これならできそうな予感。
- puroton25
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ウィルスベクターというのは、質問者さんがご了解の通り、有用な遺伝子を組み込んだウィルスを、宿主に感染させる事で治療を図る方法です。 で、体内にDNAを組み込むので、宿主の体内で目的のタンパク質を合成させる事が可能です。つまり、発光クラゲのタンパク質遺伝子を組み込めば、光る人間が出来ます。(実際には紫外線で光りますが・・・) この方法が完成すれば、人間の免疫細胞に抗エイズ遺伝子を導入することでエイズを克服できたり、抗ガン遺伝子を組み込む事でガンを克服できる可能性があります。 では、遺伝子を導入する事で何が出来て何が出来ないのでしょうか? 体内でタンパク質を合成させる事ができます。つまり、スパイダーマンの蜘蛛の糸を合成させる事は可能です。しかし、合成したタンパク質を糸状にして放出する器官は人間にはありません。つまり、DNAを組み込んでも、それを的確に使う器官が無ければ使い物になりません。 新しい器官を作る場合は、細胞の「分化」という方法を使わなければなりませんが、これは今の技術ではかなり難しいかと思います。また、ヒトのDNAが全て解明はされていますが、いつ、どれだけ、どんな状態で、働くかという事は、100%分かってる訳ではありません。また、ヒトに対する遺伝子導入は倫理的な面からかなり厳しい規制を受けます。実用化されるのはかなり先だと思います。 長くなってしまいましたが、要約するとこんな感じです。 ・「疲れにくくする」、「病気に強くなる」、「エイズにかからない」、「筋肉が強い」等の、人間の能力を強化する事は出来ますが、「翼を生やして空を飛ぶ」、「スパイダーマンになる」等の人間の能力を超えた能力を得るのは無理です。