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“モル”が使えるもの、使えないもの
「分子量~~~のポリエステルは1gにはエステル結合がいくら含まれているか」というような課題が出されました。これに「エステル結合は●●●モル含まれる」と解答して提出したところ、「(エステル結合を“モル”で数えるなぞ)化学の基礎を知っておらず、話にならない」と一蹴されてしまいました。確かに、×××個と表記するほうがベターなのかもしれません。しかし“話にならない”というほどの間違いではないんじゃないかと思います。 「化学の基礎を知らぬ」とまで言われ非常に悔しいので、どんなものは“モル”で数えられて、どんなものが“モル”で数えられないのか是非知りたいです。 ご教授よろしくお願いします。
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No.2さんのご回答が最も適切で正確だと思います。モルという単位の定義は、No.2さんのご回答の通りですが、No.2がおっしゃるように、「要素粒子」について補足事項があります。 モルを用いるとき、要素粒子(訳注:elementary entites)が指定されなければならないが、それは原子、分子、イオン、電子、その他の粒子又はこの種の粒子の特定の集合体であってよい。 これは、国際単位系SIに関するSI文書の日本語訳に掲載されている文章です。 http://www.nmij.jp/chishiki/SI8J.pdf の26~27ページ。「要素粒子」で検索するとすばやく移動できます。 そして、その基本方針を継承する文献に、「要素粒子」について具体的に次のように例示されています。 (例) H2O 1個の水分子、水 1/2・O2 酸素分子の半分 Zn3(PO4)2 リン酸亜鉛の1式量単位、リン酸亜鉛 2・MgSO4 硫酸マグネシウムの2式量単位 1/5・KMnO4 過マンガン酸カリウムの化学式単位の5分の1 1/2・SO4^2- 硫酸イオンの半分 CH3・ メチル遊離基 「上記の例で、1/2・O2、1/5・KMnO4、1/2・SO4^2-は人為的なものである。分子のそのような断片は存在できないからである。しかし、物質量の計算をするときには、要素粒子をこのように特定することがしばしば便利である。」 ややこしい書き方ですが、要は、「要素粒子」を特定すれば、その要素粒子が何モル、という言い方ができますよ、とされているのです。 上の例には含まれていませんでしたが、ご質問の場合、「エステル結合」は、上の例のメチル遊離基などと同じく、「原子、分子、イオン、電子、その他の粒子又はこの種の粒子の特定の集合体」ですので、これを単位として(要素粒子と特定して)、「何モルである」と物質量を数えることができることになります。これが、No.2さんのおっしゃる、「エステル部分を『要素粒子の集合体』と考える」ということです。こうして、一分子としてきっちりと存在していなくても、その一部分とか官能基だけに対しても、物質量を数えることができるように決められています。実際、化学ではそうして物質量でものを考えたり計算したりすることが必要な場合が多々あります。化学工業でも研究の現場でも、普通に行われていることだと思います。 振り返って、質問者さんの先生のお話によれば、エステル結合のようなものをモル単位で(物質量で)数えることなど、話にならないとのことですが、上の要素粒子についての規定をご存じないのだと思います。その先生の話に従うと、せっかく化学で便利なように導入したモルや物質量の考え方が、すごく使いにくくなってしまいます。 数で(「個」単位で)数えるべきだ、という回答者さんもいらっしゃいますが、それではいちいちモル単位で数えたものをアボガドロ定数倍しなければならず、複雑に(莫大な数に)なるだけで、メリットがありません。モル・物質量を導入した意味を見失っていらっしゃると思います。No.3さんが「ばかげている」とおっしゃることに同感です。 上のSI文書に書いてありますが、モル・物質量を使うときは、「要素粒子が指定されなければならない」とされています。まず、「何について数えるのか」を明確にし、その上で使ってくださいということです。「要素粒子を指定する」とはそんなにたいそうな言い方は必要なく、質問者さんのように、「エステル結合は何モルである」というだけで、「エステル結合を要素粒子とする」ということが宣言されています。ですから、その言い方・考え方で、何も問題はありません。 長くなりましたが、ご質問の「どんなものは“モル”で数えられて、どんなものが“モル”で数えられないのか」についてですが、「要素粒子が特定できるものが“モル”で数えられて、特定できないものが“モル”で数えられない」ということになります。ご質問文の中で、「分子量~~~のポリエステル」と「その中のエステル結合」と書かれていますので、そこで要素粒子が特定されており、モルで数えることができます。 (ただ、この問題はちょっと特殊なケースで、普通高分子はある広がりをもった分子量分布をもつので、分子量が一つに決まらず、要素粒子が特定できないことになると思います。高分子は、普通「平均分子量」で表されます。さらにその平均分子量も、「数平均分子量」や「重量平均分子量」など、いろいろあります。ですので、ご質問文の「分子量~~~のポリエステル」というところで「おやっ」と思いました) 「化学の基礎」について触れられていますが、「化学の基礎の基礎」という本があり、確か物質量についても書かれていたと思います。そしてそこでは、上のSI文書の中でもしつこいほど出てきますが、「要素粒子を指定しなければならない」となっていると思います。高校で最初に「モル」「物質量」を習うときに、「12個で1ダースとするのと同じ考え」という話をお聞きになったことがあると思います。「何を数えるのか」を最初に決めて、その上で数える、というのがその基本になっています。質問者さんの先生に対する答えは「結合の個数」でよいかもしれませんが、「モル」「物質量」の決まりには、同時に「要素粒子」ということも規定されていることを、頭の隅に置いておいてください。 (No.6さんが「先生の流儀に合わせるのも学生の技能」とおっしゃるように、臨機応変に対応しておいてください)
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- TTOS
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単位粒子の数と結合の数は区別すべきだと思いますが。 ジサッカライドであれば2個の単位粒子(単糖)が1個のグリコシド結合で結ばれたものですが,結合の数を質問されて粒子の数を答えたら基礎を知らないといわれても仕方が無いと思います。 「n個の単位粒子が結合した」という場合#3さんのように「~モルの○○結合」という表現もあるでしょう。 ポリマーの場合単位粒子の数と結合の数はほぼ同じでその差は無視できるにしても,あくまでモルは「物質量」の単位であり結合数の単位では無いと思います。自信はありませんが。
お礼
確かにエステル結合を「原子団」では無く、「つながり」という見方から見れば、“モル”という表現はおかしいですね。冷静に考えてみるとそんな気はします。ただ、それならば“個”という表現も厳密には正しくなくなるのではないでしょうか。 ご回答ありがとうございました。
- mojitto
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僕ならこの質問なら『個』で答えていると思います。 どうも分子内の結合の数を問う問題で『mol』を使うのは、どうも違和感があります。『mol』は『分子の数』というイメージがあるので… ただ、化学の基礎を知らないとは思いません。 変なこだわりを持った先生もいるということでしょう。 もし僕が採点係なら○にしていると思います。 例えば高分子内の官能基を反応させる実験なら、官能基の個数よりmolを使って表現したほうが、はるかに計算は楽です。(というより個数に直す意味がない) その点では質問者様の考えでいいと思います。 先生の流儀に合わせるのも学生の技能です。 期末試験などで同様の問題が出たら『個』で答えてた方がいいですね。
お礼
小・中・高校と違って、教官様の考え方が如実に現れるんですよね。それにいちいち合わせなければならぬのも何か納得のいかない話です。(点数を気にしないのであれば、合わせる必要など無いのでしょうが・・・そうは行きませんよね^^;)試験では“個”と書くようにします。 ご回答ありがとうございました。
ANo2.の書かれておられような厳密な意味はともかくとして、 有る有機化学の問題集(英語版)に、13Cのチャートからカルボニル基がいくつ有るかという問題で How many carbonyl groups are there in this molecule ? と書いて有ります。 私は、学生には官能基を数える場合は「いくつ」と教えます。有機化学では、官能基をモルで数える事はほとんど無いと理解されたほうが良いと考えます。
お礼
量論や有機化学を学ぶ上では普通に使っていた表現なのですが・・・。「レポートは簡潔に」という先生もいれば「より詳しいほうがよい」という先生もいるように、こういうものは人によって考え方の違うものなのでしょうか。 ご回答ありがとうございました。
- holybell
- ベストアンサー率34% (28/81)
ANo.1です。訂正があります 6.02×10の23乗個でした ごめんなさい
- SortaNerd
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おや…? むしろ自分は[個]よりも[mol]で数えるべきだと思いますよ。 化学は門外漢なのであまり記憶は定かではありませんが、「~モルの○○結合」という表現は耳にした覚えがあります。 その方は分子本体は[mol]で数えておいて、その中の結合は[個]で数えるんでしょうか。計算、面倒ですね。 私はそんなばかげた計算はしたくありません。
お礼
正直なところ、“個”と表そうか“モル”と表そうか迷ったんです。No.8様のご回答にもあるとおり、“個”で表すと桁数が大きくなりすぎますし、SortaNerd様と同じく計算が煩わしくもあったため、モルで回答した次第です。 高校化学で「分子1モルは何個か?」という問題がありましたが、当時ならいざ知らず、もう1モル=6×10^23個ということは分かりきっているわけで、特にこだわるようなことではないと思うんですが・・・、教官様にはその気持ちは伝わらなかったのでしょうか。 ご回答ありがとうございました。
個人的には間違いだとは思いません。 少なくとも「化学の基礎を知らぬ」というのは言い過ぎだと思います。 molというのは、「0.012キログラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい数の要素粒子又は要素粒子の集合体で構成された系の物質量」と定義されます。エステル部分を「要素粒子の集合体」と考えれば、molで表しても問題ないように思います。少なくとも、化学を学ぶものの立場からすれば「よくわかる表現方法」であり、時々見かける、NaClの「分子量」などと言ったりする間違いよりははるかにましだと思います。
お礼
>「化学の基礎を知らぬ」というのは言い過ぎだと思います。 そう言って頂けると助かります。曲がりなりにも化学を学んで数年がたち、「化学者の端くれ」であるつもりだったのですが・・・。教官の「基礎を知らない」の一言で、今まで築きあげてきたものが崩れたかのような(?)気持ちでした。回答者様の中にも「“個”で数え上げるべきだ」と仰せの方が居られますし、“モル”で数え上げるのが100%正しいかと言われると自信はありませんが、「基礎を知らない」というのは酷い言い方ですよね。 ご回答ありがとうございました。
- holybell
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基本的にmolは原子あるいは分子を1.02×10の23乗個集めた時の重さを1molと表します。原子・分子・イオンの量は数えられる物です。 それ以外の物はmolを単位として数えられないと思います。
お礼
他の回答者様の意見を見る限りでは 「少なくとも間違いではない」 ということのようです。 ご回答ありがとうございました。
お礼
官能基を“モル”で数え上げるのは慣用的に認められても、正式には認められないことなのかなぁと、自分を何とか納得させていたのですが、やはり“モル”で数え上げても間違いではないのですね。そもそも、ハンバーガーや飴玉の類を“モル”で数え上げたわけでもありません・・・。有効数字を合わせる時の繰上げ操作然り、こんなものは常には意識して化学していませんし、その必要もないと思うのですが・・・。教官様には、非常に重要なお話だったようです。 詳しいご回答のお蔭様をもって、今後、堂々とモルを使えそうです。 ありがとうございました。 P.S. >ご質問文の「分子量~~~のポリエステル」というところで「おやっ」と思いました。 「そういう理想的な分子があったとしたら」ということだと思います。これは、重合度や何やらを計算させられる問題の一部分でした。