ジアリルフタレートは分子内にビニル基(アリル基)をふたつもっているので、そのまま重合するとゲル化してしまうように思えます。
実験はゲル化を防ぐために低重合率で止めたとか、連鎖移動剤を加えたとか?何か工夫をしていませんでしたか?それともアリル基は連鎖移動しやすいので、ゲル化しなかったのでしょうか?
通常のラジカル重合に比べてMw/Mnが10とか35というのは、大きすぎるように思います。
Mw、Mnの値はどれだけだったのでしょうか?
詳細な条件がわからないと、これだけから原因は推定しにくいように思います。
GPC測定時にサンプルの濾過は容易に出来ましたか?
ラジカル重合時に使用した溶剤は、濃度は?それとも塊状重合ですか?
一般に重合温度が低いほど、連鎖移動反応が起きにくく分子量は大きくなります。今回ジアリルフタレートが使用モノマーなので、高分子両側は、分子量が無限大のゲルまで生じているとすれば、GPCの濾過時にそれらが取り除かれた結果、分布がそのようになった可能性もあると思います。
ただ、それは私の想像であって、質問者様の情報だけからでは判断できません。分散の値が通常の均一系の重合結果からは大きすぎると思うので、何か記載されていないこともあるのではないかと想像した次第です。
ただし、私は素人なので、詳細な条件が開示されても的確な回答が書ける自信はありませんのであしからず。
他の回答者様、専門家がより適切な回答をくださることを期待しています。
お礼
ご回答ありがとうございます。 bermare129さんがおっしゃっているように、たしかに温度が低いとポリマーの運動性が低下するので停止反応が抑制され、分子量は高くなると思います。しかし、これはアリル基ですので、ポリマーの分子量を決定づけるのは停止反応である不均化反応等ではなく、生長末端ラジカルがモノマーのアリル位水素を引き抜くことによる退化性連鎖移動反応がDAPポリマーの分子量を決定づけています。ですので、ポリマーの運動性が変わることによってDAPの分子量が大きくなるというのは少し考えにくいと思います。また、重合反応によって生じる熱により後半は高い温度で重合しているとは思いますが、それは光開始にも熱開始にもいえることだと思いますので光開始のほうが熱開始のときよりも分子量分布が高くなるという説明にはならないと思います。