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「金利平価説」の通りにならない現実はアノマリーですか?(長文)
先週、高金利通貨の減価について質問した者です。 質問の件はスッキリしたのですが、「金利平価説」を知って新たなもやもやを抱えました。(-。-; http://ja.wikipedia.org/wiki/金利平価説 現実には逆になる傾向があり、パズルとかアノマリーと言われていると、ここ↓(p.6第2~3段落)や他のサイトで読みました。 http://www.murc.jp/report/research/2006/0683.pdf この説、「あえて低金利の¥に張る投資家は、金利差以上に$が下がると思っているのだ」ということですよね? そう信じる人が何人いても、高金利通貨が減価する根拠には、ま~ったくならないと思うのですが??? (名目金利・インフレ率・購買力平価の関係は理解しております) …なんだかこの説、「配当利回りが高い銘柄は下落する」と言ってるように聞こえて、感覚的!に納得できません。-"-; (市場が効率的なら、高配当だから有利と言えない点はわかります) これ↓おかしいでしょうか。。。 a)この説は、金利差を完全に織り込むまで高金利通貨が上昇した後でないと成り立たない。さもないと金利が上がったせいで減価することになる。 b)「金利面での有利不利が自明である」ことが前提。しかし確実なのは次のFOMCと日銀の会合まで。インフレ率の統計は遅れて出る。 会合後、市場は「次の会合までの金利差+$金利高継続期待-$減価期待」を織り込んで動く。そこから次の会合まではランダムウォーク? 金利差から減価期待がわかるとしたら、両方同時に織り込まれるはず。仮説だと$はジリ安では???? c)過去、高金利通貨はじりじり上がって急落しているが、この説が長期スパンでは正しいというより、バブル的に上がりすぎるだけでは? d)投資家がリスク中立的でないとこの説が成立しない点はわかる。しかし円キャリーは為替リスクを取ることなのに、仮説通りにならないのは「ホーム・バイアス」?? どうしても理解できないのは、高金利通貨が減価することではなく、「金利平価説が成立しないのはアノマリー」とされる点です。 直感人間にもわかる説明をお願いします。m(_ _)m
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何か仮説を立てたら、とりあえずその仮説が正しかったら何が起こるか、というのを想像してみる事をお薦めします。 効率的市場仮説から行きます。 効率的市場仮説に関して、ちゃんとした『プロ』がわかりやすく説明したブログがありますので、今迄の理解は一旦全部忘れて、まずこれ(↓)をお読み下さい。(私の回答を読み進む前にお願いします。) http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/19020836.html 最後の方に、「市場の効率性とは、将来の価格変化を現在時点で予測することが難しいことを意味する。」って書いてありますよね。一方、ハリケーンが石油施設を襲った話は、すごく乱暴に言えば、「天気予報があったのに、実際にハリケーンが襲ってから、原油価格が上がったのはおかしい。なんで予測できなかったんだ?効率的じゃないのでは?」っていう事ですよね。なんとなく、何か話がずれているのは、みさえさんでもわかると思います。 次に、同じブログのここ(↓)を、また先に読んで下さい。 http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/20393993.html このゲームに、『合理的』な考え方で参加するなら、表裏両方に同枚数をかけるか、あるいは何もしないかですが、同枚数をかけたら結果は±ゼロになるのが最初からわかってしまうので、とにかく誰かがどちらか一方にかける、つまり運を天に任せる非合理的な行動をとる事から、ゲームは始ります。しかし、コインの表裏の確率が50:50であれば、少ない賭け金の方に賭けた方が、期待値は大きいですから、裁定が働いて、オッズは1-1になるんですよね。で、結果は表か裏かどっちかしかなくて、どちらかが負けて、どちらかが勝つ訳です。 さて、国民が参加したコイン投げ大会は、全体として表裏のどちらが出るか、結果を正しく予想したでしょうか?違いますね。そんなの無理です。じゃ、それは国民の賭け方が合理的ではなかったからでしょうか?個々人としては、どちらか一方に賭ける事は「合理的じゃない」とわかっていたはずですが、参加者全体としてオッズが1:1という事は、ゲーム全体としては合理的、って事ですね。『株式市場で実際に起きているのは、こういう事』というのが、効率的市場仮説の考え方です。つまり、個々の投資家の行動は合理的ではない、だけど市場全体としては合理的=効率的、さりとて「市場が将来を正しく予想している」(=表裏のどちらが出るかを知っている)って訳ではない、って事です。あくまで、これは比喩なので、実際に起きている事をこの比喩にそのまま当て嵌めると、かえってわからなくなる元ですが、『市場が効率的=市場に予知能力がある』なんて事は、全くない事は想像頂けると思います。肝腎なのは、結果を当てていなくても、全体として効率的ではありうる、って事です。(このゲームと違って、実際の相場では、個々の市場参加者は、自分が合理的に行動していると思っている点は違います。) これを「ハリケーンの原油価格への影響」で当て嵌めると、3日前の天気予報では、例えば「かすりもしないので全く影響を及ぼさない確率30%×原油値上がり0セント+かするので2日間精製が止まる確率20%×値上がり0.01セント+精製施設が壊れて1週間とまる確率10%×値上がり1ドル・・・」といった感じで価格に織り込まれていれば、一応効率的と言えます。実際にハリケーンにつれ、全く影響を及ぼさない確率が徐々に減って、精製施設に与える予想ダメージがひどくなっていくので、原油価格は上昇していけば、一応効率的でしょう。 つまり、価格が非連続的に動いたら、そこには非効率性があるのかも知れません。(とはいいながらも、天気予報から、具体的に精製施設への被害を正しく予想しろって言うのは、かなり無茶で、非効率性の検証は事実上不可能だと思いますけど・・・。)だけど、「3日前の天気予報でハリケーンが来るのがわかっていたのだから、原油価格が上がったのは非効率的」っていうのは、効率的市場仮説とは無縁の考え方です。「天気予報を見りゃ、将来の事はわかるんだから、後で上がるのは非効率的」というのを、一般化すれば、「誰もが予想し得ないような突発事件が起きない限りは、原油価格はいつも動かず、場中も、明日もいつも一緒。動いたとしたら効率的ではない」って事になってしまうじゃないですか?みさえさんにはちょっと無理かも知れないけど(?)、効率的市場仮説がそんな結論に辿り着くんだったら、誰も真面目に市場が効率的かどうか、なんて悩むわけない、ていうのは、それ程難しい話じゃないと思いますが・・・。 ランダムウォークするという事は、株価の連鎖に因果関係がない(今日○○だったから、明日は××だとは言えない)って事を、強く示唆します。(絶対にそうだとは言えませんが。)人間が、意味のある将来の予測ができるのは、因果関係があるからです。因果関係が無ければ、神様以外は、人間が1億人集まったってやっぱり正しい予測はできません。ま、乱暴に言えば、こういう仮説です。仮説が成り立つかどうかは、ランダムウォークしているかどうかで調べます。ランダムウォークをしている=効率的ではありませんが、何故ランダムウォークになるのか、という説明として、市場の効率性(価格は、すべてを織り込むが、知られていない新しい事実を毎日織り込むのでランダムになる)以外に、真っ当なものはないので、一応それで検証出来る事にしています。 >効率的市場仮説は、資金量による多数決はどんな個人よりも正確だ、というのが前提ですよね? 効率的市場仮説では、「他人よりも、儲かる確率が高い参加者は誰もいない」(つまり、『より正確な推測』というなどというものは無い)という事になっています。あくまで、「市場全体としては、機関投資家、ごみ投資家、全ての予想の結果、すべての材料を、その時点で正しく織り込んでいるだろう」(しかし、個々の投資家が結果的に正解かどうかは運次第で、資金量の大きい投資家が勝つという事は無い)という事です。「実際には資金量の大きい投資家の方が勝つ確率は高いんだ!」と主張されるのは、構いませんが、とにかく効率的市場仮説の理解としては間違っています。 >少数のトレーダーの投票権が極端に大きい市場が材料を正しく織り込むとしたら「お利口度と資金量は正相関」で、サルと天才のパフォーマンスには差がつく気がするんですが? その時点で市場が材料を正しく織り込んでいたとしても、既に述べたように、効率的市場仮説においては、結果がどうなるかとは、無関係の話です。「お利口度と資金量は正相関」と考えられるのは個人の考え方次第ですが、効率的市場仮説とは無関係、というか相容れません。 >a)の「実質金利が上がるほど下落する」点が、いちばん釈然としません。 基本的には、金利平価説には、名目金利と実質金利を分ける考え方はありません。だから、そういう事は言っていません。もし、あえて導入するのならば、世界中の実質金利が同じ様になるように資金は移動する(つまり実質金利が高い通貨が買われる事で、実質金利が同じになるように収斂する)って事だと思います。この話は、最後の方にちょっと触れます。 で、金利平価説の示唆する「(名目)金利が高いほど通貨は将来減価する」って事ですが、金利が上がるのは、(色々な説明の仕方がありますが、その一つは)予想インフレ率が上がったので、貸し手が返済時の実質的な使い勝手の目減りを防ぐ為に、金利を上げる、というものです。そして、その予想が正しければ、返済時の使い勝手は減っているはずです。使い勝手が減っているのなら、為替も下落しているのが自然です。つまり、インフレ率が原因で、金利上昇も通貨の下落も結果です。金利上昇のせいで通貨が下落するのではありません。金利が上がったという事と、将来の通貨が結果的に下がる、という事を両立させようとすると、何か矛盾は起きますか?どっちかというと、両立しない方が、ちと具合が悪いと思いますけど?全く同じ理由で、一旦高金利通貨が買われないまま、将来の為替が安くなったら、どういう矛盾が起きますか?おかしいと思うのは、高金利通貨は買いだ、と思っている人だけで、実際にそのように行動した人は思惑と違って儲からないかも知れませんが、それ以外に何も不都合はないと思いますけど…。(前回の回答では、「金利差を完全に織り込むまで高金利通貨が上昇した後でないと成り立たない」と仰る意味がよくわかっていませんでした。失礼しました。) >スワップがプラスでスタート。一定日数経過後の金利変動がスタート地点を中心に正規分布するなら、その後もプラスである確率はマイナスの確率より高い。 これの意味わかりません。例えば、「ドル金利>円金利でした。1ヵ月後の金利も、ドル>円となる確率が高いと考えましょう。であれば、その後の金利差も、ドル>円である確率は50%以上」って事ですか?それとも、金利変動じゃなくて為替変動、って事なら、論理的にはその通りですよ。金利差があって、将来の為替の上下が50:50であれば、高金利通貨の方が有利に決まってます。 で、将来の為替の上下が50:50だと考える理由は、何かありますか?あるいは、もし50:50だったら、都合の悪い事はありませんか?ass559さんもご存知の通り、ありますよね?(みさえさんには無理でも、新聞を読んでいれば、例えば中国でのコストアップで生産拠点をベトナムなどに移す傾向が出ている、とかいう話は知っているでしょう。そうしているのに、50:50のままだったら変ですよね?)「50:50である」とは言えないのであれば、その後の議論は意味ないです。 >スタート直後ほど金利差プラスの確率が高く、利益を先に確保できる。いつゲームから降りるかは自由だから、勝ち逃げできる確率が高い。 「金利差を完全に織り込むまで高金利通貨が上昇した後でないと成り立たない」という誤解に基づくものでなく、単に、理屈はともかく現実には、個々の投資家が行動を起こすのにはタイムラグがある、という前提であれば、そうであっても不思議じゃないです。自分が、ノロマなのか、先頭集団なのかの判断はつき難いですけど…。 Greater Fool Theory(直訳すれば、『もっとバカ理論』)という言葉があります。自分の行動が不合理でも、自分の後に「同じ様に不合理な行動をする投資家』がたくさんでてくれば、儲かる、って事です。実際には、自分が不合理かどうか自体が難しいですが、とにかく、自分と同じ考え方をする投資家が、自分より後にたくさん出てくれば、儲かります。仕手筋なんかは、これを利用しています。ヘッジファンドも、ひょっとしたらそうかも知れませんね。 ところで、「実質金利が高い方を買うと有利」というのは、理屈として少しも変じゃありません。「為替変動は50:50だとすると、高金利通貨は得」というのとは、全く意味が違います。実質金利差の方は、そう仮定しても、不都合どころか、理屈にあっています。以前にも回答しました(参考URL)が、そういうポジションの取り方が、それ程ポピュラーではないのは(いないわけではない。例えば80年代の日本の生保のドル債投資)、実質金利ってどうやって計算すりゃいいの?って事と、「実質金利が高い方を買うと有利」というのは、どうもかなり長いスパン(なんとなくのイメージとしては10年とか)で見て、初めて言える事のように見えるので、逆風が吹いた時に、頑固にポジションを取り続けられるのか、って事が難点なだけです。尚、実質金利差に加えて、スワップ金利も儲かる、っていうのは、誤解です。スワップポジションは名目金利差ですから、実質金利差はその中に入っています。実質金利差を狙って買う場合、期待できるのは、金利平価説からすれば、実質金利差だけです。 それから、同じ質問の中で、あまり色々な論点をいれないようにしてください。別に質問を立てて欲しいです。回答がやたら長くなってしまいます。
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- tiuhti
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アノマリーというのは、簡単に言えば『理屈通りじゃない』って事です。だから、金利平価説通りにならない事をアノマリーと呼ぶ為には、金利平価説が成立していなくてはならなくて、成立して無いと思うのなら、金利平価説通りに動かない事をアノマリーとは呼びません。ある意味、論理が循環しているので、そもそも金利平価説が成り立っているのかどうか、って事を最初に考えないと意味が無いです。因みに、『現実の為替の動きを見ると、金利平価説は成り立つとは言えない(成り立たないとも言えない)、しかし、実際に相場を張る人間は、特に自分の相場観が無いのなら、とりあえず成り立つと思っておくしかない』というのが私の考えです。また、これが為替市場のまっとうな参加者の常識だとも思っています。 >この説、「あえて低金利の¥に張る投資家は、金利差以上に$が下がると思っているのだ」ということですよね?そう信じる人が何人いても、高金利通貨が減価する根拠には、ま~ったくならないと思うのですが??? 金利平価説だろうがなんだろうが、『為替市場で、低金利の通貨を買う人は、金利が低い事は、レートが上がる事で少なくともとりかえせると思っている』というのはおそらく事実でしょうね。でなきゃ、買いませんから。(自国通貨選好の傾向は、あるとしても、ここでは無視しての話。)という事は、高金利通貨が有利だと思って買っている人に、「何故そう思えるの?」と質問するのは、ごく当たり前の事で、『金利が高いから』という答えしかなければ、『金利のような自明の事で、どちらかが傾向的に儲かる状況が続くのはおかしいから、金利平価説は成り立つだろう』という仮説は、とりあえずはおかしくないでしょう。後は、この仮説が現実にどれくらい合致するかを調べるだけです。 > a)この説は、金利差を完全に織り込むまで高金利通貨が上昇した後でないと成り立たない。 仰りたいのは、まず均衡点を決めて、そこから検証しないとわからないって事でしょうか?現実には、まずまず妥当と思われる均衡点(例えば長短いずれでも金利差がほとんどなかった時点)を決めて、そこから検証してみる方法と、そもそも金利差と為替の動きに相関関係があるのかないのか調べる事で、金利平価説が成り立ちうるかを検証する、二通りの方法があります。いずれにしろ、常時金利差どおりに為替が動いていると思っている人はまずいないので、『金利差を完全に織り込むまで高金利通貨が上昇した後でないと成り立たない。』ともまず考えないでしょう。 > b)「金利面での有利不利が自明である」ことが前提。しかし確実なのは次のFOMCと日銀の会合まで。 これはおかしいです。常に、金利の有利不利は自明です。常に、1週間、1ヶ月、1年といった金利は、現実に相場で取引されていますから。FOMC云々は、短期金利が変動するという意味でしょうが、それは1週間刻みでポジションをとった場合に、2週間後のポジションの金利差はわからない、という事であって、金利差の有利不利が今の時点で一定時間確定できるならば、こういうのを「自明」と言います。 > c)過去、高金利通貨はじりじり上がって急落しているが、この説が長期スパンでは正しいというより、バブル的に上がりすぎるだけでは? 「バブル的に上がりすぎる」といっている事自体、歪みはあっても、金利平価説で決まる為替レートに均衡しようとする力が働いている、事を意味します。これは、金利平価説のサポートにはなっても、否定にはなりません。 > d)投資家がリスク中立的でないとこの説が成立しない点はわかる。しかし円キャリーは為替リスクを取ることなのに、仮説通りにならないのは「ホーム・バイアス」?? 円キャリーは「ホームバイアス」とは言わないでしょうね。普通は、自国通貨選好を意味しますから。ただ、投資家がリスク中立的かどうか、というのは、「ドル、ユーロ、円、どれでも調達する事は可能な発行体が、金利以外の理由で特定の通貨を選好した」場合、もうリスク中立的ではなくなってしまいます。 ところで、市場が効率的というのは、「市場が、その時点で入手可能な情報をすべて正しく織り込んでおり、将来の価格を予想する事で、他人よりも儲ける確率を上げる事は不可能」という意味であって、『市場が将来を正しく予想している』って意味じゃ、全~~~然無いです。例えば、『株価は常に100%ファンダメンタルズを織り込む、ファンダメンタルズの出来事はランダムに発生する、よって株価はランダムウォークする』っていうのでも全然構わない訳です。そういう状況に於いて、株価は将来を正しく予想していません。ランダムに発生するファンダメンタルズの予想なんて不可能ですから。だけど、その時点でのファンダメンタルズを100%織り込んでいるんだから、効率的です。「石油施設をハリケーンが直撃したら原油が上がった」というのでは、効率性の否定にはなりません。 地震の例は、個人的には『地震の事を考えてプライシングしているとは思えない』というには同感ですが、地震のような滅多に起きない事を本当に織り込んでいるかどうか、というのを、きちんと検証する事は永久に無理でしょうね。今も行った様に、実際に地震になってREITの価格が下がったとしても、それは非効率性の証明には全くなりませんから。 私は、地震に関しては日本の市場はたぶん非効率的だろう、とは思いますが、それを非効率性の証拠としては使いませんね。せめてリスクとしてどれくらい織り込まれているべきか、という点について、説得力のある主張ができませんから。 こういうところは、基本中の基本なので、ちゃんと押さえましょう。
お礼
tiuhtiさん、先日はありがとうございました。 購買力平価説は直感的に納得できるし、貿易や出稼ぎで調整が進むとも解釈できますが、この説では資金移動で調整されるんですよね? a)の「実質金利が上がるほど下落する」点が、いちばん釈然としません。 裁定は「みんなが有利な投資対象へ資金を移す結果、片方の取得コストが上がり他方が下がって、期待リターンが同じになる」ことですよね。 だからいったんは高金利通貨が上がる必要があると思うんですが。 仮に$高金利時代が4年続いてレートがボックス圏だったとしても「5年目以降に$が下落して、過去4年の金利差も埋め合わせる」のは非合理な気がします。 b)金利先物ですね。納得しました。 c)おっしゃること理解したと思います。ただa↑でひっかかります。 今から$や£に手を出す気にはなれませんが、実質&名目金利が高い通貨は、やっぱり異常に有利な気がします。 ・スワップがプラスでスタート。一定日数経過後の金利変動がスタート地点を中心に正規分布するなら、その後もプラスである確率はマイナスの確率より高い。 ・スタート直後ほど金利差プラスの確率が高く、利益を先に確保できる。いつゲームから降りるかは自由だから、勝ち逃げできる確率が高い。 …って言えませんか? >市場が効率的というのは、 >『市場が将来を正しく予想している』って意味じゃ、全~~~然無い ここが難しいんです。-"-; 市場が馬の実力に応じてオッズをつければ、どの馬に賭けても期待リターンは同じ。可愛い馬バイアスがあれば、ぶさいくな馬に賭ければいい。 単にオッズがいいかげんだったら、市場より正確に判断できる人が勝つ。 効率的市場仮説は、資金量による多数決はどんな個人よりも正確だ、というのが前提ですよね? …ヘッジファンドは雪崩れをうって動くのに、彼らが投票権の半分を握っている。市場参加者の人数でいえば、一握りだと思うんですが。 少数のトレーダーの投票権が極端に大きい市場が材料を正しく織り込むとしたら「お利口度と資金量は正相関」で、サルと天才のパフォーマンスには差がつく気がするんですが?? (@_@; いつも詳しい解説をありがとうございます。飲み込み悪いやつですみません。f(^-^;
#2です、一部訂正します。 FX投資家の場合はアノマリーと言うよりはバイアスと言った方が正確かも知れません。 「金利平価説が完全に成立しないバイアス」。 但し、地震リスクに対する効率性についてはアノマリーと言った方が現実的でしょう。 完璧な答えでは無いですがその点はご了承下さい。
お礼
バイアスとアノマリー、違うんですね。 再度のご回答、ありがとうございました。
答えが難しいので、最後の点だけを・・・ >どうしても理解できないのは、高金利通貨が減価することではなく、 >「金利平価説が成立しないのはアノマリー」とされる点です。 アノマリーについては何も為替と金利の関係に限らず、株価でも起きています。 金利平価説によって高金利通貨が下落すると言うのはマーケットが効率的と言う前提が必要です。 しかし、現実のマーケットで完璧な合理性を持ったマーケットは存在しないし、市場関係者は人間が行う以上はミスもあるでしょう。 例えば、FXについて言えばスワップポイントが無ければやっている事は商品取引と変わらないと見る人が多く、スワップポイントがあるからこそFXをやる投資家が多いのは事実です。 でもこれって、クレヨンしんちゃんで出てくる「みさえさん」が特売のチラシを見てスーパーにやってきてはお買い得な商品を買いに来るのと同じなのでは? 要はスワップポイントがお得です!って言うイメージがFX投資家にあり、これが「金利平価説が完全に成立しないアノマリー」の部分なのでは? 為替に限らず、日本の株式市場の典型的なアノマリーは地震リスクに対するマーケットの効率性でしょう。 これって統計的に誰でもわかっているのに地震リスクに弱い銘柄群に対してのリスクプレミアムが付いていない可能性が高い。 あるいは現在のREITの利回りが3%~4%は地震リスクプレミアムを含まれた数字なのか??? 日本では当たり前のリスクに対して鈍感な所こそがアノマリーなのであり、効率的とは思えません。 私は日本の株式市場、REIT市場がそこまで頭良くないと思っていますが・・・ 米国でも去年の大型台風が石油施設を襲った事で原油価格が高騰したニュースがありましたが、マーケットが効率的ならば3日前の予想天気図(72時間後)の台風の暴風警戒域がその施設に入っているのならば、その時点で暴風警戒域に入る可能性程度はマーケットに織り込まれていて当然の事であり、この点が効率的では無い点なのでしょう。 マーケットが効率的ならば、その情報(予想天気図)が瞬時に織り込まれている筈ですから・・・ 金利平価説だって、考えようによってはその程度なのでしょう。
お礼
yohoushiさん、こんばんは。いつもご回答読ませていただいてます。^-^ 質問の書き方が悪かったと思います。はやくいうと、僕には金利平価説が「直感的にいってへんな仮説」に見えるので、「仮説どおりにならなくて当然じゃないか、どこがアノマリーなんだ」と思ってしまうわけなんです。。。 この仮説、どこもヘンじゃないんですね? えっと…僕はみさえさんタイプです。 高金利通貨、スワップポイント込みで儲かるかどうか50:50と見るべきなのは、理屈ではわかります。 でも特売品の値引き分が、スーパーのほかの商品に転嫁されてても目に見えないし、高金利通貨がボックスレンジで動いていれば、「儲け先取り!」って思っちゃうクチでございます。f(^"^; いまからドルを買う気にはなりませんけど。信用買い残が積み上がってる仕手株で、いったん天井つけたやつ買うようなもんだ、と思えるので。 REITと地震リスクプレミアムのこと、大変参考になりました。 詳しいご回答、ありがとうございました。
お礼
こっ、こんなに丁寧に説明して頂いて、誠に恐縮でございます!!! ありがとうございます。m(_ _)m もったいないので出版してくださいませ。 >「実際には資金量の大きい投資家の方が勝つ確率は高いんだ!」と主張されるのは、 すいません。誤解される書き方をしました! 言いたかったのは全く違うことです。 ヘッジファンドは商品相場で仕手戦をやるし、先物で仕掛けてくるし。市場の効率性を高めているとは思えないんです。 強気派・弱気派が混在する市場が、総体としては正しくオッズをつける…は、わかりますが、少人数の、それも雪崩れをうって動く連中がオッズを決める市場が効率的であるためには…と言いたかったんです。 >市場全体としては合理的=効率的、さりとて「市場が将来を正しく予想している」(=表裏のどちらが出るかを知っている)って訳ではない、 「市場は未来を知らないが、確率に応じてオッズをつける」という意味でしょうか? 例えば「××社、上場廃止か」に関して、市場が正しくオッズを決められる根拠がわかりません。 長期でインデックスを上回れる投資家がいなければ、「市場のオッズは個々の投資家よりは正確」ってことなんでしょうけど。 >もし、あえて導入するのならば、世界中の実質金利が同じ様になるように資金は移動する(つまり実質金利が高い通貨が買われる事で、実質金利が同じになるように収斂する) この考え方ですと、スッキリ納得できます!^-^ 実質金利≒実質GDP成長率と考えると、「成長率差とインフレ率差で決まる」ってことですね? 「インフレ→名目金利上昇→通貨下落」なら当然と思います。 「引き締めで実質金利も上昇(→インフレ鎮静)→通貨下落」が納得できませんでした。 >将来の為替の上下が50:50だと考える理由は、何かありますか? No.3のお礼に書いたのは、みさえさんロジックでした。^"^; 長期では下向ドリフトがあるとわかっていても、短期ではランダムな変動に吸収されて見えない。地球は球体でも池の水面は平らじゃん、ってことです。 なのに僕が外貨買いしないのは、為替市場が効率的だと考えるからではなく、今は円キャリーの過熱で歪んでいる、「円安確率×余地<円高確率×余地」だと思うので。 一つの質問にあれこれ書いてしまい、大変失礼致しました。 懇切なご回答、本当にありがとうございました。