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なぜ債券価格に影響するのは実質でなく、名目金利?
名目金利が上昇すると債券価格の上昇・下落を招くと教科書にあったのですが、なぜ実質金利ではなく、名目金利なのでしょうか? また、大学の授業では、(1)名目金利上昇→(2)債券価格下落→(3)期待インフレ上昇→(4)購買力平価低下があると習ったのですが、この流れの内、(2)以降がいまいちわかりません。どなたかご教示お願いします。 あと、債券でも、日本債券と外国債券を比較した場合、なぜ今、外債の人気がそれほどないのでしょうか。
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どう答えていいかわからない質問ですが、あえて、答えてみます。 却って、わかりにくくなると思いますが、やむをえません。 >名目金利が上昇すると債券価格の上昇・下落を招くと教科書にあったのですが、なぜ実質金利ではなく、名目金利なのでしょうか? 債券の流通利回り上昇→債券の流通価格下落(上昇はありません)です。この利回りは名目金利です。 我々は、債券を買うときに、価値が目減りしないように少なくともインフレ率のリターンを要求します。 しかし、インフレ率と同じリターンなら、実質的に価値が増えませんから、それに加えてある程度のリターンを期待します。このリターンを実質金利と言います。 要は、債券に、期待インフレ率と実質金利の合計の金利(=名目金利)を要求します。式で書くと、 名目金利=実質金利+期待インフレ率 です。この式はフィッシャー方程式といいます。 結局、債券価格を決めるのは名目金利ですが、名目金利を決めるのは実質金利と期待インフレ率です。(正確には、そこにさらにリスクプレミアムが乗りますが、理屈を考えるときは省略していいでしょう。) >(1)名目金利上昇→(2)債券価格下落→(3)期待インフレ上昇→(4)購買力平価低下 フィッシャー方程式(名目金利=実質金利+期待インフレ率)から、実質金利が一定だとすると、債券利回りから期待インフレ率を導き出すことができます。 『(1)名目金利上昇→(2)債券価格下落』は、『(1)名目金利上昇=(2)債券価格下落』なので、(3)まではわかるでしょう。 そして、例えば、ドル円の購買力平価=基準時点の為替レート×日本の物価指数÷米国の物価指数 なので、日本の物価指数上昇(期待インフレ率上昇)だと、ドルの購買力平価上昇=円の購買力平価低下ということになります。 しかし、このフローは実際的ではありません。次が正しいでしょう。 (1)期待インフレ上昇→(2)名目金利上昇=(3)債券価格下落 (1)期待インフレ上昇→(2)購買力平価低下 現実は、 (1)期待インフレ上昇→(2)名目金利上昇(債券価格下落)→(3)為替レート上昇 という傾向があります。 適度なインフレ率上昇なら、金利が上昇し、投資の魅力度が増すので、資金を引き付け通貨が強くなるのです。 >日本債券と外国債券を比較した場合、なぜ今、外債の人気がそれほどないのでしょうか。 先進国の国債の発行量は、日本国債を除くと、イタリア国債などユーロ圏の国債が多いと思います。 ところが、ご存知のように、ユーロは債務問題で揺れに揺れているのです。ギリシャはデフォルト(債務不履行)を起こしましたし、スペイン国債などにもその懸念があるからです。もっと大きな問題は、ユーロが下げ続けているからです。そんな債券を買おうとは思わないでしょう。 しかし、外債のなかでも、オーストラリア債などは、国の財政が健全で、金利も高いので人気があります。すべての外債が人気がないわけではありません。