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蛍光分析の測定誤差について
- 蛍光分析の分光分析に対する長所が述べられています。
- 蛍光分析では幅広い範囲でエラーが一定であるとされています。
- 蛍光強度測定でもリングボムエラー同様の誤差が生じる可能性があるとの質問があります。
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質問者が選んだベストアンサー
> ΔF=一定だとすると、濃度が小さくなるほど(Fが小さくなるほど)誤差は大きくなるわけです。 ΔF=一定にはなりませんね。(正しく設計・製造・調整された装置で)ホトマルの印可電圧 さえ適正なら、低光量域のノイズはほぼショットノイズで決まりますから、ΔF∝√Fで、 ΔF/Fは一定ではないものの、かなりFが小さくなるまでがんばってくれます。 > 今度は吸光分析の方で出力光が小さくなり、いくらでも高感度の測定ができるように思えてしまいます。 残念ながら実際にはそうはいきません。吸光分析では蛍光分析と違って吸収ピーク 波長の1波長だけでの分光測定は普通やりません。基本的に吸収のないベース波長 も使って2波長or3波長で測定します。そのため、いかに吸収ピーク波長での光量が 少なくてもホトマルの印可電圧をあまり上げることはできません(ダブルビーム方式 ではなおさら)。そして吸光分析の場合には、一般に分光光度計の迷光が直線域の 上限を規定します。例えば10^-4(10のマイナス6乗のつもり=0.01%T)の迷光があった とすると、4Absで直線から外れてしまいます。 > では逆に、濃度が濃い場合というのは、一体どうなるのでしょうか? ご指摘の書籍を見ていないので何とも言えませんが、高濃度域の蛍光分析が有利で あるとは、どう考えても腑に落ちないです。Lambert-Beerの法則を直線近似できない 領域と言うことは、すなわちセルの中で励起光の進行方向に励起光強度が(吸収され ていって)どんどん下がっていくことを意味します。通常、分光蛍光光度計はそのセル を直交方向から蛍光発光測定します。光度計の作りからしても、セルの奥行き方向に 一様でない蛍光発光強度分布があるのは大変不都合です。 しかも、先の回答で書いたローダミンB溶液のような濃度領域に近づいたケースを 考えれば、明らかに濃度値で見た場合のS/Nはあるところでダメになるのは目に見え ていると思いますが...
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- paddler
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> 線形性(C∝F)からの逸脱のことかもしれません。 多分そうでしょうね。 「光度計の作りからしても、セルの奥行き方向に一様でない蛍光発光強度分布があるのは大変不都合です。」 蛍光側の分光器が覗いている位置において一様でない強度分布があって、その相対分布 が濃度で変わると、直線性に影響するのではないかと思います。 > 低光量域でない場合のフォトマルのノイズがどんなものであるか 狭い意味でノイズとしては、ノイズ光量に関わらず基本はショットノイズですね。 正確にはノイズとは違うのですが、光量が大きくなると出力の直線性が悪くなってきて 最後は飽和に達します。 【1】吸光分析では蛍光分析と違って吸収ピーク波長の1波長だけでの分光測定は普通やりません。 私は分析化学屋ではないので詳しくないのですが、逆に吸収ピークの1波長だけで 定量することの方が少ないのでは? (夾雑物の影響などを除けないからか) 【2】そのため、いかに吸収ピーク波長での光量が少なくてもホトマルの印可電圧をあまり上げることはできません 上記ベースライン波長と吸収ピーク波長は同じ印加電圧で測定するのが望ましいから です。 【3】(ダブルビーム方式ではなおさら) 試料側は試料による吸収で光量が大きく減衰していても、参照側はブランク溶液で 基本的に吸収はありません。なので、その波長で試料側に合わせてホトマルの印加電圧 を上げると参照側は飽和してしまいます。
お礼
何度も丁寧にご回答くださりありがとうございました!感謝の言葉もございません。本当にありがとうございました。
- paddler
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一応、装置を作る側の元プロです。分析化学を専門とする者ではない(化学屋では なく物理屋!)ので、とんちんかんな回答かも知れませんが。 "蛍光光度法"でも、質問者さんが「同様の誤差が生じてしまうと思えてならない」と 言っておられるように、励起光の吸収過程においては"吸光光度法"と同様の話になり ます。しかし、"吸光光度法"で扱う試料の吸収量(i.e.試料濃度×吸収係数)の範囲と、 "蛍光光度法"で扱う試料の吸収量(同)の範囲は大きく違うのではないでしょうか? (蛍光分析の方がはるかに高感度で、試料の吸収量としては非常に小さいはず) つまり、"吸光光度法"で扱う吸収現象はLambert-Beerの法則通り、測光値が濃度に 対して指数関数で規定される訳で、生の測光値(Absではなく%T)の対数を取って Abs(吸光度)にして検量線を作りますよね。これに対し、"蛍光光度法"で扱う吸収現象 はもっとずっと小さな値の領域で、x<<1 につき 1-exp(-x)≒x で近似される領域では ないですか? そうすると、最終的な蛍光発光強度は「試料濃度に直に正比例」する 直線領域となり、濃度vs測光値(蛍光強度)でリニアな検量線が引けます。 このことは、"蛍光光度法"でも濃度が過大になると非線形になることで分かります。 更に濃度が大きくなると、励起光はセル中(極端な場合にはセルから中に入ったごく 表層部分のみ)で全て吸収され尽くしてしまい、それ以上蛍光強度は増えません。 例えば、分光蛍光光度計の装置校正に使う高濃度ローダミンB溶液などはこの状態 で使用します。 生の測光値と試料濃度の関係が素直なので、迷光や装置の縦軸分解能・再現性など の影響も素直で「検量線の直線範囲が広い」ということにつながるのではないで しょうか?
お礼
非常に丁寧なご回答ありがとうございました。知らなかったことが沢山あり、大変ためになりました。また、おかげさまで、何が分からなかったのかがクリアになりました。
補足
分からなかったのは、 「濃度が濃い場合でも蛍光分析のほうが、吸光分析より測定誤差が小さい」のは何故? ということでした。(本の該当部分に表示されている誤差グラフではそうなっているのです・・・) 濃度が薄い場合、回答者様のご指摘のとおり、近似的に濃度と蛍光強度が比例します。しかし、そのときでも、Lambert-Beerの法則の法則は成立していて、ただ、単に、対数を毎回計算しなくてもいいから便利だという話ですよね。実際、濃度が薄い場合に、以下のように近似しても F=I*φ(1-exp(cεd))≒I*φcεd リングボムエラーと同様の誤差(ΔC/C=ΔF/F)は存在して、ΔF=一定だとすると、濃度が小さくなるほど(Fが小さくなるほど)誤差は大きくなるわけです。ところが、実際、蛍光強度が小さくなると、光電子増倍管の感度を上げさえすれば、ΔFはかなり小さくなり、おかげで、濃度が数桁小さくても、ΔF/F(=ΔC/C)が小さいままで測定できるということはわかりました。 では逆に、濃度が濃い場合というのは、一体どうなるのでしょうか? 同じように考えると、今度は吸光分析の方で出力光が小さくなり、いくらでも高感度の測定ができるように思えてしまいます。 そもそも濃度が濃い場合は、Lambert-Beerの法則が成立しないので、このような議論は成り立たないということかもしれませんが、だとすると、一体どうかんがえればよいか見当もつきません。 長々と失礼しました。
お礼
遅くなり申し訳ありませんでした。さすがは専門家ですね!丁寧で、わかりやすく、貴重な御回答ありがとうございました。大変勉強になりました。
補足
迷光のことは全く考えていませんでした。 0.01%Tでも4ABSだということはかなり測定範囲が制限されていますね。 逆に低濃度の蛍光分析の場合は、この程度の迷光がきても、C∝Fなので、C~0.01%まで測定できるということなのですね。なるほどスッキリしました。 さて、高濃度の蛍光分析についてですが、私が混同していた部分がありました。測定誤差というのが、測定値の再現性とばかり思っていたのですが、 線形性(C∝F)からの逸脱のことかもしれません。濃度測定だと後者のほうが自然のように思えます。そうだとしても、わからないままですが・・・・ 測定の再現性という点での話ですが、 ご回答で、 「光度計の作りからしても、セルの奥行き方向に一様でない蛍光発光強度分布があるのは大変不都合です。」 とありますが、これはどうしてなのでしょうか?蛍光の再吸収などではなく、装置関係の問題でしたら、是非教えてください。 また、ΔFもある程度知っておきたいので、低光量域でない場合のフォトマルのノイズがどんなものであるか簡単に教えてください。 そして、さらに横道にそれるのですが!! もしよろしかったら御回答の中の以下の3点について教えてください。 あまりにずうずうしいので、これで終わりにいたしますので、なにとぞ宜しくお願いいたします。 【1】吸光分析では蛍光分析と違って吸収ピーク波長の1波長だけでの分光測定は普通やりません。 吸光分光にも用途が色々あると想像します。 2・3波長で測定する必要があるのはどんな場合なのですか? スペクトルをとるということではないのですよね? 【2】そのため、いかに吸収ピーク波長での光量が少なくてもホトマルの印可電圧をあまり上げることはできません これは、スペクトルを取る時に一気に波長をスキャンするので、 印加電圧を変える時間がないというようなイメージでしょうか? 【3】(ダブルビーム方式ではなおさら) これはどうしてですか?全く分かりません。 基本的なことを随分理解していないような気がしてきました(;;) 以上