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態勢と体制
H2Aロケット12号機で、日本にとって4基目となる情報収集衛星が打ち上げられた。これで4基タイセイとなった…の「タイセイ」ですが、マスコミによって「態勢」(毎日など)と「体制」(日経、時事通信など)、あるいは両方ごっちゃに使っている(産経)といろいろです。 本来、どちらを使うのが正しいのでしょうか。
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大変古い資料で恐縮ですが、「『ことば』シリーズ9 言葉に関する問答集4」(昭和53年 文化庁)では、多くの新聞記事を調査した上で、それに基づき次のように述べています。以下、引用を主とし、一部私の要約を含みます。 >>体制と態勢とは、一部意味が重なり合っている(。) >>新聞の記事から、用例を挙げる。 「体制」は、 1 体制のボス 2 社内体制の弱点を改め・・・ 3 自由主義体制 4 いつでも無料点検を受けられる体制を、・・・ 5 大地震に有効に対処するためにも今の体制では不十分で、・・・ 6 サービス体制をもっと強化する必要があろう。 (中略) 「体制」は、国家・社会・組織などの長期にわたる仕組み・様式というほどの意味であり、制度化・組織化ができている状態をいう。また、「体制」は、「体制側」とか、「反体制(運動)」というように、支配側・権力側を、対立勢力側から指していう場合にも使われる。 「態勢」は、 7 弱電メーカーが増産態勢を続けている・・・ 8 腎臓移植を計画、その実施態勢に入る。 9 東芝の猛攻にあって守勢に回ったトヨタが、その後態勢を立て直し、トライを連続してあげた・・・ などのように、そのとき、そのときの、一時的・臨時的な状態・(身)構えというほどの意味に使われている。しかし、「受け入れたいせい」の場合は、新聞では、「体制」・「態勢」の双方とも使っており、この間に、長期と短期とをはっきり区別しているかどうかは、明らかではない。(中略)さきに引用した例の中でも、4、6は、「態勢」でもよさそうにも思えるし、8は、「体制」でも差し支えなさそうにも思える。そして、5は、すこぶる微妙なところである。 以上は、30年近く前に、当時の国立国語研究所の一人が書いたものと考えられますが、同シリーズの記事の中では珍しく、どちらを使うべきかに関してきわめて曖昧です。ただそれは、それだけ「体制」と「態勢」とは意味が似ているということの証左とも取れます。明確な違いは「長期的」な仕組みか、「短期的」な仕組みか、ということにありそうですが、ご質問の場合、どちらとも決めがたいところがあります。 個人的には#2の方に同感で、「態勢」の方がいいかなと思います(理由も#2の方にほぼ同じです。)。 なお、NHKと新聞協会の用語集が手元にないので、そちらを調べることはできませんでした。
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- morimaru47
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『体制』は、恒久的で統一的な社会組織の構造や様式のことで、用例は「政治体制」や「戦時体制」などです。 『態勢』は、物事に対する一時的な身構えや状態のことで、用法は「受け入れ態勢」や「臨戦態勢」などです。 確かに、ロケット開発は国の機関によって組織体系的に行われるので、この点を注視すれば『体制』という表記も間違いではないでしょう。 しかし、これが恒久的な社会組織にまで昇華されると見なすとオーバーな感じがするので、「4基で対応する」という意味合いで『態勢』の方がニュアンス的には近いと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 毎日新聞は自信を持って「態勢」を使っているようですが、他のメディアは数的にいうと「体制」の方が大勢を占めています。 本来的には「態勢」ということですね。ありがとうございました。
- ANASTASIAK
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実際の記事に当たっていませんが、あるいは文脈がちがうところで 使われているのかもしれません。 打ち上げた4其の連携を言う場合にはもちろん「態勢」でしょう。 しかし、政治的に対北朝鮮の核問題に向けての構えがこれで4其 をもって対抗する政治的姿勢になったとするなら「体制」もアリ かな、と思います。未確認ですいません。いずれにしても、日本 のきちんとした活字メディアですので、考えて書いていると思い ます。
お礼
早速の回答ありがとうございます。 いろいろな記事にあたってみたのですが、文脈による違いとは思えません。結局、記者の好みなのでしょうかねえ… ありがとうございました。
お礼
丁寧なご回答ありがとうございました。 皆様のおかげで大変勉強になりました。 深謝申し上げます。