まず、どういう方法で、木星に核融合を起こさせ燃やし始めるのか、また反応をどう維持するのか、その技術の展望がないと、科学的にも何も、何も言えないとも言えます。少なくとも、どういう形に維持されるのかです。安定状態での放射エネルギーとか、木星の表面温度などはどうなるのかです。
表面温度が太陽と同じにあるというのは難しいようにも思うのですが、とまれ、表面の輝きについてKという係数で考えて置きます。K=1の場合、太陽と同じに輝くので、K=0.1だと、赤い色のK型の主系列星の輝きで、相当に明るい星の場合です。
木星の位置は、太陽から約5.2天文単位です。これが4になるのは、木星と地球が最接近した場合で、もっとも遠くなるのは、丁度太陽の向こう側になった時で、この時、あいだの距離は、6.2天文単位です。大体、平均5天文単位ぐらいと考えます。
次に考えなければならないのは、木星の直径が、現在のままに維持されるかどうかです。太陽の密度比重は1.4で、木星の比重は1.3でほとんど同じです(水より少し重いぐらいです)。しかし、太陽は、木星のおよそ1000倍の質量を持っています。太陽の場合、巨大な重力と、恒星内部のガスの膨張圧力が釣り合って、現在の直径が維持されていると考えられます。このバランスが崩れると、太陽は何万倍以上の直径に膨張し、赤色巨星となります。
木星の場合、重力で、惑星のバランスが成立しています。内部物質の圧縮に対する抵抗と重力の釣り合いで、現在の大きさになっているのです。もし木星の中心部で原子核融合反応を起こさせ、木星全体を、その表面温度が太陽と同じになるぐらいに加熱すれば、膨張圧力と重力のバランスの問題になります。重力は変化しませんが、そのような高熱になると、ガスや物質の熱膨張圧力は膨大なものになります。これと、重力がバランスを取るというのは、幾らぐらいの直径に木星がなった時かという問題があります。
そのままの大きさで、核融合反応が起こり、それが維持されるというのは無理なはずです。どういう方法か、表面温度が、相当に高温になり、内部で核融合が起これば、木星は膨張します。とりあえず2倍に膨張するとします。すると密度は1/8になりますが、これでも、融合反応は維持されるのだとします。
以上の前提で、木星が、5天文体の距離から見て、太陽に較べ、どれぐらいの明るさになるかを概算します。木星の直径は、約7.1万kmで、太陽のそれは、約70万kmですから、十倍太陽の方が大きいですが、木星膨張2倍とすると、木星の5倍が太陽の直径になります。球体だと仮定すると、表面積は木星の25倍が太陽です。しかし、距離が5倍平均あるので、25分の一、太陽よりも暗くなります。つまり、625の1、光度が落ちます。Kを考慮すると、これをKで割るのが妥当です。(625/K)分の1に輝きはなります。
ここで太陽と月の実視光度を考えます。太陽は実視光度、約-26.7等です。月は満ち欠けしますが、満月の時、約-13等になります。満月は珍しいですから、-12等ぐらいだと考えて、太陽光度との差を見ると、14.7等です。満月の時は、13.7等になります。14等だと考えると、天体の光度等級は、5等で、100倍の明るさの違いになっています。14等の差とは、100^3/2.5=40万です。つまり、月は太陽の40万分の1の明るさしかないのです。これを、K=1の場合の625と較べると、640倍の明るさになります。
また、K=1として、625分の1の明るさを等級で示すと、約7等級です。太陽の等級-26.7等から、この等級を落とすと、プラスすることになり、-19.7等になります。月よりも7等級ほど明るく、それは、640倍の明るさとも一致します。
K=1として、満月の460倍の明るさとなり、5天文単位の距離を隔てても、夜、満月があっても、もっとも明るく煌々と輝き、真昼ほどではなくても、暗くなりかけた夕暮れぐらいに地上は明るくなるでしょう。空もまた、昼間の青空ほではありませんが、かすかな青い光に一面満たされるでしょう。この木星が造るかすかな青空で、他の星の光は大部分消される可能性もあります。昼間に星が消されているようにです。
木星が膨張しなかった場合、表面積で、1/4の光の強さを考えればよく、この場合でも、満月の120倍の明るさになります。ただし、Kの値次第で、相当違う値が出てきます。Kはかなり、極端に変化するのです。
(何か計算間違いしているかも)。
お礼
う~ん、なるほど。 どうやら、どういう風に「燃やし続けるか」が一つのポイントみたいですね。 それにより、点火後の直径や明るさが全く違うとなれば、仮定が多すぎて、答えが定まらないようですね。 可能性の一つとして、月よりも遥かに明るい星となる場合もあるが、それだけが答えと云う訳にはいかないのですね。 ちょっと簡単に考えすぎていたようです。無理矢理に答えを強いた様で、なんだか申し訳ない感じです。 しかし、それを判らせて戴いた事に感謝して、k-familyさんには申し訳ありませんが、高い方の評価をさせて戴きました。(どのみち、差を着けなければならないシステムなので、御容赦願う、ということでひとつ)