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なぜ熱膨張係数は物質により異なるのでしょうか?
先日、大学の実験で金属の熱膨張係数を調べたのですが、実験後なぜ熱膨張係数は物質によって異なるのか、またなぜ熱膨張係数は温度変化するのかを調べなさいといわれました。 大学の図書館などでいろいろ調べてみたのですが、そのことに関して記述されている本がなかなか見つからなくて困っています。 もし知っている方がいましたら詳しく教えてください。 本の名前やサイトでも結構ですのでお願いします。
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固体の中で原子は整然と並んで結晶を作っているわけですが、個々の原子は、結晶の中での安定な位置にとどまろうとしています。ですから、大雑把にいえば、原子同士はバネでつながれているようなものです。有限温度では熱エネルギーのために原子は安定点を中心に振動しています。 ここで、原子同士をつないでいるバネが、力の大きさが変位の絶対値に比例する理想的なバネだったら熱膨張は起こらないのですが、実際の原子同士の相互作用は、安定点から同じだけ離れたとしても、原子同士が近づく方向に動いたときに働く力の方が、原子同士が離れた方向に動いたときに働く力よりも大きくなっています。ファンデルワールス力を与えるレナードジョーンズポテンシャルを御存知でしたら、このことが納得できるのではないかと思います。 したがって、温度が上昇して熱振動の振幅が大きくなると、原子間の平均の距離は(近づくとより強い力がかかるわけですから)、長くなります。要するに温度が上がると、固体は膨張します。これが熱膨張の原因です。 熱振動の振幅が小さければ小さいほど、バネは理想的なバネに近づいていきますから(振り子の振動を解析するときに、振幅が小さければ単振動とみなしてよいのと同じ)、熱膨張係数は温度を下げると小さくなって、絶対零度では零になります。 原子間の相互作用(要するにバネの力)を与えるポテンシャルの詳細は、当然、構成元素や結晶構造によって変わりますから、熱膨張係数は物質によって変わります。 でも、世の中には変な物質があって、磁気的な体積変化と熱膨張がキャンセルして、温度を変えても長さがほとんど変わらないもの(インバーと呼ばれています)や逆に温度を「下げる」と体積が増えるものまであります。
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- vortexcore
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>あとレナードジョーンズポテンシャルのことについて少し教えていただけますか? >ファンデルワールス力って言うのは聞いたことがあるんですけどレナードジョーンズポテンシャルって言葉を聞いたことがないので... 原子同士が近づいたときのほうが、離れたときより大きな力が働くポテンシャルの例として、比較的ポピュラーと思われるレナードジョーンズポテンシャルを引いただけで、これ自体が熱膨張と直接関係しているわけではありません。(というとちょっと言い過ぎかも・・・。) レナードジョーンズポテンシャル自体の意味は、物理学辞典等を参照していただいたほうが良くわかると思います。
- take-1A
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No.1で vortexcoreさんが詳しく説明されていますので、蛇足になりますが 純金属の線膨張率(常温付近での値)とその金属の融点との間には、ある関係が あります。 即ち、X軸Y軸に 各金属の融点と線膨張率をとってプロットすると、それらは 一曲線状にほぼ乗ってくることがよく知られています。 もちろん、カーブから大きくずれる金属ものもありますが。 20~40℃(290~310K)前後の主要金属のデータを調べて、グラフを書いてみてはいかがでしょうか。 レポートに添付すると面白いかも知れません。 工科系の学生さんなら、金属材料学や熱力学の参考書は容易に見られる環境にあると思いますので・・・ 追記:純Niの線膨張率(別質問の件)書き洩らしていました。 at 1000K 17.4 * 10^(-6)/K 1200K 18.3
お礼
回答ありがとうございます。 早速休み明けに図書館で主要金属のデータを調べてグラフにしてみたいと思います。 Niの膨張率の補足もありがとうございました。 また何かあったらよろしくお願いします。
お礼
こんなに詳しく説明してくださってありがとうございます。 かなり熱膨張について分かってきました。 あとレナードジョーンズポテンシャルのことについて少し教えていただけますか? ファンデルワールス力って言うのは聞いたことがあるんですけどレナードジョーンズポテンシャルって言葉を聞いたことがないので... よろしくお願いします。